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 朝比奈あすか 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

自画像 やわらかな棘





   
自画像




2015/11/11 読了






双葉社

内容(「BOOK」データベースより)
十代の自意識が膨張し衝突する「教室」。その密室に潜む邪悪なまなざし。三人の少女はこの世界の暗闇に立ち向かう。倫理観を揺さぶる展開に心ふるえる衝撃の問題作!




よくある、中高生のカーストを扱った物語かな・・・って思って
読み進めていたら・・・
急展開で、「そっか!そっちか!」って感じでした。

ニキビ面の女子の、「学校で浮かないように」気を付ける様や、
最下層の人間に思われたくなくて必死になる様や、
昔は下層の人間だったのに、最上級の地位を手に入れた友達に
嫉妬してしまう様や・・・
まぁ、わからんでもない展開が続きます。

語り手は、結婚直前の女性が、婚約者相手に・・って形です。
謎めいた女性で、「何が言いたいんだろ・・?」って思いつつ、
話しに引き込まれていくんだけど・・・



ネタバレです。


この女性が、この婚約者にしようとしていることが、
徐々に見えてくるとき・・・
ひゃー!なるほどー!!ってゾクっ!とします。
変な関係っぽいなぁ・・・って思ってたけど、
そういうことだったか・・・・ってね。

自分が嫉妬心からしたことで、
友達を地獄に落としてしまっていたと知ったとき・・・
三人の「元少女」は共犯となり、
「制裁」を下す活動を始めます。

心に響いたのは、私たちがやってることは、
制裁ではなく、解放なんだ・・・ってこと。
体だけでなく、心も傷つけられた少女にとって、
たとえ相手が罰を受けたとしても、
まだこの世に存在してるってこと自体が、
いつまでたっても自分を縛ることになってる・・・
相手が死んでしまうということ・・・
それは、その恐怖からは解放されるということ・・
きっと、相手に罰を与えるより、その解放の方が嬉しいかも・・・って
私も思ってしまった。
この手の犯罪を犯す男たちが、また社会に戻ってきてるってことは、
無関係の人間からしても、恐ろしくもあり、悍ましい。
この人たちがやってることが絶対的正義とは言いませんけど、
女性の立場からすると、全否定もできないわけで・・・

制裁を加え続ける友に、
「解放」を促す友たち・・・。
そう、この活動をし続ける事自体が、彼女を過去に縛り付けてるんだ。
心からの友情の末の絶縁・・・

物語の始まりから続く不穏な空気は、
予想外の爽やかさを感じさせるエンディングになっていきます。
良かった・・・後味悪くなくて・・・

語り手の真意を知りたくて、
真意を知った後は、この人たちの行く末を知りたくて、
一気に読んでしまいました。



 
   
やわらかな棘




2016/2/7 読了






幻冬舎文庫

内容(「BOOK」データベースより)
自分を裏切り別の女性との結婚を決めた彼への復讐を誓う晴美、盛大な結婚式を挙げ高級マンションに住むもなぜか満たされない奈那子、子供を育てる自信がもてない母親、亜季。強がったり、見栄をはったり、嘘をついたり。幸せそうに見えるあの人も、誰にも言えない秘密を抱えてる。女同士は面倒くさい。生きるって面倒くさい。だから、みんな一生懸命。




ちょっとうすーい連作短編集・・・ですね。
関係してる人物が繋がっていく・・・ってわりには、
関係は薄いんですよね。
もうちょっと関わりが深い方が楽しめたかな?

それぞれに悩みを抱えて生きてる。
他人と比べたり、比べられたり・・・
幸せを秤にかけたって仕方ないってわかってるのに、ね。

第一話のひどい男が、
第二話では「病に苦しむ」みたいになってて、
自分が悪いのに、なんで被害者ぶってんねんってイラっとした。
だけど、妻は支えるわけか・・・
他にもいい男がいただろうにねぇ・・・

最後のお話の、弟を失った姉のお話は、
家族の一人を失ったことで家族が壊れ、
それでも何とか生にしがみついていて・・・
痛々しかった。
この彼女の中の「棘」が、徐々にやわらかくなって、
いつしか取れていくといいな・・・
狭かった視界がぱーっと開けてきたエンディングに、
ホッとしましたよ・・・。

ここまで薄い関係性の連作短編集はあまり記憶にないので、
ある意味新鮮でした。(笑)