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 角田光代 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。
リンクしていないモノは、おいおい感想を記載していきます。

八日目の蝉 森に眠る魚 ツリーハウス 空中庭園
かなたの子 対岸の彼女 紙の月 私のなかの彼女
平凡 笹の舟で海をわたる おまえじゃなきゃだめなんだ 月と雷
坂の途中の家 私はあなたの記憶のなかに





   
八日目の蝉




2010/2/10 読了





内容(「BOOK」データベースより)
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。




(読後間をおいてのレビューとなります)

NHKでドラマ化され、映画化までされた有名作。
私はドラマ化の前に読みました。

正直、人の子を盗んで逃げる女の心理なんて、
わかりませんよ、私には。
だけど、愛する人の子を中絶し、結果子を産めない体になって、
その苦しみの中、天使の微笑みを目の前にしたら・・・
思わず・・・手が出てしまうかも・・・という気持ちにはなる。
だけど、だからって逃げようとは・・・
うーむ・・・と思いながら読んでいました。

逃避行・・・
いつ見つかってもおかしくない状況で、
出来上がっていく「母と子」の関係・・・
何も知らず、目の前の女性を母として認識して育つ子が、
とても不憫でした・・・

そして、とうとう別れの時が突然やってきて・・・
その場面はやっぱり泣いちゃいましたねぇ・・・
そして、残された子のその後の人生を思うと、
本当に、なんて罪なことをしたんだ・・って思っちゃいました。

誰しもの苦しみが伝わる今作。
映像化されて、再び伝わる・・・
いい作品ってのは、形を変えてもいいもんですな。



 
   
森に眠る魚




2012/2/13 読了





内容(「BOOK」データベースより)
東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。




「文京区」で起こった悲しい殺人事件を思い出させる物語・・・
でも、残虐な事件モノ・・ではなく、
女性の心、母親の孤独と苦しみを描いた作品です。
読んでいて、ホントに胸が苦しくなりました・・・

フジテレビで「名前をなくした女神」というドラマが放送されましたが、
おそらくこの小説が元になってると思われます。
・・・原作があるとはされてませんが。(汗)
酷似してるのに・・・
何の文句も言わない角田さんはすごい。(笑)



 
   
ツリーハウス





2013/8/1 読了






内容(「BOOK」データベースより)
じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣は、初めて家族のルーツに興味を持った。出入り自由の寄り合い所帯、親戚もいなければ、墓の在り処もわからない。一体うちってなんなんだ?この際、祖父母が出会ったという満州へ行ってみようか―。かくして、ばあさんとひきこもりの叔父さんを連れた珍道中が始まる。伊藤整文学賞受賞作品。




三世代の人生の記録・・
祖父の人生に興味を持った孫と、
お祖母ちゃんと叔父さんとの旅・・・
時代を行ったり来たりしながらも、
壮大に描かれた、ある家族の記録・・・
じっくりと、そして一気に読み終えました・・・。

読み応えがあります。
特に事件があったり、どんでん返しがあったりするわけではない、
ある家族の物語です。

登場人物は少なくない。
だけど、それぞれが生き生きと描かれ、
まるでその場面を覗き見ているかのように、
共に時間を過ごしたかのように思えてくる・・・

読み終わって、しばらくたっても余韻が残る・・・
そんな作品です。
オススメです。




 
   
空中庭園





2013/11/8 読了





内容(「BOOK」データベースより)
郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。でも、本当はみんなが秘密をもっていて…。ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見た風景を描く連作家族小説。




何事も包み隠さずがモットーの家族のお話・・・。
そんな、ヒミツのない人間なんていないっしょ。と言いたくなった。
でも・・・抱えてるヒミツがデカすぎて、
アンタら、何してんの・・?って言いたくなる。(汗)

夫・妻・娘・息子・夫の愛人・・・と、それぞれの立場から語られる話。
それぞれの視点で、それぞれのヒミツを暴露していくわけですが・・
夫がクソでしたね。(笑)
これ、映画化されてるんでしょ?
夫役、誰やねん・・・って思ってググってみたら、板尾創路だった。
うむ、納得。(なんでやねん!(笑))

誰しもが抱える不安や不満、
それを表に出さず、取り繕いながら生きている不安定さ、
まさに、空中庭園のよう・・・
それでも最後は光が見えてくる・・・かと思ったけど、
このまま、波風立たずにいられたら・・・な終わり方でしたね。

なんかさ、孫のヒミツを垣間見ちゃったお祖母ちゃんがさ、
命がかかってるってのに、手術するときの麻酔で、
無意識に「ヒミツの暴露」をしちゃうんじゃないか・・って、手術を拒否するのがさ、
なんかさ、苦しかったよ・・・
このお祖母ちゃんに苦しめられたお母さんは、この思い、わかってあげられるのかなぁ・・?



 
   
かなたの子





2013/11/10 読了







内容(「BOOK」データベースより)
生まれなかった子が、新たな命を身ごもった母に語りかける。あたしは、海のそばの「くけど」にいるよ―。日本の土俗的な物語に宿る残酷と悲しみが、現代に甦る。闇、前世、道理、因果。近づいてくる身の粟立つような恐怖と、包み込む慈愛の光。時空を超え女たちの命を描ききる傑作短編集。泉鏡花文学賞受賞。




なんか・・・全体的におどろおどろしいというか・・・
気持ちの悪い作品でしたね。
短編集だし・・・
ちょっと合わない作品かも・・・・です。

一番ゾッ・・・としたのは、「同窓会」。
ふとした思い付きで、あーいう遊びをしちゃうよ、子どもは。
しかし・・・だからって・・・
放置して、そのまま死なせちゃうとか・・
一生忘れられないよ、マジで・・。(滝汗)
あぁ・・・
想像しただけでゾッとする!!



 
   
対岸の彼女





2013/11/12 読了






内容(「BOOK」データベースより)
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。




まるで対岸にいるように、立場も環境も違う二人の女性・・
そんな二人の共通点は、同じ大学で過ごしたことのある同い年ということ・・・
その二人、小夜子と葵の物語と並行して、
葵の高校時代の、ナナコという同級生との話が描かれていくわけですが・・・

イジメられても、「いいの、ここに私の大事なモノはないから」と
言い切るナナコがすごいな・・・と思った。
だけど、そう思うことで鎧を纏っていたんだろうな・・・とも思う。
そんなナナコに憧れ、あの時を過ごし、超えてきた葵もまた、
その鎧を纏う人生に・・・
そんな葵に影響される小夜子・・

立場が違ってくると、途端に距離や壁ができてしまう、
悲しい生き物、それが女。
どうしても、比較しちゃうんだよ、女は。
だけど、そんな対岸にいる相手と、そんなん乗り越えて友達になれたら・・
それは一生の友達だな・・って思えた。

葵の過去と現在の話を交互に描きつつ、
複雑に生きる現代の女の友情物語を描いている作品ですね。

WOWOWのドラマも、原作読了後に観ました。
原作の大事な部分を、セリフも忠実におさえていて、
良い出来だったと思います。




 
   
紙の月





2013/11/13 読了





内容(「BOOK」データベースより)
わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。梨花は海外へ逃亡する。彼女は、果たして逃げ切れるのか?あまりにもスリリングで狂おしいまでに切実な、角田光代、待望の長篇小説。




銀行に勤めていた主婦が、一億円を横領し逃亡・・・
一体、なぜそんなことに・・?というお話。

人間って、誰しもが100%満たされてはいない。
しかし、そこに何を感じるかで、その後が変わるんだと思う。
足りない部分を、何かで埋めようと必死にになる人・・・
この話の主人公は、そういう人だったんだと思う。
読んでいるうち、自分に重ねてしまって、
今の自分にそれほど不足を感じていない私は、
「あれ?私も”足りない何か”を埋めないといけないのか?」って
変な方向に考えそうになった。(笑)

ポカ・・っと空いた穴を、年下の男や人と関わることで埋められて、
そしたら、他の穴も見つかって、そこも埋めたくて、
埋まったら幸せで、もっともっと・・って、
そして、埋めるために欠かせない「金」が自由になる環境にあって・・・

主人公は、「もしあの時、あーじゃなかったら・・」と言います。
でも、途中で気づく。
もしあの時、あーじゃなくても、きっと結局こーなってるはず・・・と。
そうだよ、あの時そーしなくても、いつか、こーしてたんだって。

そして逃亡した主人公・・・
そこで終わります。
そのあと、彼女はどうなったの?と私は思いません。
勝手にしやがれです。
ただ・・・何も知らずに残された旦那さん、どうなったのさ!と思う。
妻の不貞や横領を一気に知らされ、そのあと、どうなったのか・・・
はぁ・・・不憫なり・・。

世の旦那さんよ、妻は結構ため込みます。
仕事でお疲れとは思いますが、家庭を守るために、
家に帰って、もう一仕事してください。
妻の様子をうかがうだけでいいんです。
何か一言、かけてあげてください。
それだけで、小さな穴が大きくなる前に、埋めることができますから・・。



 
   
私のなかの彼女




2014/3/10 読了





内容(「BOOK」データベースより)
男と張り合おうとするな。みごとに潰されるから。祖母の残した言葉の意味は何だったのだろう。全力を注げる仕事を見つけて、ようやく彼に近づけたのに、和歌と仙太郎の関係は、いつかどこかでねじ曲がった。心血を注いだ渾身の長篇小説。




角田さんは、時間を決めて仕事場に”出勤”し、
決まった時間だけ仕事をして、家には持ち帰らない・・・
家では小説のことは一切考えない・・・というスタンスをお持ちの作家。
これはいろんな番組でおっしゃってるので知ってました。

この本の主人公は、
イラストレーターとして売れた恋人に、
認めてもらいたくて、追いつきたくて、作家になった女性の話。
この女性は、角田さんとは真逆で、
書くことに集中すると何もできなくなるタイプで、
生活は乱れ、恋人との間にも隙間風が・・
そして、人生の岐路ともいえる大きな悲しみを経験します。

「私のなかの彼女」とは、きっと「祖母」ですね。
そして、それは祖母でもあり、母でもあり、
自分が見ようとしなかった「自分」でもある。
それを、いろんな苦しみや悲しみ、出会いを通して、
十何年もかけて気が付いていきます。

こんなにも息苦しく生きていくことは、
私はとてもできない。
こんな風に人生をいろいろ考えて生きてこなかったですから。(汗)

だけど、人に言われて気づいて、はっ!となっても、
時すでに遅し・・・というか、
「察しなさいよ」と言いたくなる部分は多々あって、
あぁ、不器用な女性なんだなぁ・・・って感じです。

いろいろ人生を迷い、寄り道し、
最後にたどり着いた「芯」のようなもの。
それが見えたのなら、もう大丈夫だろうな・・・って思えました。
角田さんの書く「女性」は、いろいろ抱えてるけど、
なんか、放っておけないんだなぁ・・・(笑)




 
   
平凡




2014/7/17 読了





内容(「BOOK」データベースより)
もし、あの人と結婚していなければ。別れていなければ…。仕事を続けていれば。どんなふうに暮らしたって、絶対、選ばなかった方のことを想像してしまう。6人の「もし」を描いた傑作小説集。




「平凡」という名の本ですが・・・・
内容は全然「平凡」じゃない。(笑)

私は常日頃、「平凡」の有難さを考えて生きているので、
自ら「非凡」の道を選ぶ人が理解できん。(汗)
自分がいる場所を自ら見つけ、
そこで穏やかに暮らすことが何よりも有難いと思ってるのでね。

とはいえ、理解できるんだよなぁ・・・
誰しもあると思うのよ。
「もしも、あのとき、違う選択をしていたら・・」って考えること。
結婚に関連することなら、
「あのとき、違う返事をしていたら・・・」とか、
「あのとき、違う人を選んでいたら・・」とか、
今の自分に不満がなくとも、ふと考えてしまうことってあるよね。
私も時折、「仕事をそのまま続けていたら、どうなってただろう・・・」って
考えるもん。

この話では、
「もしも」の道を選んだ「自分」が、「どこか」で生きてるっていう感覚が
描かれてるんですよね。
私は「もしも、あのとき・・・」と考えたとしても、
違う道を選択したであろう「自分」を、そこまで掘り下げて考えたりはしない。
簡単にいうと。。。無意味に思えるから。(汗)
ふと、軽く考えることはあっても、
まるで「違う世界」で生きてるみたいに考えることはないよなぁ・・・
でも、まったく違う自分を妄想したりはするけど。
たとえば、「宝くじがあたったら・・」とかね。(笑)

きっと、私は今が幸せなんだろうな。
数々の岐路で自分が選択してきた答えの先にある今を、
私は否定したくないし、
そうでありたいと思ってるから。
ひいては、自分の人生の幕を下ろすとき、
この道で間違ってなかったと思いたいから。

「平凡」は、そこにいるとつまらなく感じたとしても、
実はとても有難く、幸せなことだと、私は思う。
だから、「平凡」な今に、感謝して生きていこうと思ってます。




 
   
笹の舟で海をわたる




2014/11/19 読了





内容(「BOOK」データベースより)
あの日、思い描いた未来を生きていますか?豊かさに向かう時代、辛い過去を葬ったまま、少女たちは幸福になったのだろうか―。激動の戦後を生き抜いたすべての日本人に贈る感動大作!




長かった・・・・
かなり苦戦しましたよ・・・・

戦中、疎開先で出会った二人の女性、左織と風美子。
戦後、しばらくして偶然再会し、
ともに人生を過ごしてきた・・・って話なんだけど・・・

とにかく、主人公・左織に共感できなくて・・・・
んでもって、風美子をミステリアスに描いてるもんだから、
実は・・・裏で・・・最後に・・・っていう、
そういうのを期待してしまって、
読み終わって、肩すかしっていうか・・・(汗)

幼い頃の「悪い自分」を引きずって、目を背けて、
だけど、風美子がそばにいるかぎり、忘れることはできなくて・・
だからといって、向き合いはせず、
何かにつけて人のせいにし、自分を追いつめて・・・
もぉ・・・、勝手にしやがれです。(笑)

娘との関係が悪化していく様も描かれてますけど、
いわゆる、「空気の読めない母」なんだよな、左織は。
繊細な娘・百々子にとっては、それに痛く傷ついたわけで・・・
何度もチャンスはあったのに、仲直りはできないまま・・

唯一の支えの息子も、ノーマルではなくて・・・・
受け入れ、認めようともしない・・・
そんなんじゃ、そりゃアンタ、一人になるさ・・・ってなもんで・・

それでも、風美子は一緒にいてくれるわけやん?
なんでそんなに左織を慕ってくれていたのか・・・
最後まであんまり伝わってこなくて・・・
家族がいない風美子にとって、
何気ない左織の言葉が支えになってたのかなぁ・・・?

どっちかというと、左織目線より、
風美子目線で聞いてみたかったな…って気がした。

ドラマチックな展開やオチはありませんので・・・
結構な分厚さの今作、なかなかの忍耐が必要かもしれません・・・
あ、個人的見解なんで・・・




 
   
おまえじゃなきゃだめなんだ




2015/2/22 読了






文春文庫

内容(「BOOK」データベースより)
ジュエリーショップで、婚約指輪を見つめるカップルたち。親に結婚を反対されて現実を見始めた若い二人と、離婚を決めた大人の二人。それぞれの思いが形になる光景が胸に響く「消えない光」他23編。人を好きになって味わう無敵の喜び、迷い、信頼と哀しみ、約束の先にあるもの―すべての大人に贈る宝石のような恋愛短編集。




とっても短い短編がたくさん詰まってます。
3〜4ページくらい・・・・?
でも、そんな短さでも伝わるものはあるわけで・・・
さすがだな・・・って思います。

だけど、ちょっと煩雑にまとまってる作品ですよね?
共通したテーマは「恋愛」ってことくらい・・・?
「指輪」にまつわる話は多いけど、全部じゃないし・・・
短編がたくさん集まったんで文庫化してみました・・・みたいな?
そんな感じかな?

表題作は、「山田うどん」のお話で・・・
こんな固有名詞バンバン使っていいのか?と思ったら、
山田うどん絡みで書かれたモノみたいで・・・(笑)
しかし、「驚くほど美味いわけでもない」とか、
ドンピシャな表現にコッチが焦らされたり・・・(笑)
ま、福岡生まれの私にしてみると、
あのふにゃふにゃのコシなんて欠片もないうどんが、
懐かしく感じることがある・・・ってのに似ていて、
そんなところに郷愁を感じたりしておりました。(笑)

最後の「消えない光」を読んで・・・
これから結婚する人にはぜひ参考にしてほしいと思いました。
結婚式とか婚約指輪とか、
そんなことにお金をかけるくらなら旅行とか新生活に・・・って
合理的に考える風潮にありますが、
式や指輪って、まさに「儀式」なんですよ。
覚悟というか、ケジメというか・・・
そこを乗り越えたり、そういう証拠の品があることで、
簡単には別れられないって感じるんだよね。
結婚するということを、ちゃんと形にして残しておくということは、
その後の覚悟になるのです。
だから・・・どんなに安いものでもいいから、
男性は女性に指輪を送っておきましょう!
・・・指輪じゃなくても、何か形になるものをね!




 
   
月と雷




2015/6/24 読了






中公文庫

内容(「BOOK」データベースより)
幼いころ、泰子の家でいっとき暮らしをともにした見知らぬ女と男の子。まっとうとは言い難いあの母子との日々を忘れたことはない泰子だが、ふたたび現れた二人を前に、今の「しあわせ」が否応もなく揺さぶられて―水面に広がる波紋にも似た、偶然がもたらす人生の変転を、著者ならではの筆致で丹念に描く力作長編小説。




ダメンズの話は、本当に嫌いなのよ・・・・
で、そのダメンズから離れない女の話も・・・

しかし、この話は、そんな簡単なもんじゃない。
ある日、母が出ていき、男の子を連れた女がやってくる。
主い共に暮らしたその二人と、
年月を経て再び関わることに・・・という話なんだけど、

この二人に出会ってなかったら・・・
自分の人生はもうちょっとマシだったのでは・・・?と
どうしても思わずにはいられない気持ちはわからんでもないのよ。
いわゆる「普通」でいられたのではないか・・・って。

だけど、自分の人生を狂わせた張本人の口から、
目から鱗の言葉をもらう。
そっか、そうだよね・・・と、憑き物が落ちたかのように
達観して生きていく・・
うん、女は強いよ。
弱い女もいるけど、基本、女は強い。
母になればなおさら・・・かな?

不意に出ていき、不意に戻ってきて、
再び約束したくせに、消えていく・・・
そんな男と関わってしまったのなら仕方ない。
自分は自分。
生きていこう・・という結末で、
いやはや、普通の有難味をしみじみと感じた私です・・・




 
   
坂の途中の家




2016/1/29 読了






朝日新聞出版

内容(「BOOK」データベースより)
刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだった―。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの心と闇に迫る心理サスペンス。




わー・・重たかった・・・。
これ、持って行かれますよ、マジで。
小さいお子さんを子育て中のママには
絶対オススメできません。(汗)

一番手のかかる時期の娘を持つ里沙子は、
ある日、「幼い我が子を風呂に落として死なせた母」の裁判の
補充裁判員になる・・・・という話。
きっと、子育てをした人なら誰しも陥るだろう穴を、
これでもか!と角田さんがほじくってきます。
子育てをしてない女性も、子をもつ男性も、子を持たない男性も、
そして、かつて子育てをしたはずの女性も、
”今”、この状況にいない人たちにさえ、
背筋が寒くなるお話になっているのです・・・。

こういう裁判ってさ、「同じ境遇にある人」を裁判員に選ぶのかな・・?
全く対極の人、無関係の人、似たような人・・・って、
いろんなパターンで選択されるのかしら?
だとしたら、里沙子は本当に不運だっただろうね・・・。

裁判で明らかになる、被告の姿や周囲の人の言葉、
それを見せつけられ、いつしか自分と重ねていく里沙子・・・。
最後は里沙子なりの結論に達するんだけど、
一理あるかも・・・と思った。
旦那さんは、無意識に妻を「飼育」しているんだ。
そして妻は、それに疑問を持たずに過ごしてる・・・。
でも、この裁判に関わることで、「何かが変わる」ことを
旦那さんも恐れてる・・・
今の自分が置かれてる状況、ここに至るまでのこと、
そしてこれからのことを考え愕然とする里沙子・・・
どうするんだろうねぇ・・・

個人的には、そんなに深く考えなくても・・・って言いたくなった。
確かに、自分に重ねてしまう部分は仕方ないと思うけど、
そもそもが相手の言動に敏感に反応しちゃう人なんで、
ズボラで適当に無神経な私には理解できな部分が多い。(汗)
逆に、そんな私の言動に、夫が日々心をやられてないか・・・?って
そっちが心配になった。(滝汗)

とにかく、ドンドン追い込んできますよ、この本。
里沙子の状況にいない私でも、ズドーン・・・ときましたから、
子育て中のママさんたち、読むことはオススメしません。
「私、結構ポジティブだし、子育て順調だし!」ってママさんだとしても、
この本を読むと、思い出したくもないことや、忘れたいこと、
見ないようにしていたことを、
ごそっ!っと掘り返される恐れがありますから・・・。

はぁ・・・重かった。
次はお気楽な本を読もうっと・・・。




 
   
私はあなたの記憶のなかに




2018/4/2 読了






小学館

内容(「BOOK」データベースより)
角田ワールド全開!!待望の小説集。「父とガムと彼女」初子さんは扉のような人だった。小学生だった私に、扉の向こうの世界を教えてくれた。「猫男」K和田くんは消しゴムのような男の子だった。他人の弱さに共振して自分をすり減らす。「水曜日の恋人」イワナさんは母の恋人だった。私は、母にふられた彼と遊んであげることにした。「地上発、宇宙経由」大学生・人妻・夫・元恋人。さまざまな男女の過去と現在が織りなす携帯メールの物語。「私はあなたの記憶のなかに」姿を消した妻の書き置きを読んで、僕は記憶をさかのぼる旅に出た。(ほか三篇)




久しぶりの角田さん。
なんだろうなぁ・・・
こんなに読み辛い人だったかなぁ・・・って思っちゃった。
改行が少なくて・・・(汗)
見開き2ページ一杯に文字があると、
圧迫感がハンパない。
短編集なのに、こんなに疲れるなんて・・・ふぅ・・・
合わなくなってきたかなぁ、角田さん・・・

「神さまのタクシー」は読みやすかった。
こんな時期の、こんな出来事・・・
なんか、いいなぁ・・・って思っちゃいました。

表題作は・・・
この言葉を書き残した奥さんの気持ちを考えてしまった。
残された人の行動や思いは、こういうものかもしれんけど、
マジで「探さんといて」って思ってるとしたら・・・
やめてー!なわけで。(笑)
別れるときは、明確に伝えお互いの納得をもって・・・でないと、
面倒なことになるんですよ・・・って、
変な感想でごめんなさい。

好きな人は好きなお話かもしれませんね。