TOP > 作家別一覧 > 石田衣良

 石田衣良 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

北斗





   
北斗




2016/11/13 読了






集英社文庫

内容(「BOOK」データベースより)
「両親から激しい虐待を受けて育った少年、北斗。誰にも愛されず、愛することも知らない彼は、高校生の時、父親の死をきっかけに里親の綾子に引き取られ、人生で初めて安らぎを得る。しかし、ほどなく綾子が癌に侵され、医療詐欺にあい失意のうちに亡くなってしまう。心の支えを失った北斗は、暴走を始め―。孤独の果てに殺人を犯した若者の魂の叫びを描く傑作長編。第8回中央公論文芸賞受賞作。




WOWOWにてドラマ化・・・ってことで、予告映像を見てみたら、
中山優馬くんがすごいことになってて・・・
こんな風に演じるお話はどんなものなのか・・・って思って、
図書館で借りてみました。

ある少年のお話です。
あらすじにも、副題にも書かれている通り、
「殺人者の回心」ということで、カレは人を殺すのだってことは
最初からわかって読み始めました。

あまりにも悲惨な幼少時代。
父からも母からも凄まじい虐待を受け育ちます。
ある日、その虐待が止むときがきた・・
平穏な日々が訪れるかと思ったら、違う虐待が始まる・・・
このとき、北斗は違う怖さを感じ、
初めて救いの手にすがることにするんだけど・・・
こんな親、いるんだなぁ・・・って、しみじみ思った。
私はなんて幸せに育ったんだろう・・・って、
当たり前の有難味を改めて感じました・・・

養母と出会い、試し、愛された北斗・・・
でも、幸せな日々は続かない・・・
初めて愛された人を失うとき・・・
カレに訪れるであろうことは想像できた。
でも、その想像を越えていた・・・
やはり、穏やかに育った私には考えもつかない展開。

人を殺してしまった北斗・・・
後半は裁判へと移行していきます。
罪を償うということ・・
北斗は自分と向き合い、「愛される」という、
目を背けていたことにきちんと向き合っていきます。
自分への愛、他者への愛、他人の愛・・・・

最後は涙が止まらなかった。
被害者、遺族のことを思うと、胸は痛むけれど、
北斗のことを思うと、やはり「生きる」ということを願ってしまう。
下された判決に愕然とし、茫然とさせられた。
作者の巧さにやられた。

とても分厚い作品で、字も小さく、話も重たいけれど、
読む価値はあると思います。