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 乾ルカ 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。
リンクしていないモノは、おいおい感想を記載していきます。

六月の輝き 夏光 あの日にかえりたい ばくりや
メグル てふてふ荘へようこそ たったひとり 向かい風で飛べ!
願いながら、祈りながら 君の波が聞こえる モノクローム 11月のジュリエット
森に願いを ミツハの一族 奇縁七景 花が咲くとき
わたしの忘れ物




   
メグル



2012/10/25 読了




内容(「BOOK」データベースより)
「あなたは行くべきよ。断らないでね」無表情ながら美しく、
奇妙な迫力を持つH大学学生部の女性職員から、
突然に声をかけられた学生たち。
店舗商品の入れ替え作業や庭の手入れなど、簡単に思える仕事を、
彼女が名指しで紹介してくるのはなぜだろう―。
アルバイト先に足を運んだ学生たちに何がもたらされるのか、
厄介事なのか、それとも奇蹟なのか?美しい余韻を残す連作集。


 

大学のバイト紹介から始まる5つの物語・・・
バイトを勧めるのは、職員のユウキという女性。
「行った方がいい、断らないでね」と押し付けてくるんだけど・・・
本当に、行ってよかったね・・・というオチになる。
ユウキさん自身も、バイトで命を救われた人・・

しかし、欲を出して「合わない」バイトをしちゃった人には・・
「行かない方がいいのに、後悔しないでね」と言われたとおり、
どよよーん・・・な気持ちになるオチに・・・
いやぁ・・あのバイトは、誰が引き受けてもあーなるだろ。(汗)
ユウキさんならこんなバイト、引き受けることもしなかっただろうに・・・
やっぱり、バイト受付窓口はユウキさんに限る。(笑)

まだまだ続編を作れそうです。
お待ちしています。


 
   
ばくりや




2012/10/21 読了




内容(「BOOK」データベースより)
ご不要になったあなたの能力お取り替えします。北の街の路地裏に、その店はあった―。ハンサムでもないのに異常に女にもてる、就職した会社が必ずつぶれる。古い自分を脱ぎ捨てるため、「ばくりや」を訪れた者たちの運命は。


 

自分にとっては迷惑な「能力」を、取り替えてくれる・・・
ただし、取り替えてくれる能力が何かはわからない。
それでも取り替える・・・?
「ばくりや」という店に依頼した人々のお話です。

なかなか面白い設定ですよね。
女に好かれすぎる能力や雨男・・・
いろいろと困っちゃう能力を取り替えたものの、
不幸になるやら、幸せになるかも・・・だったり・・・

最後の一編は・・・なるほどね、って感じだった。
そうよね、好きでそんな仕事してるはずないもんねぇ・・・
はぁ・・・大変だ。(笑)

私は・・・とくに取り替えてもらいたいほどの特徴はないなぁ・・・
「〜すぎる」なんて特徴、いらないわ!(笑)


 
   
あの日にかえりたい




2012/10/20 読了




内容(「BOOK」データベースより)
地震に遭った翌日、少年は、海の匂いのする、見たこともない町に立っていた。通りかかったオバサンの家で親の迎えを待つ間に体験したのは、少年がこれまでしてみたかったことばかりで…(「翔る少年」)。介護施設で出会った、嘘のような人生を語る車いすの老人との交流と意外な結末を描く表題作ほか、時空を超えた小さな奇跡と希望を描く六篇。第143回直木賞候補作。


 

6編の短編集・・・
どれも心温まるものでしたが、
私は最後のお話が好きでしたね。
ずっとずっと心に残っていた人との再会・・・
ほんと、出会わせてくれた・・って感じ。
今まで生きてきて、本当によかったね・・って言ってあげたくなった。
あとは「翔る少年」も泣けた。
東日本大震災に見舞われてすぐなので、
読むと余計に涙が出てきましたよ・・・。


 
   
夏光



2012/10/19 読了




内容(「BOOK」データベースより)
「改札の正面突破は出来ないやろか」。疎開先から母の暮らす大阪へ戻りたい哲彦は喬史に相談する。海を眺める喬史の顔の左半分には、スナメリの崇りと噂される黒い痣があった。少年たちのひと夏を鮮やかに切り取ったオール讀物新人賞受賞作「夏光」、下宿先の少女との淡い恋を描く「夜鷹の朝」など六篇を収録。


 

「め」「はな」「みみ」など、身体にある特徴のある人たちの話・・・
「夏光」って、原爆のことだったのね・・・
喬史はその先に待ってることが何か知ってて、
親友に付き合ってくれたんだよね。
ううう・・・

でもほかのお話は身体的特徴があまりにも切なくて、
ちょっと君が悪かった・・・かな。(汗)
それと、←は文庫本の写真だけど、
単行本の装丁は大きな少年の眼がドドーンとありまして、
正直、怖かったです。(汗)
夜、ベッドサイドに置いておくのは、イヤになるくらいに・・・ね。


 
   
六月の輝き


六月の輝き (集英社文庫)

2012/10/17 読了




内容(「BOOK」データベースより)
もどりたい。いちばん美しい季節の光あふれる世界へ。幼なじみの美奈子と美耶。11歳の夏、美耶の「ある能力」がふたりの「特別」な関係に深い影を落とす…純粋な想いが奇跡をよぶ、「絆」の物語。


 

11歳・・・
友達との関係って、もう悩める年頃なんだよね・・・。
そのキッカケは、確かに切実なモノだったかもしれないけど、
だからって、美耶が悪いわけじゃない。
そんなこと、美奈子だってわかってた。
だけど、素直になれない、お年頃なんだ・・

幼い少女から、思春期へ・・・。
何年もお互いの間にあった深い溝・・・
だけど、その対岸から、お互いをずっと見つめてきた二人・・

最終的に、仲直りし、さらに深い親友になったんだけど・・
とても悲しい結末ではあったけど、
幸せに人生の幕を閉じた彼女を、
穏やかな日差しとともに見送ってあげたくなりました。

きっと、辛い日々だっただろう。
だけど、最後に見て、聞いたものは・・・
何にも代えがたい輝きだったはず・・・
胸が痛むけど、温かくなる、そんなお話でした。


 
   
てふてふ荘へようこそ





2012/10/27 読了




内容(「BOOK」データベースより)
直木賞候補作『あの日にかえりたい』の異才が挑んだ、笑いあり涙ありの連作ヒューマンドラマ!このアパート、なにやら秘密があります。特異な事情を抱えた6人の住人たちが出会った奇跡。切なくて、哀しくて、でもあったかい、おんぼろアパート物語。予想外のラストまでノンストップ。


 

生きる者と、死んだ者の奇妙な生活・・・
このまま、いろんな思いを消化するために
存在してくれてたら・・・と望みたくなるほど、温かいお話。

そして、まさかあの人までも、そうだったとは・・・という流れで、
最後はスッキリとお別れ・・・・

いい話の連続で、満足度の高い作品でした。
NHKでドラマ化もされております。



 
   
たったひとり





2013/8/3 読了





内容(「BOOK」データベースより)
なぜ俺たちは戻ってきてしまうんだ!?半壊したラブホテル。廃墟探索サークルの男女5人を襲うタイムループ。極限状況で剥きだしになるエゴ、渦巻く愛憎。悪夢を脱するため、たったひとりの犠牲の山羊となるのは誰か?驚愕の新感覚ホラー。


 

こういうテイストの話は、よくありまして・・・
問題はオチの持って行き方なんですよ。
タイムループから抜け出せるのか、抜け出せないのか、
抜け出せるのだとしたら、一体何がきっかけで・・・っていうところに、
ほぉぉ・・・そうきたか・・・と感じさせてくれたら、
めっけもんやなーっ!な題材なんですけど・・・

うーん・・・
個人的には不完全燃焼・・・かなぁ?
この手の話に満足したことって、あったっけ?(笑)
とにかく、難しいっすよ、これは。
でも、読み手それぞれの受け入れ方があるだろうから、
駄作とはいいませんよ。



 
   
向かい風で飛べ!




2014/1/11 読了




内容(「BOOK」データベースより)
完全アウェーの転校生、さつき。スキージャンプの天才美少女、理子との出会いが、孤独で憂鬱な日々を塗り変えていく―わくわく、ハラハラ、うるうる。全部が詰まった青春小説。


 

不思議系の話が多い乾ルカさんには珍しく、
ストレートな青春スポーツ小説。
でも、どこかで「不思議系」が入ってくるか・・?と
ちょっと考えながら読んでいたんだけど、皆無。(笑)

お話は、冬のスポーツ・ジャンプ競技です。
転校した先でジャンプの有望選手と友達になった主人公が、
自ら競技にのめりこんでいく・・・

誘った側と誘われた側、
それぞれの苦悩と成長を描いておりましが・・・
まぁ・・・普通?(汗)
とにかく、たいした盛り上がりはなく・・
スポーツやってりゃ、誰でもぶつかるであろう壁を、
ちょっと謎解き風に入れ込んできてますけど、
誰でもわかるわっ!とツッコミたくなった。(汗)

こういうフツーの話を書いちゃうなら、
いつもの「不思議系」を書いてくれた方が私は嬉しいんだけどなぁ・・・
買わずに図書館で借りて正解だったわ。



 
   
願いながら、祈りながら


願いながら、祈りながら (文芸書)


2014/3/16 読了




内容(「BOOK」データベースより)
まるで時の女神が回収し忘れたようだ。北の大地の片隅に、ぽつんとたたずむ中学校分校には、一年生四人と三年生一人が学んでいた。たった五人でも、自称霊感少女もいれば、嘘つきな少年もいる。そこに赴任してきたのは、まったくやる気のない若い教師。けれど、やがて彼が知ることになる少年の嘘の痛ましい理由とは?ときには悩み、傷つきながらも、成長していく五人の、胸を打つ青春前期物語。


 

このタイトルの意味は、最後になってくるとわかります。
ほんと、私も、「願いながら 祈りながら」読み終わりました。

やる気のない教師、廃校が決まった分校の生徒5人・・・
それぞれに、個人的に、環境的に、いろいろ抱えています。
最初は、「ありがちなお話」・・・なんだけど、
途中から「どうしてこの子はこんな嘘をつくんだ?」という思いになり、
そして・・・というもの。

「自分は特別だと思いたい」少女や、
「一人ぽっちで本校の生徒と修学旅行に行かなくちゃいけない」少女など、
「わかるわ・・」って思う部分も多かったです。
せっかくの修学旅行・・・可哀想だったよ・・・

でも、二人とも、そして男子生徒も、ぶつかって、
自分で、支えてくれる人の存在のおかげで、立ち直って
しっかりと前を向いて生きていきます。

そして、最後に「いつか」の大事さを痛感させられます。
私たちは、当たり前のように「いつか」という「未来」があると思ってる。
そんなの、いつ何がおこるかわからないし、
そんな「未来」を感じられない人だっている・・・
その「いつか」と「ウソ」の関連性も、泣けてきた。

この子が、またこの場所に戻ってこられるように、
願いながら、祈りながら、本を閉じました・・・。

面白かったです。
乾ルカさんは、青春小説にシフトチェンジしたんですかね・・・?
また、「不思議系」も読みたいんだけどなぁ・・・
あ、これ、前も書いたな。(笑)



 
   
君の波が聞こえる




2014/6/10 読了




内容(「BOOK」データベースより)
一学期の終わりの日、ひとりぼっちで海を見ていた健太郎は、沖に浮かぶ謎の城に迷い込む。そこには同じように囚われた人々がいた。元の世界に戻るには「出城料」が必要だという。それはお金ではない何からしい。健太郎はもう一人の少年と次第に心を通わせ、誓いを立てる。二人でここを出るんだ、初めて見つけた友達だから―。思春期の友情が胸に響く青春小説。


 

乾ルカさんの作品で読んでいないものの一つに「四龍海城」がありました。
なんか、タイトルに惹かれなくて、読まずにいたんです。
先日、乾さんの文庫本が発売され、
おや?文庫書き下ろしか・・・?と思って手に取ると、
「四龍海城」を改題して発売されたものでした。
うむ、このタイトルなら読んでみたいかも・・・と購入。

吃音に悩む少年が、
海にそびえる都市伝説的な「四龍海城」に入ってしまい・・・というもの。
ファンタジーか?と思って読み進めていたんだけど・・
これは、実在するものの、政府黙認・・・っていう設定でいいのか?
それはそれで、ファンタジー・・・(汗)

しかし、そんなことはどーでもよくなるくらいの、
友情物語でございました・・。
「出城料」があれば出られるらしいんだけど、
それはお金ではない「何か」らしく・・・
現実逃避していた主人公も、ここを出るためにいろいろと考えるんだけど・・

「出城料」とは・・・
とても切ないものでした。
この迷城を出るために、失うもの・・・
失っても出たいのか、
失いたくないなら、出なくてもいいのか・・・
はぁ・・・・切ない結末でした・・・

でもね、私は思うの。
大切な「何か」を失っても、出たら良かったんだ。
そして、ゼロの状態で出会ってみたら良かったのよ。
そしたら、きっと心が惹かれあって、親友になれたはず。
だから、出たら良かったんだよ・・・

城から聞こえる、カレの「音」・・・
胸に響けど・・・・です。
はぁ・・・・切ない・・・・(涙)




 
   
モノクローム




2014/6/23 読了




内容(「BOOK」データベースより)
母さんが僕を捨てた理由。僕の、これからの生きる道。答えは全部、碁盤の上にある。暗闇の中に切なさがこみあげる青春囲碁長編。


 

乾さんの新刊。
今回は「囲碁」を扱っておりまして、
わたくし、囲碁・将棋、全然わかりませんもんで・・・
はたしてついていけるか・・・と不安でしたが、
メインの話は違うので、大丈夫でした!(笑)

5歳の少年が、母にアパートの部屋に置き去りにされ、
3日後に戻ると言われてたのに、帰ってこなくて、
寒くて、ひもじくて、部屋を出て向かいの家の犬小屋に避難し、
犬の体温に包まれ、犬の残したエサに食らいつく・・・
なんて悲惨なんだろう・・・ていう始まりです。

そのあと・・・何度となくこの少年・慶吾は母に「捨てられる」。
そのたびに傷つき、鎧を纏っていく。
一人でいい、一人がいい、一人になりたい・・・強くなるんだ・・・。
そんな慶吾と、温かい人たちと、囲碁と、母とのお話です。

人間は一人では生きていけない。
「人」を知ってる以上、人といる幸せを知ってる以上、
一人のほうがいい・・・わけはないんだよね。
慶吾は、施設で育ちながら、一人で生きていくと決めるも、
弱くなったり、強くなったりしながら成長していきます。

タイトルの「モノクローム」は、きっと囲碁の碁石の色の意味だけでなく、
色味のなかった慶吾の人生も表しているんだと思います。
そんな慶吾の人生が仄かに色づき、
温かい色に包まれていく様は、心が温まります。

しかーしっ!!
後に明かされる「母が慶吾を捨てた理由」ってのがねぇ・・
自分勝手すぎて、「母親」としては如何なものかと!!
この人にとっての「一番」に、慶吾はずっとなれなかったんだなぁ・・
なりかけたのに、慶吾自ら手放した・・・みたいなことになってるけど、
あんな小さな子に、んなことわかるかい!と。
んでもって、だからってその後の行動も納得いかんしさぁ・・・・

ま、この物語は慶吾のことを描いたことであって、
母にはそれなりの考えや想い、悩みや決断があったんだろうさ。
母メインで描けば、違う話になるのかもしれない。
ただ一つ言えることは、
何よりも大事なことがあったけど、それでも慶吾を生んだということ。
それは彼女なりの想いがあってのこと・・・と信じたいです。

これからちょっとずつでも、二人の溝が埋まるといいな。
慶吾の「荷物」はすこし軽くなったエンディングでしたが、
もっともっと楽に生きさせてあげたい。
だからこそ、母は力を貸すべきだと思うしね・・・。




 
   
11月のジュリエット




2014/11/10 読了





内容(「BOOK」データベースより)
高校2年の優香は乗り込んだ飛行機で、謎のガスにより乗客が大量死する事件に巻き込まれる。生き残ったのはわずか5人。地獄と化した機内に現れた4人の美青年たちは「NJ」という研究のデータを奪うため、秘密に触れた優香たちをも葬り去ろうとする。4人と対峙するうち、生きることに無気力だった優香は変わり始めるが―。閉ざされた飛行機で、凍えるアラスカの地で、少女は“生”を見つめ直す。名もなき花が導く、美しきサバイバル・ロマン。


 

なんか、可愛らしいタイトルに、可愛い表紙で・・・
内容が読めないなぁ・・・って思って読み始めたんだけど・・・

もう、凄絶な殺戮のシーンに・・・ドン引き。(汗)
人間さ、やっぱり老衰で死ぬのが一番幸せやなぁ・・・って
変なところに感情がぶっ飛ぶくらいの、
「苦しいながらの死」がたんまりと描かれております。

その後、生き残った数人が、
不思議なテロリストと戦いつつ、
隠されていた秘密が明らかになっていくわけだけど・・・

そこに至るまでに、耐えられるか・・・がポイントかも。(汗)
とにかく、もういいよ!ってくらい辛すぎるんですよねぇ・・・
何か「使命」をもって動いてるらしいテロリストなんだけど、
だからって、こんな殺し方はないよ・・・っていう。

しかも、読み進めていくと、
彼らの「ターゲット」は、たった一人の人間なの。
だったら、その人だけ始末すりゃいいのに、
同じ飛行機の乗り合わせたってだけで、
あんな風に死ななくちゃいけない理由なんて絶対ないもん!!
同じように、何の罪もない人たちが殺されたという「過去」があったにせよ、
仕返しのように何の罪もない人を殺すなんて・・・
胸糞悪いったらありゃしない!!

だから、可哀想な身の上だとしても、
最後まで同情はできなかった。
最後の最後で違う選択をしてくれたけど、
それでも、やっぱりアンタたちを好きにはなれなかったよ・・・

そして、とにかく、白山さんが素敵でした・・・
パニックになる高校生たちを前に、
最後まで勇気を与え、「生きろ」と言い続けた・・・
そして、死んでもなお、若者たちを守ろうとする執念・・・
この人のおかげ部分が大きすぎます!

11月のジュリエット、
ノベンバー・ジュリエット、
NJ・・
こんな言葉が出てきまくりですけど、
最後に「NJ」の意味が明らかになると・・・
なるほど・・・・
「生かされた意味」、「ここにきた意味」ってのを考えさせられます。

まぁ・・・一晩の出来事ではありましたけど、
その後、この惨状がどんなふうに説明できたのか・・
気になるとこだよね・・・(汗)
言っても、信じてもらえないと思うし・・・(滝汗)




 
   
森に願いを




2015/2/20 読了






実業之日本社

内容(「BOOK」データベースより)
いじめ、就職、恋愛、不治の病…さまざまな思いを抱えた人々の運命を変える言葉とは?静かな感動を呼ぶ「森」のミステリー。


 

ちょっと時間がかかちゃいました・・
不思議なお話に感じてしまったからかな・・・?

街中にポツンと、だけど広大に存在する「森」。
それぞれに悩みや苦しみを抱えつつ、
森に迷い込んだ人たちのお話たちです。

こんな風に、日常から切り離される空間があるって
羨ましいなぁ・・・って思っちゃいました。
緑って、本当に元気をくれますもんね。

それぞれに抱えてる苦しみは、
共感できるものもあれば、あまりに自分よがりすぎて
読んでても不愉快になるものもありました。
こんないろんな人に、それぞれにあった対処をする「森番」さん。
一体何者・・・?と思ったら・・・

最後の章で明らかになります。
カレも苦しみから森に救ってもらったんだね・・・
そして受け継がれる森の守り人・・・
優しい森と、優しい人たち・・・
ほんと、いろんな意味で羨ましいな、この街の人は・・・。




 
   
ミツハの一族




2015/5/27 読了






東京創元社

内容(「BOOK」データベースより)
未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは、“ミツハの一族”と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」のみ。黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の徒兄が死んだと。墓参りのため村に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う―。大正時代の北海道を抒情豊かに描いた、清艶なミステリ。


 

この世に未練がある魂を、送ってあげるお仕事・・・ですね。
それを、時代とか、その土地ならではの因習などでくるんで、
妖しげな雰囲気を出してる・・・そんなお話です。

望まずして、「烏目役」となった清次郎と、
これも望まずして「水守」となった美しき”少女”が、
二人力を合わせないと、死人を見れないし、送れない・・
死人をそのままにしておくと、村の水が濁ったままとなり、
村に危機が訪れる・・・
それを解消できるのは、烏目役と水守だけ・・・
だから、絶対的存在なのね。

ただ、水守の美しさに魅入られていく烏目役たち・・・・
しかし、、水守にはある”ヒミツ”があった・・・ってわけですが・・・

5話からなる連作短編集なんだけど、
徐々に距離を縮め、想いが募り、
最終的に、悲しい展開になっていくのよ。
それがさぁ・・・・
この能力がゆえの、その行動・・・っていう・・・(涙)

何も言わずに、「絶対的存在」である烏目役の言うことを聞く水守が、
本当は死人が何を求めてるかわかってるのに、言わない水守が、
とても切なくて・・・・

正直、逝かせてあげたいって思ったよ・・・(涙)

だから、最後に”烏目役”が見つけた”道”を、
早く成し遂げてもらいたいって思った。
こんな力に頼らないと存続できない村なんて・・・
苦しすぎるもん・・・。

とはいえ、未練を残して死んだ人は、
この二人に救われて旅立つことができてるわけで、
全部が悪いわけではないんだけどね・・・。

乾さんらしいお話でしたね。




 
   
奇縁七景




2015/8/11 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
奇想爆発!七つの“ことば”から生まれた、まったく読み味の違う七つの奇妙な物語。著者ならではの怪作集。


 

「ことわざ」というか、「知られてる言葉」がテーマとなった短編集。

最初の「虫が好かない」は・・・・
まさに、「虫も好かない」。(笑)
こんな虐待、許されていいのか!という怒りとともに、
最後は唖然の結末・・・
ざまぁみろ!とは思えない・・・・・おぞましい。

「目に入れても」は、ジジババあるある・・・かな?
可愛い=甘やかすになっちゃってる婆の、悲しい末路・・かな?
この年になっても自分が一番可愛いって思ってるなんて、
かなり痛々しい婆さんでしたよ・・・・。
後に、ちゃんと家族が再生されていたようで、何よりでした・・・

「報いの一矢」は、もしウチの夫が、街頭インタビューで、
スタジオの細木数子に同じように言われたら・・・
きっと、同じように言い返してたと思う。(汗)
それくらい、占いとか信じないタイプの人なんで。
なので、ちょいと他人事じゃないっていうか・・・
口は災いのもと・・・・ですな。
カレだけじゃなく、彼女にとっても・・・ですよ。

「夜の鶴」は、最後にじわ・・・っとくる話でしたね。
相手を思い出た行動が、相手を傷つけていた・・・
それを今はもう、お互い知ることはない・・・ってね。
切ないっす・・・。

「只より高いもの」は、そんなに怖い話じゃないよね。
そんだけのサービスがあるなら、
そんな裏があるのは当然だろうし。
本人、いや、本犬に害がない、または本犬も喜んでるのなら、
どんどん種をまき散らせばいいだけの話。
飼い主のお婆さんも、知らないほうが幸せよ、きっと。

「黒い瞳の内」は、ちょっとファンタジーか・・・?って気もするけど、
「あなたにだけ見える」
「あなたにだけ話した」ってのがさ、
長い長い道のりの先を示していて、
最後の別れもなんだか幸せの涙が出てきちゃいました。
いい話でよかった・・・

そして、最後の「岡目八目」は、
その言葉とおり、「第三者にはよくわかる」話・・・でした。
第三者っていうか、一人だけ存在が違ってますけどね・・・(笑)
これまでの話のその後がちょこっとずつ描かれていて、
そんなところも楽しめましたし、
こんな「オマケ」があるのなら、私もいざってときにはほしいな・・って
そんなことを思ったりしました。

全体的に楽しめる話が多かったものの、
最初の「虫が好かない」が結構不快感のある話で、
どうしてこの話を一番先にしたんだろう・・・?って思ったよ。
最初の一篇で本を閉じる人がいるかもしれないぞ・・・?
もったいない・・・・




 
   
花が咲くとき




2016/4/1 読了






祥伝社

内容(「BOOK」データベースより)
札幌で暮らす小学六年生の瀬川大介には、自らの鬱屈を晴らす、ささやかな楽しみがあった。それは隣家に住む、指が二本ない謎の老人佐藤北海が見守る貧弱な樹がつける花芽を削り取ること。開花を待つ北海の喜びを奪うことで、不満を溜めた老人が“暴発”することを願っていた。だが、夏休みに入ったある日、大介の油断を衝いてその樹が白い花を咲かせる。それを見た北海は突如ボストンバッグを抱えて旅に出発、両親と喧嘩して家出をするつもりだった大介は、急遽彼を追うことに…。一人の少年の好奇心と冒険心が生んだ心に沁みわたる感動の物語。


 

これはいい話だったわぁ・・・

イジメられた過去があり、
今は級友がイジメられてるのを息をひそめて眺めてるだけの
小学生の大介。
両親は教育熱心でそこでも不満を溜めていた大介は、
隣のお爺さん=北海さんが毎日眺めてる木に蕾ができると、
それをこっそり切り落とすというストレス発散をしていた・・・

ここまで聞くと、最低なガキやな!って思うでしょ?
うん、そうなんです。(笑)
でもね、これが最後にビターン!!とハマる瞬間がやってくるんです!
これはもう、久々のじわわーん・・・でしたよ・・。

夏休み、切り落とし続けたのに、花が咲いてしまった・・
ちっ・・・と思った大介。
翌日、北海さんが身支度して出かけるのを見かける・・
ついていってみよう・・・
何か起こりそうだ・・・と、大介の冒険が始まるんだけど・・・

小学生のガキの浅はかな考えから始まった旅。
最初は邪険にしていた北海さんも、
これも運命か・・・・と受け入れ、ともに旅をする・・・

旅の途中、いろんな人に出会う大介、
ずっと忍ばせていたナイフも、
心に抱えた傷も、
周囲への不満も、自分の弱さも、一つ一つ学びとっていく・・・
そして、旅の終わりに近づいたとき、
北海さんの決意に寄り添い、守ると決意するのよね。

北海さんの過去も、予想はしてたけどかなりシビアなもので・・・
人を赦すということ、赦されるということ・・
考えさせられましたね・・・
口で言うのは簡単だよね、だけどそれは本心ではない・・
本心ではないなら許さないという決断もまた真摯に伝わる・・

この夏休みで大介はどれほど成長しただろう。
親には計り知れない心配をかけてしまったけど、
大きすぎる財産を手に帰ってきた息子を、
どうか温かく見守ってあげてほしい。

そして最後・・・
二人は会えただろうか・・・?
北海さんの好物、食べてもらえただろうか・・・
心にホンワカと温かい気持ちが芽生えるエンディングでした・・。

乾ルカさんも、やっぱり好きな作家さんだな・・って実感した一冊です。




 
   
わたしの忘れ物




2018/4/19 読了






東京創元社

内容(「BOOK」データベースより)
中辻恵麻がH大学生部から無理矢理に紹介された、大型複合商業施設の忘れ物センター―届けられる忘れ物を整理し、引き取りに来る人に対応する―でのアルバイト。引っ込み思案で目立たない、透明なセロファンのような存在の私に、この仕事を紹介したのはなぜ?なぜこんな他愛のない物を引き取りに来るの?忘れ物の品々とその持ち主との出会い、センターのスタッフとの交流の中で、少しずつ心の成長を遂げる恵麻だが―。六つの忘れ物を巡って描かれる、じんわりと心に染みる連作集。


 

なるほどねぇ・・
伏線は確かにいくつもあったな・・・。

生きる意味や希望を見いだせない主人公が、
大学の学生課で紹介されたショッピングモール内の忘れ物センターで
バイトをすることになって・・・って言う話。

この主人公・恵麻自身が何かを抱えてるのは最初から描かれていて、
いくつかの忘れ物の行く末を見ているうち、
「自分の忘れ物」に気づく・・・って流れです。

なので、恵麻の忘れてるものって何だろう・・?って思いながら読んだんです。
なるほど・・そいうことだったか・・・
最初からおかしかったもんなぁ・・・
服装も、周りの反応も、家の感じも・・・
後で言われて、なるほどねぇ・・・って思っちゃいました。

しかし、忘れ物って、大変だなぁ・・・
主観だから、「靴ベラをなくした」って言われても、
見るからに靴ベラではなかった場合・・・うまく見つからないもんなぁ・・・
だから、詳細にお伝えしないとダメなぁ・・・って思ったよ。

成長していく恵麻。
このままずっとここでバイトして、
そのうち正社員にしてもらえばいいじゃん?って
軽い気持ちで読んでたら・・・そうはできないオチでしたなぁ・・・
そっか、期間限定ってそういうことだったのねぇ・・・

正直、このオチは驚いたけど、あんまり好きじゃない。
もっとハッピーだったらよかったのになぁ・・・
ほのぼの系だだと思ってただけに、悲しい裏切りでしたわい。(涙)