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 藤岡陽子 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

闇から届く命 いつまでも白い羽根 晴れたらいいね テミスの休息
満天のゴール





   
闇から届く命




2015/6/4 読了






実業之日本社

内容(「BOOK」データベースより)
都内の産婦人科病院に勤める有田美歩は、助産師になって六年目。勤務先にはやや問題があるものの、有能な先輩や同僚に恵まれ、充実した日々を送る。ある日、新生児室から一人の男児が消え…。使命感に燃える助産師たちが生まれくる命のために奔走する!




お初の作家さんです。

ある産科医院のお話・・・
↑のあらすじにある、「男児が消えた」は、
後の騒動にはあまり関係なく・・・
そう、後の騒動があまりにもひどすぎて!

ってか、これ、絶対映像化されたのを見たい!
一見不愛想な医師、
一見優しそうなボンボン、
頼りになる先輩助産師、
心配な後輩、
ワガママ師長、
使えない院長・・・などなど、キャラ濃い人ばっかり!(笑)

オマケに何人か登場する患者さんたちも、
それぞれに悩みや苦しみを抱えていて、
助産師って大変だな・・
子供を授かる、産む、育てるって、本当に大変だな・・・って
いろいろ考えさせられます。

そして、最悪の展開になっていくんだけど・・・
悲惨な状況に陥るも、最後はハッピーな終わり方で、
あぁ、この先、この二人がくっつくといいな・・
二人が営む病院での風景も覗いてみたいな・・・って思っちゃいました。

他の作品も機会を見つけて読んでみようっと!




 
   
いつまでも白い羽根




2015/6/17 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学した木崎瑠美。毎日を憂鬱に過ごす彼女だが、不器用だけど心優しい千夏との出会いや厳しい看護実習、そして医学生の拓海への淡い恋心など、積み重なっていく経験を頑なな心を少しずつ変えていく…。揺れ動く青春の機微を通じて、人間にとっての本当の強さと優しさの形を真っ向から描いた感動のデビュー作。




藤岡さんのデビュー作。
藤岡さんご自身も、社会人から看護学を勉強・・っていう
経歴をお持ちの方なので、実体験も織り込みつつ・・・なのかな?

私自身、看護師なんで・・・・(「だったので」だな)、
看護学校という専門学校ではなく、
大学へと進学したので、ちょっと環境は違うものの、
実習漬けの日々・・・てのは、懐かしく思いながら読んでました。

同じ年頃の若者が、
やれサークルだ、やれ合コンだと浮足立ってる中、
私たちは一日中実践に向けての準備を積み重ねていたのです。
いやぁ・・・ほんと、青春なんてなかったわ・・・(笑)
そんな中でもちゃんと青春してる友達は多数いましたけどね。(汗)


希望していた大学進学に挫折し、看護学校へ進学した主人公。
看護師への夢を熱く語る人や、
何を考えてるかわからない飄々とした美女、
子持ちの既婚者などなど、いろんな人が在籍しておりまして、
「早い段階でやめるだろう」と言ってた主人公は、
結局最後までやり通すことになります。

でも、一人二人と消えていく・・・
辛い実習や、家庭環境、そして理不尽な要求により、
やめていってしまうのよね・・

だけど、曲げちゃいけない信念はある。
何にも染まらない「白」であるために・・・。
うん、わかるよ。
それは看護師という職業だけではなく、
きっとどんなお仕事をしてる人でも思ってるだろう「初心」だ。
その気持ちを忘れずに、染まらないでいたいという思いで、始める・・・
なのに、始める前から白ではいられないんだとしたら・・・
やめたくなる気持ちもわかるな・・・と。

現実社会、そんな甘いもんじゃないけど、
スタートくらい、いや、スタートする前くらい、白でありたいもんね。
だから、もう一度頑張ってほしいよ、彼女には。
彼女のような人こそ、この仕事につくべきだし・・。

不幸にも命を落とす仲間も出てきますが・・・
それはそれで、彼女の本懐を遂げた・・ってことになるのかしら?
共に死んだ人が、ずっと探していた人・・・ってことなんでしょうかね・・・

とても大変な看護学校時代ですが、
実際に働き始めたら、もっと大変でした。
あのユニフォームを着ていたら、
患者さんにとっては私も「看護師」なんです。
パッと見、新人なんてわかりません。(老け顔ですから(笑))
いや、新人だろうが何だろうが、看護師なんです。
いきなり突きつけられた責任に押しつぶされそうになりながら、
何とか必死に頑張ったあの時代・・・
今ではとても懐かしく、愛おしく思います。
すっかりその世界から足を洗い、(笑)
今は患者としてしか病院に通わない私ですが・・
とても郷愁を感じる作品でございました・・・。




 
   
晴れたらいいね




2015/8/31 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
現代の看護師が、従軍看護婦に異動。2015年東京の総合病院から、1944年マニラの日赤救護班へ。託されたのは彼女たちの決意。今の日本を変えられる、小説の圧倒的な凄み!




戦時中にタイムスリップ・・・っていうと、
よくある話に思えますが、
この作品は、「看護師が戦時中にタイムスリップ」って話なんです。
女子が・・っていうのは、珍しいかな・・・?って思うんですよ。
しかも職業婦人ですから。

私も看護師なので、かなり入り込んで読みました。
看護師だけに限らず、こういう命に係わる仕事をしてる人は、
タイムスリップという特殊な環境下でも、
目の前に傷病者がいると、体が自然と動くものなんだと思う。
この話の中の紗穂も、戸惑いながらも従軍看護婦として
いつしかどっぷりとこの時代を生きていきます。

そう、生きるんです。
この時代、戦争時、天皇陛下のために命を惜しまず、
捕虜になるくらいなら生き恥さらさず死に向かう・・
それが当たり前だった時代。
戦争の終わりが間近だと知っていて、
命の大切さを知ってる紗穂の
「私は生きる!」という強い想いが周りの人に影響していく・・・
いつしかこの紗穂の信念が、
みんなにとっての救いの糸となっていたんだよね・・・

何気なく歌った紗穂の「晴れたらいいね」も、
みんなを励まし続ける・・・

物語は終戦へと近づくも、
フィリピンでの戦況はすさまじく、
生きのびることすら難しい状況へ・・・

読んでいるうちに、「現代に戻れるのか?」ということより、
「みんなで生きて日本に帰れるのか?」という思いになっていく。
全員で帰還船に乗せてあげたい!
不思議な感覚に陥っていき・・・

結末はあっけなく、え・・・?となりますが、
ちゃんと終章でまとめてくれます。
長い時を経ての再会。
泣けました・・・
生きて、生きて、生きてきたんだもんな・・・。

タイムスリップそのものへの突き詰めをすると
ツッコミどころや言いたいことはたくさんあるけど、
そこはどーでもよくなるくらいのいい話でした・・・。

あと、この作品の名セリフ。
「命を生み出し、そして育むのに、女たちがどれほどの時間と力を
費やすのかを、男は知らない」
知ってたら、戦争なんてできないはずだもんね・・・。




 
   
テミスの休息




2016/5/8 読了






祥伝社

内容(「BOOK」データベースより)
沢井涼子は一人息子の良平を引き取り、横浜・鶴見に居を構えて八年。離婚した夏、雑居ビルに楽しげに荷物を運び込む青年を見かけ、なぜか話してみたいと思った。それが弁護士・芳川有仁との出会いだった。開設された事務所に採用されて以来、誠実に最善を尽くす芳川のために頑張っている。今日もまた、苦しみを抱えた新たな依頼人が…。




一人の弁護士と、その事務所で働く女性事務員がメインで
構成されたお話で、いくつかの短編が綴られています。

若き弁護士と、シングルマザーの女性との出会いから、
事件を通しての二人の関係・距離の変化、
最後はほっこりと、幸せを感じられるエンディング・・・
うん、好きです!

とくに好きだったのは、「も一度パスを」かな・・
一度罪を犯した青年が、過去がらみで再び罪を犯すんだけど、
最初の件、そして今回の件、
繋がってて、そして、今がある・・・
不幸だけど、それだけじゃない・・・
パスをつないでくれる人たちの為、もう一度・・・
そんな温かい話でしたね・・・。

最後の「疲れたらここで眠って」も、
ずっと事務所に関わってきたある人の件で、
解決してほしいという思いももちろんあるんだけど、
命を想うと、なんだか切なくて・・・
それに・・・この人が亡くなられたら、顧問契約とか・・
どうなっちゃうんだろう・・・とか・・・

とはいえ、微妙な関係の二人が、
最後はいい感じになってきてて、
この二人、実写化で見たいなぁ・・・って思いました。
もうちょっとエピソードを溜めて、ぜひドラマ化はいかがですか?
私の脳内ではすでに、キャスティングできてますけど!!(笑)




 
   
満天のゴール




2017/11/16 読了






小学館

内容(「BOOK」データベースより)
舞台は星空が美しい医療過疎地。人生どん底のシングルマザー、人生に責められ続ける医師、人生をあきらめている老女、3人の出会いが、人生を変えてゆく―希望をもたらす、人間味あふれる医療小説。




いやぁ・・・泣きましたわ。
寝る前に読んじゃって、翌朝、目がパンパンっていうコースです。(笑)
よくやります、私。

夫の浮気で離婚をつきつけられた女性が、
幼い息子を連れて田舎に戻る・・・そこから始まります。
暗闇の森の中に白装束の男を見た・・・なんて、
ちょっとファンタジー系か・・?って思わせる描写もありますが、
いやいや、リアルに現実を描いた医療小説です。

看護師の免許を持ってるけど、母の死をキッカケに
看護師にはならずに結婚して主婦として生きてきた女性。
でも、シングルマザーとして生きていくために、
三十代で新米看護師として働きつつ、
老いた父、無邪気な息子と生きる日々が始まるんだけど・・

まー、夫が最低でさ!
自分が悪いなんて考えなくてもいいよ!
もらえるもんはふんだくって離婚してやれ!!って思ったもん。
自分が浮気したくせに高飛車な夫で、
人の夫奪ったくせに高圧的な女で・・
似た者同士の最低コンビさ!縁を切っちゃいな!!

新しい土地での新しい生活・・
ご近所の老女、病院の医師とのかかわりで、
いろんなことが明らかになっていくさまも、
もう、本を途中で置くことはできません!

そして、真実が明らかになって、再会を果たし、
別れの時を迎える・・・
もう、涙なくして読めません・・・(涙)

満点のゴールを迎えることができたら・・
そのゴールを見届けるというお仕事・・
いろいろと考えさせられます。
人は一人じゃ生きていけないね・・・
この土地で残されて生きていく人たちが、
それぞれの満点のゴールを迎えられることを
星空に祈りたくなる、そんな作品です。