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 石井光太 


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砂漠の影絵





   
砂漠の影絵




2017/2/15 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
2004年、イラク・ファルージャ。“首切りアリ”率いるイスラーム武装組織「イラク聖戦旅団」に5人の日本人が拉致された。アリたちの要求は、自衛隊のイラクからの即時撤退。しかし日本政府はこの要求を突っぱねる。日本国内では、人質の「自己責任論」が巻き起こり、処刑の期日は刻一刻と迫ってくる…テロリスト集団、彼らはいったい何を考え、何を目的にこのような組織となったのか?日本人被害者、テロリストの両方の立場から描かれる、現実にギリギリまで肉迫したストーリー。闇に包まれた身代金交渉の実態や、イスラーム過激派組織の内情、テロリスト一人ひとりの実人生、そして戦争から遠く離れた私たち日本人の生き様が、鮮明に炙り出される!戦争とは、家族とは、命とは何か―最強度の覚悟をもって読むべき、著者渾身の傑作長編小説。




イラクで起こった、人質事件・・・
記憶に残っている事件です。
でも、完全に「傍観者だった」って実感しちゃいました・・・。
これは「小説」だけれど、
命をかけたホントの物語だ・・・って思える重厚なお話です。

拉致された日本人5人と、
拉致したテロリスト側、
そして、救出に動く人たち・・・の3方向から描かれます。

「自己責任だ」と報道されたこと、記憶にあります。
仕事で行ってて巻き込まれたのでなければ、
取材で行ってたり、危険だって言われてるのに個人の意思で行ったのなら
そりゃ、自己責任だろう・・・って正直思ってしまったかも・・・(汗)

テロリストも人間で、そこにはその人なりの正義があって、
でも、伝えられるうちに歪められて、偶像化されて、
何が正しくて、どうしたいのかわからなくなって・・・
なんだか、胸がしめつけられる想いでした。
とはいえ、人を殺すことで自分の意思を伝えるなんて、
絶対に間違ってるし許せない。
やられたから、やり返す・・・なんて繰り返してたら、
戦争は終わらないもん・・・。
途中、テロリストに「どうして日本はあんなひどいことをしたアメリカを
同盟国として受け入れて仲良くできるのか?」って
問われる部分があります。
確かに、理解できないかもしれない。
だけど、そこには日本人の矜持があるわけで・・・

最後に、個人では理解し合えるのに、
どうして国や政治ってなると、こんな風になっちゃうんだろう・・・って
想うシーンがあります。
本当に、虚しいよね・・・。

最終的に描かれた結末は、とても苦いものです。
生き残ったカレの目から流れる涙に、私も泣けました・・。
これから、どう生きていけるんだろう・・・
くるしいだろうなぁ・・って思っちゃって・・・。
その、「後日談」がなかったのが、ちょっと尻切れな気もしますけども・・

450ページを超える大作で、内容も重たいんですけど、
文章はとても読みやすく、引きつけるものがあります。
是非、読んで見てほしい一作です。
いろいろと考えさせられちゃいます。