TOP > 作家別一覧 > 呉勝浩

 呉勝浩 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

道徳の時間 ロスト 蜃気楼の犬 白い衝動
ライオン・ブルー





   
道徳の時間




2015/11/4 読了






講談社

【第61回江戸川乱歩賞受賞作】問題。悪い人は誰でしょう?――ビデオジャーナリストの伏見が住む鳴川市で、連続イタズラ事件が発生。現場には『生物の時間を始めます』『体育の時間を始めます』といったメッセージが置かれていた。そして、地元の名家出身の陶芸家が死亡する。そこにも、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。イタズラ事件と陶芸家の殺人が同一犯という疑いが深まる。同じ頃、休業していた伏見のもとに仕事の依頼がある。かつて鳴川市で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラを任せたいという。十三年前、小学校の講堂で行われた教育界の重鎮・正木の講演の最中、教え子だった青年が客席から立ち上がり、小学生を含む300人の前で正木を刺殺。動機も背景も完全に黙秘したまま裁判で無期懲役となった。青年は判決に至る過程で一言、『これは道徳の問題なのです』とだけ語っていた。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていくが、「ジャーナリズム」と「モラル」の狭間で、伏見はそれぞれの事件の真相に迫っていく。



今年の乱歩賞作品。

まず・・・初めに巻末の「選評」を見てしまったので・・・
読後の感想としては、池井戸さんの票に一票・・・かな?
オリジナルがどんなで、どんなふうに手直しが入ったのか、
果たして、そこまで直さないといけないものが大賞でいいのか?っていう、
そこもそうなんだけど・・・

そもそも、文章がまわりくどいというか、読みづらい。
間に旅行を挟んだものの、それがなかったとしても、
ページがなかなか進んでいかなかった。

この作品を推していた作家さんたちの言う「先を読みたいと思わせるモノ」は
確かに最初はありましたけど、
ドラマでいうところの、「最終回だけ見ればいいや」みたいな、
オチだけ早く教えてくれよ・・・って気持ちにさせられました。(汗)

ツカミとしては、「道徳の問題です」とか、
「道徳の時間です」とか、一体どういう意味??って感じで
ツカマれたな・・・って気はしたんだけど・・・

とにかく、オチがねぇ・・・
そんな動機??
えぇ〜・・・?
で、「やっぱりこの人はあの人の・・・」っていうのも、
かなり早い段階でわかってることなのに、
ずっと延々引っ張り続けますし・・・
最後に「バーン!!」って種明かしがあっても、
「いや、知ってたし・・・」って冷めた目で見ちゃうっていうか・・

あと、過去の事件と主人公のカメラマンの個人的いざこざが、
最終的につながるんだけど、
もっと違う繋がり方を予想してたので、
「なんもないんかい!」って思っちゃった。
そこが残念ね・・・。

ほかの候補作は知らないけど、
これを大賞にするのなら、「大賞ナシ」でも良かったんじゃないかな・・?
ま、次作を読んでみて・・・かな?

あ、これは個人的感想で、楽しく読まれる方もいると思いますので、
「こんな風に感じるヤツもいるのねぇ・・」ってことで、
スルーしてくださいね!




 
   
ロスト




2016/2/9 読了






講談社

内容(「BOOK」データベースより)
「ムラセアズサを預かっている。これはイタズラではなく、正真正銘の営利誘拐だ」無断欠勤を続けていた村瀬梓が勤めるコールセンターにかかってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく、会社にかけてきたのか。なぜ、1億円なのか。なぜ、100人も必要なのか。警察と“関係者”たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていく―。




江戸川乱歩賞受賞後の作品となります。
受賞作の「道徳の時間」でも思いましたが、
「引っ張り方」があんまり好きではない。
持って回った言い回しに、読書時間が途切れてしまうんです。
なので、ちょっと時間がかかりました・・・。

しかし、ある部分から、先が気になって一気に読みました。
事件は、ある女性が誘拐され、
身代金1億円を、警官100人で全国に散らばって運べというもの。
前代未聞の誘拐j件です。

物語は、被害者が勤めるコールセンターにいる男性、
被害者が所属していたアイドル事務所の社長、
誘拐事件で身代金を運ぶ役になった刑事、
そして、この事件を解決に導くエリート刑事・・という視点で描かれます。

たくさんの複雑な出来事などが、もう、これでもか!と散りばめられ、
どんどんこんがらがって、これ、最終的にまとまるの?って思うんだけど、
途中から、あ、そういうこと・・・?ってなっていきます。


ネタバレです。


この物語の「肝」となるのは、アイドル事務所の社長の「過去」です。
この人のしたことはひどい。
オマケに、当時は罪悪感も感じないゲーム感覚でやってるんだから。
その結果、たくさんの不幸を招きます。
今では自分の罪をわかってるせいか、
理不尽な暴力も受け入れていたようですが・・・
本当の苦しみは、まだわかってなかった・・・って感じかな・・?

最終的に、真犯人と対峙する面々。
そこには、悲しい「動機」がありました。
どうして遺体はバラバラだったのか、
どうして警官100人に身代金を運ばせたのか・・・
最後は「そういうことか・・・」と、きちんとまとまります。

この安住が起こした事件は非道なものだけど、
今現在では、本当に悪い人はいなかったって気がします。
誰しもが、誰かを思って・・・の行動だった気がして。
だからこそ・・・の、この結末だったのかな・・。
哀しいけど、この結末である程度の決着はついたのかな・・・と。

長いし、字も小さいし、回りくどいし・・・
正直、読みやすい文体ではないとは思うんですが、
前作よりは読ませるチカラがあったと思います。
もうちょっと、まとまってるといいかなぁ・・・?
次回作に期待、ですね。




 
   
蜃気楼の犬




2016/6/28 読了






講談社

内容(「BOOK」データベースより)
江戸川乱歩賞作家による五つの警察連作小説。県警本部捜査一課の番場は、二回りも年の離れた身重の妻コヨリを愛し、日々捜査を続けるベテラン刑事。周囲の人間は賞賛と若干の揶揄を込めて彼のことをこう呼ぶ―現場の番場。ルーキー刑事の船越とともに難事件の捜査に取り組む中で、番場は自らの「正義」を見失っていく―。




江戸川乱歩賞をお取りになってから、
ずっと追いかけてる作家さんですが、
正直、長編は読みづらい作家さんだなぁ・・・って思ってて。
でも、今作は連作短編集でして、
かなり読みやすかったし、繋がりもちゃんとあって、
短編向きかも・・・?って思っちゃいました。

「現場の番場」と呼ばれる初老の刑事・番場。
少年のような正義感あふれる新人刑事の相棒を持ち、
二回りも年下の妊婦の妻を持つ男が、
数々の事件を解決していくお話なんだけど・・・

目の付け所がさすがだね!なお話たちでしたね。
この番場さんの「モチベーション」は、
新人刑事のような真っ直ぐな正義感ではない。
いっぱい事件を扱って、たくさんの犯罪を目にすると、
まっすぐな正義感はゆがんだり失ったりするもの・・・
でも、番場には守りたい存在がいる!
その愛する家族が犯罪に巻き込まれないよう、
安全な街にしたい・・・それが、彼の今の心情なのです。
その結果、真実が目についていくわけだけど・・・

あえて明らかにしなくてもいいだろう・・・
自分の胸にしまっておこう・・・
そうすることで逆に苦しめばいい・・・みたいな部分もあったりで、
新人くんに嫌われちゃったりするんだけど、
経験豊かな刑事らしい・・・ともいえるかな?

どの話も面白くて、
最後の長めの表題作では、いろいろとつながりも見えて、
ほほぉ・・・って思わせるものもあったんだけど、
ただ一つ、気に食わないところは・・・
番場の妻・コヨリですよ。
なんで家を出た?
義兄との関係もいまいち見えないけど・・・
そもそも、こんなオッサンと結婚した理由は?・・・と、
そんだけ家族を守ることに執着してるのに、
そこんとこがあんまり描かれてないのでスッキリしなかったんだよねぇ・・・

ま、概ね楽しめたのでヨシとしましょう。
もしかして、続編があるとか・・?
そのときは、嫁と子のこと、ちゃんと描いてくださいね!




 
   
白い衝動




2017/2/23 読了






講談社

内容(「BOOK」データベースより)
小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。「ぼくは、人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死には至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族…そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。「孤人」に向き合うことはできるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。




これはかなり重たい作品でしたね・・・。

殺人衝動を抱えた中学生、
そして、それを受けるカウンセラー。
その町に、猟奇的な犯罪を犯して罪を償った男がやってきた・・
そんな展開です。

正直、私には理解できないっていうか、
人を殺す=いけないこと・・っていうことに、
何の疑問も感じない私にとっては、
そこに疑問を感じたり、それでも衝動を抱えてしまう人っていうのは、
やっぱり異世界の人間って思いたくなっちゃうんですよね。
でも、共存しなくちゃいけない・・
それが社会ってもので・・
だけど、できれば関わりたくないし、そばにきてほしくもない。
でも、見えないだけでそばにいるかもしれない・・・
いつ発動してもおかしくない衝動を抱える人間が・・・。
うーむ・・・。

その難しい題材に真正面から向き合った作品です。
自らも衝動を抱えて生きてる人間、
衝動を抑えられなかった者、抑えたいと思う者、
その衝動に巻き込まれてしまった者・・・
いろんな立場の人間を描いていて、
読んでて苦しくはなるものの、
ページを捲る手を止められません。

最後はある事件が起こり、その件では「一体誰が?」ってことで
真犯人は・・?って展開になってるんだけど、
ここまで人を苦しめてるんだなぁ・・ってしみじみでした。
でも、それもある意味「衝動」で、
抑えられなかったわけで・・・。

最後は、衝動を抑えるためのカギを渡す主人公ですが、
わが身の心配も・・・ですよね。
はぁ・・・最後まで重かったわ・・・。(汗)




 
   
ライオン・ブルー




2017/6/12 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
生まれ故郷である田舎町の交番に異動した澤登耀司、30歳。過疎化が進む町で、耀司の同期・長原が姿を消した。県警本部が捜査に全力をあげるも、長原の行方は分からなかった。事件に巻き込まれたのか。それとも自らの意志なのか。耀司は先輩警官・晃光の言動に不審を抱きながらも、長原失踪の真相を探っていく。やがて、町のゴミ屋敷が放火され、家主・毛利淳一郎の遺体が見つかった。耀司は、長原が失踪直前に毛利宅を訪ねていたことを掴むが…。乱歩賞作家が放つ衝撃の交番警察ミステリ!




読むのに時間がかかったわ・・・

同郷の警官が失踪したと聞き、
異動願を出して戻ってきた警官である主人公。
失踪した友達の行方を探るうち、
その街での因果関係に巻き込まれていく・・・って話だけど・・・

いろいろ調べてる!
アイツが犯人だと思う!
一体どうなってるのか知りたい!!
そんなスタンスの主人公なわけです。
まぁ、普通はそう思って読みますよね?



ネタバレです。



まさか、まさかの・・・「オレがやった」ですよ。
失踪した警官の想いを自分が晴らす!ってんで、
二人も殺したとですよ、コイツ。
はぁ・・・?っていう。
それで、あの子を見守りたい・・・とか、なんか気持ち悪いんですけど!!
この人の正義って何なんだろうね?
最後まで全然気持ちが乗らずに読みましたわ。

はー、疲れた。