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 芦沢央 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

いつかの人質 罪の余白 許されようとは思いません 今だけのあの子
悪いものが、来ませんように 雨利終活写真館 獏の耳たぶ バック・ステージ





   
いつかの人質




2016/2/12 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
12年前、誘拐された少女。そして発生した二度目の誘拐事件。目の見えぬ少女はなぜ、再び狙われたのか―。過去と現在を繋ぐのは、誘拐犯の娘。『罪の余白』の新鋭が放つ、戦慄の心理サスペンス!




お初の作家さんです。
一気読みでした。

幼い頃、誘拐されてしまった少女が、
12年後、再び誘拐される・・・
どういうことか・・・?というもの・・。

これは、愛子の立場になるか、ならないかで、
かなり感想が変わってくるでしょう。
だって、愛子にしてみたら、理不尽以外の何物でもない。
まぁ、誘拐される被害者は大抵理不尽なんだろうけど、
この愛子の「二度目の誘拐」は、ホントに理不尽で・・・

最初の誘拐は、故意ではない、事故のようなもので、
そのあとの出来事が不幸だったんだよねぇ・・・
視力を失ったものの、天真爛漫に育った愛子が、
ある日、再び誘拐されちゃうんだけど・・・


ネタバレです。


誘拐犯は、最初の「誘拐」をした女性の娘・優奈・・・とされ、
捜査は進んでいく・・・
その優奈は、数か月前、離婚届を置いて疾走していた・・・
警察、そして優奈の夫・礼遠が必死で優奈を探すんだけど・・・

まぁ、途中から、そうなのかなぁ・・?とは思ってた。
で、本当にそうだったんだけど、動機は・・・?
どうして誘拐しなくちゃいけないの・・・?と思ったら・・・
何とも自分勝手な理由で・・・。
優奈を見つけるために、警察に動いてもらうために・・・ってことだったのよね。
単なる妻の失踪では警察は動いてくれない。
だから、事件を起こして妻の遺留品を置いてくれば警察が動く・・
なんて浅はかで自分勝手なんだ・・・

ま、100歩譲って、優奈を見つけるためのコマとして
愛子を利用したのは納得してやってもいい、
だけど・・なんであんなひどい扱いするの?
目の見えない子に、あんなひどいことして・・・・
愛子が心の強い子だったからいいものの、
普通は人生で2度も誘拐されたら病むぞ?
ひどすぎる!!

で?最後は死んだと見せかけて・・・
結構早めにシャバに出て、再会・・・ってですか?
勝手にしやがれ!!・・・いや、させたくないわ!!
優奈の失踪の動機も、礼遠の優奈への執着も、
なんか、あんまり理解しがたいっていうか・・

私は、愛子側にたって読んだので、
加害者側の勝手な言い分に腹が立った読後感でした。
ったく・・・

このタイトルは、愛子のことではなく、優奈のことなんだね。
ずっと縛られて生きてた・・・ってことなんでしょうな。




 
   
罪の余白




2016/4/5 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
どうしよう、お父さん、わたし、死んでしまう―。安藤の娘、加奈が学校で転落死した。「全然悩んでいるようには見えなかった」。クラスメートからの手紙を受け取った安藤の心に、娘が死を選んだ本当の理由を知りたい、という思いが強く芽生える。安藤の家を弔問に訪れた少女、娘の日記を探す安藤。二人が出遭った時、悪魔の心が蠢き出す…。女子高生達の罪深い遊戯、娘を思う父の暴走する心を、サスペンスフルに描く!




なんか、心が荒んだわぁ・・・
こんな子がいるなんて、受け入れがたい・・・。(汗)

妻亡きあと、たった一人の娘を自殺で失った男・・・
どれほどの苦しみか・・・だよね。
オマケに、その自殺の理由がわからない・・・
自分に何か出来たのでは・・・?って悔やみきれないよね。

実は、娘は陰湿なイジメイジメにあっていた・・・
この、イジメをしていた女子のずる賢いことといったら・・・
コイツに罰があたるべき!!って思いながら読んでしまった。

そして、結末は・・・
これしかなかったのかな、方法は・・・
あまりにも悲劇で、苦しくなっちゃった・・・
自殺した娘ちゃんもそうだけど、
こんな風に罰を与えたお父さんもさ、
「生きてこそ」だよ・・・
死んだらダメだよぉ・・・・

読後感は、かなり虚しいです・・・。




 
   
許されようとは思いません




2016/7/10 読了






新潮社

内容(「BOOK」データベースより)
かつて祖母が暮らしていた村を訪ねた「私」。祖母は、同居していた曾祖父を惨殺して村から追放されたのだ。彼女は何故、余命わずかだったはずの曾祖父を殺さねばならなかったのか…究極の選択を迫られた女たちの悲劇を、端正な筆致と鮮やかなレトリックで描き出す、ミステリ短篇集の新たなるマスターピース!磨き抜かれたプロットが、日常に潜む狂気をあぶりだす全5篇。




短編5話が収録されてるんだけど、
どれもすごかったな・・・
思ってもいないところに着地する話ばかりで、
やられた・・・って感じでした。

表題作の「許されようとは思いません」は、
実の父を殺した女性=祖母の骨をお墓に納めにいく孫の話なんだけど、
この祖母の置かれた境遇が可哀想でねぇ・・・
かなり閉鎖的な村に嫁にきたんだけど、
頼りの夫は早く死に、「よそ者」として村の人に
まさに「村八分」にされちゃうんだけど、
あることがキッカケで、祖母は曾祖父を殺してしまうのさ。
その理由が・・・
先の先を思って、「許されようとは思いません」なんだよね。
そっか、そういうことか・・・って思ったよ。
私も、いずれ嫁ぎ先の墓に入ることになる・・・んだろう。
だけど正直、実の両親の墓に入りたい気持ちも多々ある。
嫁って、そうだよね・・・
うむ、しみじみ・・・

「目撃者はいなかった」は、
あまりにも自分勝手で、無理矢理な感じが、
あぁ、痛い目を見るパターンだな・・・って思って読んでたけど、
まさかまさかの結末。
「話してくれないなら、話さざるを得ない状況にしてやる!」っていう
執念を感じるオチでした・・・
怖いーっ!!

「ありがとう、ばぁば」は、冒頭での母娘のケンカが、
最後の「ありがとう、ばぁば」につながるという・・・
シュールすぎるお話。(汗)
「あんな写真の年賀状を出されたくない!だったら・・・」と、
子供なりに考えたわけだ。
・・・かなり間違ってるよ?
いいことじゃないよ、わるいことだよーっ!!(汗)

「姉のように」は、騙されましたねぇ・・・
てっきり姉の話かと・・・
そっかそっか・・・そうだったか・・
こういう風に追い詰められていくんだな・・・・って
なんか変にリアルで怖かったです・・・

「絵の中の男」は、ある意「芸術家あるある」かもしれないですね。
作品を生み出すためなら・・・っていうね。
芸術的観念が一切ない私には、
理解できない世界でございますが・・・

どれも面白かったです!
すごく楽しめました!




 
   
今だけのあの子




2016/9/15 読了






東京創元社

内容(「BOOK」データベースより)
何時だって何歳だって女の友情はめんどくさくって、あやうくって、美しい。OL、ママ友、中高生…。さまざまな年代、立場の女性の友情に隠された想いを情感あふれる筆致で描ききる!注目度ナンバーワンの新鋭が贈る連作ミステリ。




連作短編集となってますけど、
そんなに連作感はない・・・よね?

冒頭の「届かない招待状」ですが・・・
真相がわかってしまえば、なるほど・・・だけどさ、
一人だけ招待状が届かなければ、そりゃいろいろ考えるって。(汗)
このあと、どんな関係を築くつもりだったのかね?
疎遠になっていこうと思ってたのか?
ちょっと腑に落ちんけど・・・
ま、幸せになってくれい。

「帰らない理由」は、女子の理由は納得いったけど、
男子がねぇ・・・
あまりにも自分勝手で・・・許せんかったわ。

「答えない子供」は、切なかったなぁ・・・・
親のつぶやきを、自分への言葉として受け取っちゃってたんだね・・・
どんだけ追い込まれてたんだろ・・・?
あまりにも繊細な母に、
「この家に生まれたら大変だ・・」って思っちゃった。(汗)
のびのび、そして友達想いで育ってる少年のほうが
なんぼも幸せに見えましたよ。

「願わない少女」も、自分本位の子だよね・・・
自分を守るために嘘をつき、その嘘に追い込まれ・・・っていう。
勝手にしやがれって話で、巻き込まれたらたまらんっつの。(汗)

「正しくない言葉」は、相手を思っていても、
伝わってないと意味がない・・・ってことを痛感したなぁ・・
日本人は「慮る」=美徳って感じになってるけど、
それは伝わってこそ・・・だからなぁ・・・
第三者が介して伝わり、自分のことも思い返して気づく・・
いい話ではあるけど、切なくもありました。

どれも「〜ない」で括られたお話でした。
読みやすい短編集です。




 
   
悪いものが、来ませんように




2016/10/25 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も、母や夫、社会となじめず、紗英を心の支えにしていた。そんな2人の関係が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺死体として発見されたのだ。「犯人」は逮捕されるが、それをきっかけに2人の運命は大きく変わっていく。最後まで読んだらもう一度読み返したくなる傑作心理サスペンス!




奈津子=なっちゃんと、紗英の、二人がメインで描かれます。
二人の目線で話が進んでいくんだけど、
何とも言えない、むずがゆい感じがして、
違和感を感じていたんですよね。

後半で、その違和感の正体が明らかになります。


ネタバレです。




コレは、映像化は無理ですね。(笑)
この騙しは、小説だから可能なんですよ・・・
奈津子と紗英は、友達ではなかったわけだ・・・
ったく、親を愛称で呼ばせるから、こんなメンドーな話になるのよ!(笑)
ま、最後の「お母さんに繋がるための、
長い長い布石ではあったわけですが・・・

一卵性母娘か・・・
実際に居そうだよねぇ・・・
押し付けてるつもりがない母と、
押し付けられてる気がない娘・・
不幸だわ・・・
まさか、こんな展開になっちゃうとはねぇ・・・


最後まで読んだら、もう一度読み返したくなる」ってのは、
確かに・・・・で、読み返しちゃいましたもん。(笑)
孫娘の存在が厄介でしたねぇ・・・
この子で騙されたわーっ!!



 
   
雨利終活写真館




2016/12/21 読了






小学館

内容(「BOOK」データベースより)
巣鴨の路地裏にひっそり佇む、遺影専門の写真館。祖母の奇妙な遺言が波紋を呼ぶ(「一つ目の遺言状」)。母の死を巡る、息子と父親の葛藤(「十二年目の家族写真」)。雨利写真館に残る1枚の妊婦写真の謎(「三つ目の遺品」)。末期癌を患う男性の訳ありの撮影(「二枚目の遺影」)。見事な謎解きで紡ぎ出すミステリー珠玉の4編。




遺影専門の写真館が舞台。

最初の「一つ目の遺言状」は、祖母の残した手紙にまつわる話。
このことがキッカケ・・・となって、ここに勤める女性が主役です。
クイズ好きの祖母か・・・
準備してても急死だとねぇ・・伝わらないもんだねぇ・・
自分一人だけ遺書に名前が書かれてなかったら。。。
そりゃショックだろうな・・って思っちゃう。(涙)
結果、すごいものを残してくれてたんだけど・・
この女性の歪んだ部分が後に明らかになり・・・
意地悪だなぁ・・・って思っちゃいました。

「十二年目の家族写真」は、切なかったなぁ・・・
ある「異常」によって、何年も確執があった家族・・・
死んだお母さんはさぞかし心残りだっただろうねぇ・・
途中で私はその「異常」に気づいていたので、
ここまで誰も気づかなかったの・・・?って逆に疑問でした。

「三つ目の遺品」も、私は最初で「誰の遺影か」ってのに
気づいてしまっていたので、
いろいろと考えすぎるのも逆にね・・・って思っちゃいました。
いろんな思惑を抱えたままお別れするのは悲しいから、
ちゃんと話をしていた方がいいね・・

「二枚目の遺影」も・・・オチがわかっちゃったんだよなぁ・・・
それって、娘じゃなくて・・・ってね。
想像力が豊かな写真館の面々だよねぇ・・・・(笑)

それぞれ、どれもオチがわかりやすすぎた気はしなくもないけど・・
遺影にまつわる話ってところは面白かったです。
ただ、この写真館の面々があんまり深堀りされてないですよね?
新メンバーの子の抱えた過去は事細かに描かれたけど、
それ以外の人は・・
特に、この写真館の名を持つカメラマンなんて、
この写真館の跡継ぎなのとか、
仕切り屋のカノジョとの関係とは・・・?とか、
もやもやが多々残りましたわ。
続編がある・・・ってことかな?



 
   
獏の耳たぶ




2017/6/18 読了






幻冬舎

内容(「BOOK」データベースより)
自ら産んだ子を自らの手で「取り替え」た、繭子。常に発覚に怯え、うまくいかない育児に悩みながらも、息子・航太への愛情が深まる。一方、郁絵は「取り違えられた」子と知らず、保育士として働きながら、息子・璃空を愛情深く育ててきた。それぞれの子が4歳を過ぎたころ、「取り違え」が発覚。元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続ける繭子、そして一心に「母」を慕う幼子たちの行方は…。切なすぎる「事件」の慟哭の結末。渾身の書き下ろし!




自分が産んだばかりの我が子を、他人の子と取り替える・・・
そんな、衝撃的な場面から始まります。
別に絶望的な病気などがある・・・わけではなく、
一人ぽっちで産んで、これから育てられるのか?って不安で、
同じ日に生まれた子と比べたり、
その子の母より自分が劣ってるのでは?って思ったり・・・
そんな中、赤ちゃんのタグが外れていて、無意識に、
そのタグをつけてしまったのは、我が子ではなかった・・・
どうしよう、どうしよう・・・という時間はあっという間に過ぎて、
退院、検診、3か月、一年・・・

取り換えた母の章、そして、取り換えられた母の章へとつながる話。
「わが子ではない」とわかった時点で、視点が変わるんです。
でも、「バレてしまってから」の、取り換えた母の様子も知りたかった。
どんな風に過ごしたのか・・・

わが子ではなかった・・
でも、もう4年も育ててきた我が子・・・
取り戻すのか?手放せるのか・・・?
おいおい、黙ったまま終わるのか・・・?
そんな風にハラハラしながら読み進めました。

結果、罪は罪として罰せられることになるわけですけど・・・
一番の被害者は子供たちで、
罪を償うために隔離された人の方が楽だろう・・って思っちゃいましたね、
現実に残された人たちは、これからが大変なんだから・・・・

すごい話でした。




 
   
バック・ステージ




2017/9/28 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
新入社員の松尾はある晩会社で、先輩の康子がパワハラ上司の不正の証拠を探す場面に遭遇するが、なぜかそのまま片棒を担がされることになる。翌日、中野の劇場では松尾たちの会社がプロモーションする人気演出家の舞台が始まろうとしていた。その周辺で4つの事件が同時多発的に起き、勘違いとトラブルが次々発生する。バラバラだった事件のピースは、松尾と康子のおかしな行動によって繋がっていき…。




セクハラ上司の不正を見つけるために
会社に忍び込むj・・っていう展開から始まるものの、
次の章では全く関係ない話がいくつか描かれて行って、
あぁ、これが全部最後には繋がって面白いことになるのね?って
期待しつつ読み進めたものの・・・
うーん・・そうでもなかった?
確かに同じ場所に居合わせた・・・のかもしれないけど、
見事につながって!っていう感じではないんだよね。
期待していた分、ちょっとガッカリ・・・?(笑)

今作も図書館で借りたのですが、
真っ黒の本で、あれ・・・?って思ったら、
末尾に表紙を織り込んだ状態になっていて、
その表紙カバーの裏にオマケのエピソードが書いてあったんですよね。
ウチの図書館は、本当に素敵な司書がいるんだわ!
裏もちゃんと読めるように保護カバーをかけてくれるんです!
素敵すぎます・・・
毎度感心・感動・感激させられてます。
引っ越せないわ・・・(笑)