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 葉真中顕 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

ロスト・ケア 絶叫 ブラック・ドッグ コクーン
政治的に正しい警察小説





   
ロスト・ケア




2013/3/18 読了





内容(「BOOK」データベースより)
社会の中でもがき苦しむ人々の絶望を抉り出す、魂を揺さぶるミステリー小説の傑作に、驚きと感嘆の声。人間の尊厳、真の善と悪を、今をいきるあなたに問う。第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。




新人さんなのに、この出来・・・
感動しましたよ、あたしゃ。

社会派ミステリー・・・そんな感じでしょうか。
介護問題を扱っており、少子高齢化の現在の問題を
ミステリーにして読者に問う・・・って感じです。

現実にあった、介護保険施設の不正を彷彿とさせる出来事から、
老人の死にまつわる数字・・・
そして見えてきた真相・・・
それは・・・

人の命を奪う行為は許されない。
しかし、介護する側の負担や苦しみは現実のもので、
読んでいて、他人事ではないんだな・・・としみじみ。
作者の伝えたい思いは、十分に伝わる一作。
次回作も期待したいところです。




 
   
絶叫




2014/11/7 読了





内容(「BOOK」データベースより)
鈴木陽子というひとりの女の壮絶な物語。涙、感動、驚き、どんな言葉も足りない。貧困、ジエンダー、無縁社会、ブラック企業…、見えざる棄民を抉る社会派小説として、保険金殺人のからくり、孤独死の謎…、ラストまで息もつけぬ圧巻のミステリーとして、平凡なひとりの女が、社会の暗部に足を踏み入れ生き抜く、凄まじい人生ドラマとして、すべての読者を満足させる、究極のエンターテインメント!




「ロストケア」で鮮烈なデビューを飾った葉真中さん。
次作は、500ページ越えの書き下ろしです。
500ページ・・・?と聞くと、躊躇される方もいるかもしれませんが、
大丈夫!
一気読みです!

豪邸での男性殺人事件、
その一か月後の、身元不明の女性の孤独死・・・
一体、この二つの事件に何の関係が・・?という始まり。

物語は、「陽子」に語りかける形で、
陽子の人生の振り返りから始まり、
並行して、身元不明の遺体を調べる女刑事が描かれます。
ま、この時点で、身元不明の遺体=陽子となるわけですが・・・

確かに、親の愛情を十分に受けられなかった陽子には
同情の余地はあるものの・・・
その後の人生は、自分で選択していったもので、
誰を恨むこともあるまいに・・・っていう感じ。
そんな陽子のもとに訪れる、「死んだ弟」・・・
その言葉に導かれるように、罪を犯していくわけですが・・・

まぁ、「陽子」と語りかけるスタイルで始まるため、
オチは何となく予想はついてたんです。
やっぱりか・・・って思っちゃいました。
でも、最後の最後で、「あぁ、この人が・・・」ってなって、
思わずページを遡って再度確認しちゃいましたよ。
こういうオチが用意されてると、
「やられた」感があって、読後感がアップしますよね!(笑)

感じとしては、「嫌われ松子の一生」のような感じで、
一人の女性の半生を振り返りつつ、
事件の真相に・・・っていうスタイルで、
読みやすく仕上がってました。
ただ、陽子に同情の余地が少ないっていうか・・・
そこが「松子」との違いかな・・・?

とにかく、周りに振り回されて生きてきた女が、
自分で自分の人生を掴みとった・・・といえば聞こえはいいですが、
真っ当に生きなはれや・・・と言いたいですな。(汗)

現代の闇や犯罪を見事に組み合わせつつ、
時代も振り返りながら描かれた一作。
今作も面白かったです!
次作も楽しみにしてますよ!!




 
   
ブラック・ドッグ




2016/7/12 読了






講談社

内容(「BOOK」データベースより)
目的のためには殺人も辞さない過激な動物愛護団体、“DOG”。遺棄動物の譲渡会とペット販売が行われるイベント会場に集まった隆平、栞、結愛と拓人たちは、“DOG”によって会場に閉じ込められ、見たこともない謎の黒い獣に襲われる。次々と食い殺されていく人間たち。獣から逃げるため、逃走を開始するが―。




葉真中さんはずっと追いかけてる作家さんで、
社会派なイメージがあるんだけど・・・・
これは、全然違った!
ま、ある意味「メッセージ性」はあるので、
社会派とも言えなくはないが・・・・
とにかく、パニックものでございます!!

あるイベント会場で、防火扉が全部閉まり、
中に大勢の人が閉じ込められてしまった・・・
そして、そこで放たれたのは・・・・恐るべき生き物だった!って話。

この各章のタイトルが良く出来てて、
序章が”熊”。
外国で襲われた家族は、何に襲われたかわかりにくくて、
熊か・・・?って感じなわけよ。
でも、第一章は、その会場に現れた生き物は”犬”で、
第二章になると、”獣”に襲われまくって、
第三章は、それでも恐ろしいのは”人”だったりする・・・っていう、
良く出来たタイトルなんですよ。
うん。


ネタバレです。



しかし・・・これでもか!と人が死にます。
おそらく何百人といただろう人は、最後にはたったの5人に。
しかも、そのうちの一人は・・・っていうね。

首謀者は誰だ・・・?と話は進んでいくけど、
明らかに「アンタが生き残ってるのはおかしい」って人がいて、
コイツだな・・・・って思ったら、やっぱりだった。
で、「アイ」の正体が・・・
そうきたか!!って感じで。
そうだよね、黒い犬たちに命じられるのは、
確かにアンタしかいないわな・・・っていう・・・。

交配に交配を重ね、動物を、
愛すべき姿や、便利な体に作り変えてきた人間。
いつかこんな風に「突然変異体」に襲われる可能性は
ないとは言えないわけで・・・

命をいただき、命を慈しんでるってこと、
ちゃんと日々感じて生きなくちゃ・・・ってしみじみ思ったよ。
人として生まれた責任だよな・・・。




 
   
コクーン




2016/11/16 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
1995年3月20日、カルト教団『シンラ智慧の会』通称「シンラ」の教祖、天堂光翅の命を受け、白装束に身を包んだ6人の信者が、丸の内で無差別乱射事件を起こす。その宗教は、1958年ひとりの女が呪われた子を産む決意をした日に始まる。たとえ今、生きる意味が見出せないとしても、もしかしたらこの子は、私に生きる意味を与えてくれるかもしれないと―。




新作は、何とも精神的にズドーン・・・とくる話。
実際に起こった事件や組織と重なる部分が多く、
最後の結末の持って行き方は、ちょっと納得いかんかなぁ・・・(汗)

ある宗教団体が起こした事件の被害遺族、関係者、首謀者・・
いろんな人がメインになる連作短編集です。
大まかにいうと、「バタフライエフェクト」・・・
小さな出来事が波及して大きなことへとつながっていく・・というような。
あれがあったから、こうなった・・・
じゃ、あれがなかったら、こうならなかった・・・?
いや、そうじゃない・・・そんな風な展開です。

最終的に、「あの子を産んだからこうなったのか?
いや、産んでなくてもこうなったかも・・・いや、
それ以上にひどいことになったかも・・・
だから、間違ってなかったんだ・・・」と、
そんな風にまとめられちゃてるんだけど、
いやいや、アンタがそれを言うな・・と言いたい。
死ぬ間近の人間にひどいことは言いたくないが、
こんな人間を産み育てた事実は、
被害者にとっては「間違ってなかった」って言われたら
どんな気分になるんだっつー・・・
まぁ、言ってない、思ってるだけだからいいかもしれんけどさ・・
ちょっとイヤー・・・な気持ちになりました。

で・・・ここからがすごかった。

読み終わったんだけどね。
この本、図書館で借りたんだけど、
ちゃんとビニールでくるまれてないわけ。
普通の図書館本は、ビッチリとビニールでくるまれてるでしょ?
それが中途半端に片方がはずれてるの。
なんでこんなことに・・・?って思って表紙の紙をはずしてみたら・・・

なんと、本体にびっしりと文字が!!
そう、続きが書いてあったんですよ、本体に!
そこに書かれていたのは・・・
あまりにも苦しい因果のようなもの・・・・
あんなに苦しんだのに、またも・・・
めぐるめぐるよ・・・・と悍ましい結末・・・

はぁ・・・・みんな、心が疲れたり寂しい時、
すがるものを間違えないでね!!
甘い言葉に気を付けて!
・・・マジで、怖いっす・・・。




 
   
政治的に正しい警察小説




2017/10/28 読了






小学館文庫

内容(「BOOK」データベースより)
飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭作家・浜名湖安芸は、「ポリティカル・コレクトネス」をコンセプトにした警察小説という“意識高い”依頼を受けた。パワフルでエキセントリックな編集者を相手に、ハマナコは超大作を書き上げる!?(「政治的に正しい警察小説」)大学生の僕は、偶然通りかかったカレー店で思い出の味に再会した。幼いころに生き別れた母の味だ。女店主にその「秘密の隠し味」を訊ねると…。(「カレーの女神様」)そのほか、児童虐待、将棋、冤罪、尊厳死など、多彩なテーマの六編を収録するブラックユーモア・ミステリー集。著者初の文庫オリジナル作!




これは絶対タイトルをつけ間違ってると思う。
このタイトルだと、なんだか面倒くさい話を語ってるの?って思っちゃうじゃん?
葉真中さんの本は全部読もうって思ってたけど、
ジャケットを見て、本屋の棚に一度戻しちゃいましたもん。(汗)
知り合いに「面白いから読んでみて!」って言われて
文庫本だから買ってみるか・・って再度手に取ったの。
面白かった・・
ただし、表題作はイマイチだったけど・・
それ以外の話はどれも面白かったです!!

「秘密の海」は児童虐待のお話なんだけど、
虐待されて育って、自分が親になれるのか・・?って考える人は
きっとたくさんいると思うんだけど・・
連鎖しないといいな・・・って思う・・そんな単純な話じゃなく、
ミスリードが見事で、なぬ!!ってなる話です。

「神を殺した男」は、今流行りの将棋界のお話。
神とされる棋士。
その棋士を殺してしまった男・・・
なぜ殺したのか・・・?ってのが最後にわかるんだけど、
エゴ・・・だよね。(汗)
でも、その気持ちはわかる気もする・・・
神を、神にした・・・わけだよね・・・。

「推定冤罪」は・・・おいおい、お前かい・・・っていうね。(汗)
この手の人間がかかわると、わからなくなるよねぇ・・・
恐ろしい・・

「リビング・ウィル」は・・・いろいろ考えさせられるよね・・
元気な時の考えと、いざそうなったときの考えが一緒か・・?ってね。
まさかの、「そうじゃない!」が二度やってくるとはねぇ・・
いやはや、皮肉な結末・・・

「カレーの女神様」は・・・もう、しばらくカレーが食べたくなるかも・・?(笑)
もぉ・・・なんて話なんだ!!
煮込むなよ、そこで!!っていう・・・
思い出の味がまさかの・・・でね。
いやぁ・・カレーだから為せる技・・だよね。
なんでもカレー味になっちゃうから・・・(汗)

表題作は・・・うーん・・・やっぱり何度考えてもイマイチ。
でも、知り合いは、表題作が好きって言ってたのよね・・・
好みが分かれるのかなぁ・・・?