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 早見和真 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

イノセント・デイズ 95 小説王 神さまたちのいた街で





   
イノセント・デイズ




2015/7/8 読了






新潮社

内容(「BOOK」データベースより)
放火によって奪われたのは、元恋人の妻とまだ1歳の双子の命。確定死刑囚、田中幸乃の人生は、「不運」と「悪意」が支配していた。「暴力」と「裏切り」も加勢する。だから、なのか?ひとりの男だけが、味方であり続ける。なぜ彼は、彼女を最後まで信じようとしたのか?「整形シンデレラ」とよばれた鬼女。彼女が犯した「罪」、その死刑囚が犯した最大の罪とは?衝撃指数極大値。先入観を紛砕する圧倒的長編。




お初の作家さんです。

「イノセント」とは、無垢な、純情な・・・という意味のほかに、
無実の・・・という意味があります。

元恋人の家族を放火殺人で殺した女性・幸乃のお話。
まずは死刑判決から始まるんだけど、
その場で微笑んだ理由、その相手が気になる描かれ方・・
そして何より、判決文に沿っての「振り返り」・・・
この構成が面白かったです。

被告のこれまでを判決文ではビシっ!と簡潔に言い切ってるんだけど、
実はそんな簡単な話ではなかったんだよね。
一人で生きてきたわけではなく、
いろんな人が幸乃の関わっていたんだ・・・

ただただ幸せでいたいと思ってた少女が、
1つ1つ大切なものを失い、
それでも必要とされることに生きる意味を見出し、
それすらも失って・・・の、事件、死刑判決、そして・・・

幸乃が最終的に至った「結論」が悲しすぎて、
アンタは一人じゃないよ!
勝手に自己完結するな!!って言いたくなったけど、
あまりにも苦しい人生を生きてきた幸乃に、
最後に神様がくれた「キッカケ」を手放そうとしない姿に、
虚しいやら、切ないやら・・・でした。

幸乃はある病気を抱えていて、
いざというときに出てしまう病なんだけど・・・
最後の最後、幸乃はその病すら乗り越えて
自ら選んだ道を進んでいきます。

待って、あと少し!!と心の中で焦りながらページをめくりました。
幸乃の人生、
幸乃のために必死に頑張った人の人生、
幸乃に救われた人の人生・・・など、
「その後」には全く触れられていなくて、
それが更に虚しさを増すというか・・・・

でもね、こんな幕引きでは、
あなたは救われても、救われない人が遺されるんだよ・・
切なすぎるよ・・・

なかなかの衝撃作。
他の作品も読んでみたくなりました。




 
   
95




2016/2/29 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
95年、渋谷。時代に抗うように、街を駆け抜けた、17歳の少年たちがいた。2015年の年末、37歳となった秋久のもとに母校の女子高生から連絡が届く。卒業制作のテーマとして「1995年」について調べているという。彼女と会った秋久は、自分の人生を変えたその年のことを語り始めた―。95年3月20日、地下鉄サリン事件が起きた。平凡な高校生だった秋久は、人の死に直面し動揺するなか、縁のなかった4人の同級生から渋谷のカフェに呼び出される。強制的に仲間入りさせられた秋久だったが、彼らとセンター街を闊歩し、刺激的な毎日を過ごすようになる。世界が劇的に変わるのを実感していた。だがある日、リーダー的存在だった翔が何者かに襲撃される。秋久は復讐を誓い、真犯人を捜すため行動に出るが…。




渋谷でヤンチャしていた若者の話・・・です。
うん、それだけっちゃー、それだけの話・・・

正直、何がカッコよくて、何がカッコ悪いとか、
この年頃は大事で、それだけ考えてたりで、
わからないでもないんだけど・・・
だからって、やってることは全然褒められたもんじゃなくて、
未成年がやっちゃいかんこと、やりまくってるし、
全然共感はできなかった。
ただ、カッコ悪い大人にはなりたくないって気持ちはわからんでもない。
でも、方向は間違ってると思う・・・

で、今!の大事さ、仲間の大事さ、
若者特有の無謀さ・・・ってのをこれでもか!と描いて、
20年後の再会・・・と。
まぁ・・・ふーん・・・・ですよ。
みんな元気で良かったね・・・っていう。
また何年後・・・とかじゃなくてさ、
これからは普通に連絡とって、会いたいときに会えば?って言いたいわ。
人間、いつどうなるかわからんのだし。

ってことで・・・・
かなり限定されたターゲット向けの小説・・・かなぁ・・・?
そんな気がします。
ではでは。




 
   
小説王




2016/7/2 読了






小学館

内容(「BOOK」データベースより)
三流編集者と売れない作家が、出版界にしかけた壮大なケンカ!!全国の書店の方々をザワつかせた問題作ついに刊行!物語に救われたことはあるか?




マンガである「バクマン」とか、「重版出来!」の小説版って感じかな?
作家と、編集者の奮闘記・・・でしょうか。

デビュー作は賞をとったものの、鳴かず飛ばずの作家と
同級生で小さな出版社に勤める編集者。
作家・豊隆の才能を信じ、連載を勝ちとる!と意気込むも、
出版業界の不況のあおりを受け、苦悩する編集者・俊太郎。
仲間や同志とともに、博打に打って出る!っていう展開。

豊隆にとって、たくさんの出逢いがその後の成功を導いたよね。
そして、俊太郎にとっても、豊隆の才能との出会いで、
自分の道を突き進んでこられたわけで・・・
この二人の小学校での出会いは、運命だったわけよねぇ・・

小説が大好きな私には、
心からガンバレ!って思える話で、
この二人だけではなく、大作家先生や、俊太郎の家族など、
たくさんの人たちの想いが文章から感じられて、
後半は一気読みでした。

最後の結婚式での出来事は、都合よく上手いこといっちゃうのか・・・?って
思ったけど、どんな上手いこといきませんでして・・・
でも、それでいい、また頑張れ!って力がわいてくるエンディングでした。




   
神さまたちのいた街で




2017/5/20 読了






幻冬舎

内容(「BOOK」データベースより)
父が交通事故に巻き込まれたことをきっかけに、父と母は違う神さまを信じはじめ、ぼくの家族には“当たり前”がなくなった。ぼくは担任の先生に助けを求めたが、どうやら先生にも自分の正義があるらしい。大人たちが信じられなくなったいま、ぼくの「正しい」の基準は、親友の龍之介だけ。妹のミッコを守ることでなんとか心のバランスを取りながら、ぼくは自分の武器を探すことにした。いつか、後悔だらけの大人にならないために―。『ぼくたちの家族』から6年。次の家族のストーリー。あの頃の“痛み”がよみがえる成長の物語。




弱い親を持つ子の哀しさ・・・でしたねぇ・・・。

交通事故で会社を辞めることになった父が宗教に・・・
その父に連れられて集会に参加させられる主人公・征人。
母も次第に追いつめられ、違う宗教に溺れていく・・・
違う思想を追い求める両親に苦しめられていく征人と妹のミッコ。
何が正しくて、何が悪なのか・・・
誰を信じたらいいのか・・・
そんな征人のそばには、いつも親友・龍之介がいてくれた・・・
そんなお話です。

弱ったとき、何かにすがりたい気持ちはわからんでもない。
すがった結果、何かいい方向に事が進んだとき、
信じたくなる気持ちもわからんではないんだけど・・・
その結果、家族を苦しめてはダメでしょう。
「家族が一番!」って言いながら、大事なものが見えてない父に、
読んでてホントに引っぱたいてやりたくなった。
夫に言いたいことを言えず、行動を起こすこともできずに、
弱ったときに入り込んでくる「手」を掴んでしまう母にもガッカリ・・・

一番無条件に信じたい存在である家族に失望し、
頼れると思ってた担任も、初恋の女の子も、その宗教の人間で、
孤立無援だとお先真っ暗な征人を、いつも支えてくれてる龍之介・・・
この存在がなかったら、どうなってたか・・って思っちゃうよ。(涙)

龍之介だけじゃない、優しく温かい友達もたくさん。
縁のない外国人も、親身になって考えてくれる・・・
人間、一人ぽっちなんかじゃない。
辛いときは助けを求めていい存在はきっといる。
・・・ま、両親にとってそれは宗教だったんだけどね・・(汗)

最後はもっとハッピーエンドかと思ったけど、
現実はこうなのかもしれないね。
逃げても解決しない。
「自分」をしっかり持って、仲間と共に乗り越えろ!
この苦しみはいつまでも続くわけじゃない。
無力な「子供」の時間なんて、人生から考えると短いんだ!
あと数年耐えるんだ・・
頑張れ!…そう、願わずにはいられないお話でした・・・。