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 帚木蓬生 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。
これまでもいくつか読んでますけど、機会があれば書きます・・・

悲素 受難





   
悲素




2015/9/12 読了






新潮社

内容(「BOOK」データベースより)
悲劇は、夏祭りから始まった―。多くの犠牲者を出した砒素中毒事件。地元刑事の要請を受け、ひとりの医師が、九州から和歌山へと向かった。医師と刑事たちは地を這うように、真実へと近づいていくが―。現役医師の著者にしか描きえない、「鎮魂」と「怒り」に満ちた医学ミステリーの最高峰!




「和歌山カレー事件」を元にした小説ではありますが、
ほぼ、ドキュメンタリーですね。
実際に事件捜査に協力した医師を主人公にして書かれたモノで、
事件の詳細を追う展開になってます。

知らないこともたくさんあって、興味深いものでした。
この先生は、カレー事件だけではなく、
松本サリン事件や地下鉄サリン事件の捜査にも協力されてます。
この分野のスペシャリストはとても少なく、
貴重な存在ってことですよね。
自分の仕事もあるのに、何度も和歌山に通って診察もされていて、
頭が下がる思いでした・・・

ただ、文章としては、何度も同じことが出てきます。
診察前、診察中、警察への報告、検察への報告、裁判・・・と、
もう、それ、何度も聞きましたけど・・・・?って感じで、
最後の方はちょっと飛ばしながら読んでしまいました。(汗)

あと、私は医療従事者でしたので、医療用語などは簡単に
頭に入ってきますけど、普通は難読かもしれないですねぇ・・・

最後の刑事さんのお手紙は心に染みました。
あまりにも大きな事件に関わり、
人生を変えさせられたのは被害者だけではなかったのね・・・

かなり分厚い本です。
でも、読む価値はあると思います。




 
   
受難




2016/7/21 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
韓国の珍島沖で大型旅客フェリー「世月号」が沈没、三百人超の犠牲者が出る大惨事となった。船への過積載、乗組員の経験不足など、事故調査が進むにつれ、その杜撰な管理体制が明らかになる。さらに船会社のオーナーも事故直後から姿を消していた。時を同じくして、日系ブラジル人の津村リカルド民男が経営する韓国・麗水の細胞工学治療院に、冷凍保存された少女の遺体が運ばれた。依頼者の男は、滝壷に落下して溺死したその遺体を蘇らせてほしいという。津村はiPS細胞と最先端の3Dプリンターを駆使し、彼女のレプリカを作ることを決心する。見事に蘇生した少女は、徐々に記憶を取り戻しながら、世月号の事故に関心を抱いていくが…。




以前読んだ「悲素」みたいに、ほぼドキュメンタリーやん!っていう、
そういう話かと思ったけど、違ってました。
韓国の「セウェル号沈没事件」をベースに、
近未来の技術も合わせて・・・のフィクションです。

セウォル号沈没が起こった同時期、
先端医療としてiPS細胞と3Dプリンターを用いて
人を生き返らせる研究をしている津村のもとに、ある依頼が・・・
滝壺に落ちて死んだ孫娘の冷凍遺体から、レプリカを作ってほしいと・・。
動かない人形ではない、
細胞も臓器も皮膚も、全部そっくりに作り出し、
脳を移植して、目覚めさせて、以前のように生きていってもらう・・
実際に、春花という少女は、目覚め、記憶も徐々に取り戻していく・・


ネタバレです。


セウォル号とこの医療がどう関係してるわけ?ってなると、
必然的に、あぁ、春花は・・・ってことになるよね?
で、途中から、春花の祖父はきっと・・・って、気づくわけです。

おぼろげな記憶から、事件を調べていくうち、
自分が巻き込まれたこと、祖父の正体へとたどり着く・・・・
最後、春花が取った行動は・・・・ってわけだ。

生還した春花は、完全とはいいがたく、
ちょっとした疲れや紫外線で皮膚があっという間に老化していく・・・
何度も繰り返すうち、自分の未来に何かしらを感じた・・ってのも
あるだろうし、
自分の過去を調べるうち、祖父の正体に気づき、
また、セウォル号の悲劇についても調べていったことで、
祖父をこのままにはできない、
ひいては、自分も・・・って考えたんだろうなぁ・・

勝手に生き返らせられたものの、
二度目の人生をしっかりと生き、自分で幕を下ろした春花。
哀しいけど、これでよかったのかもしれないな・・・

読みながら、どんな風とおとしてくるのか?って期待してたけど、
個人的には納得です。
実際にこんなことが実現したら・・
人の命って、いつ終わるんだ・・・?って怖くなるね・・・
医学の進歩は、恐怖でもあるわ・・・(汗)
何事もほどほどが良いと思われ・・・。

セウォル号事件の真相を詳しく知るにつれ、
なんて悲惨な人災だったのか・・と愕然とします。
遺体として見つかったオーナーが、実は・・・っていうこの説も、
あながち間違ってない気がする・・・
もし、本当にのうのうと生きてるとしたら・・・許しがたいですわ。