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 桐野夏生 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。
ほかにもたくさん読んでますが、おいおい・・・・

ハピネス だから荒野 残虐記 リアルワールド
I'm sorry.mama. 東京島 緑の毒 夜また夜の深い夜
奴隷小説 抱く女 バラカ 猿の見る夢
夜の谷を行く





   
ハピネス





2013/2/21 読了





内容(「BOOK」データベースより)
結婚は打算から始まり、見栄の衣をまとった。憧れのタワーマンションに暮らす若い母親。おしゃれなママたちのグループに入るが、隠していることがいくつもあった。




タワーマンションのママ友のお話。
富裕層のママ、賃貸で住んでるママ、他のマンションに住んでるママ・・
いろんな種類のママが、本音を隠しつつ、
お互いを探り合いながら暮らしてるわけですが・・・

なんかね、結構内緒にしてることが大きくてドン引き。(笑)
で、出ていった旦那に対して無責任!と
強気に出られちゃうところがまたすごい。(笑)

まぁ、最終的にまるく収まった人もいれば・・・
転落していく人もいて・・・
何が幸せかって、パッと見じゃわからんよ。
上辺だけの付き合いも然り・・・
かといって、踏み込むのも面倒で・・・
付かず離れず・・・がいいのかな?(笑)




 
   
だから荒野




2014/2/15 読了





内容(「BOOK」データベースより)
46歳の誕生日。身勝手な夫や息子たちと決別し、主婦・朋美は1200キロの旅路へ―「家族」という荒野を生きる孤独と希望を描き切った桐野文学の最高峰!




誕生日、お祝いしてほしくて・・・
自分で店を予約
自分で店まで運転
服装や化粧に難癖をつけられ
店で罵倒される・・・
で・・・
もういい!!と車に乗ったまま家を出てしまうわけですが・・・

わからんでもない・・・けど!
無謀だよねぇ・・・
とりあえず友達に会うために、東京に一泊してたわけだから、
そこで冷静になりそうなもんだけど・・・
ま、ダンナがクソなんでね・・・しょーがないか!(笑)

でもそのあとがねぇ・・・・
見知らぬ女に親切にして、結果・・・・
そのあと、見知らぬ男性の車に乗っていき・・・と、
いやぁ・・・無謀すぎる。(汗)

こうなると、話が違ってくるっていうかねぇ・・・(汗)
ちょっと共感はできなくなってくるよねぇ・・・

ま、なんやかんやで結局・・・なオチで、
大きく何かが変わる気もしないんだけど・・・
ま、冒険したってこと・・・かな?(笑)




 
   
残虐記



2014/3/24 読了





内容(「BOOK」データベースより)
自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという驚くべき手記を残して、作家が消えた。黒く汚れた男の爪、饐えた臭い、含んだ水の鉄錆の味。性と暴力の気配が満ちる密室で、少女が夜毎に育てた毒の夢と男の欲望とが交錯する。誰にも明かされない真実をめぐって少女に注がれた隠微な視線、幾重にも重なり合った虚構と現実の姿を、独創的なリアリズムを駆使して描出した傑作長編。柴田錬三郎賞受賞作。




現実に起こった事件をもとに書かれた本作。
正直・・・
読んでて気持ちのいいものではないです。(汗)
だけど、「誘拐され監禁された子」の心情を、
フィクションとして、「こうだったかもしれない」と作者が考え、
綴った物語・・・なんですよね。

でもさ、実際に経験したら・・・
こんな話では済まない気もするんだよね。
本人にしかわからないと言ってしまうと、それで終わっちゃうわけで、
こんな風になるかも・・と納得して読む必要がありますな。

経験したことを素直に大人に話せないまま
時が過ぎていって・・・っていうのは、
あぁ、きっとそうだろうな・・・と思うし。
角田光代さんの「八日目の蝉」でも思ったけど、
連れ去られた子には何の罪もないのに、
無事に戻って幸せな暮らしが待ってるかっていうと、
必ずしもそうではないわけで・・・

主人公はどこへ行ってしまったんでしょうか。
当時の自分の気持ちを思い返して綴ったことで、
何か感情が芽生えてしまったんでしょうか・・
そこまでは描かれてませんがね・・・。




 
   
リアルワールド




2014/5/17 読了





内容(「BOOK」データベースより)
高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。高校生の心の闇を抉る長編問題作。




隣の家に住む少年が母親を殺して逃げた。
知ってて警察に言わない子、
逃走を助けてしまう子、
殺人して逃げる少年に憧れてしまう子、
冷めた目で見ている子・・・
そんな4人の少女と、殺人犯の少年の物語です。

私はすっかりオバハンなんで、理解できない・・・・と思ったけど、
でも、なんとなくはわかった。
平凡を何とかしたいって思いや、
自分にできないことをやってる人間を助けたいって気持ち。
そして、平常と違う緊迫感の中で・・・
悲劇は起こってしまう。

まさか、この話の先に「死」が描かれるとは思ってなくて、
うわ・・・・マジか・・・って思っちゃった。
事故的なものだけでなく、意思によるものまで・・・
遺された人は、全部背負って生きていかなくちゃいけなくて・・・
やっぱ、もめ事には関わりたくねぇな…ってのが、正直な感想。(笑)




 
   
I'm sorry.mama.




2014/5/31 読了





内容(「BOOK」データベースより)
児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と焼死した。その背景に、女の姿が浮かび上がる。盗み、殺し、火をつける「アイ子」。彼女の目的は何なのか。繰り返される悪行の数々。次第に明らかにされる過去。救いようのない怒りと憎しみとにあふれた女は、どこからやって来たのか。邪悪で残酷な女の生を、痛快なまでに描き切った問題作。 。




人間って、育つ環境は大事だよね。
これは、親がいないからダメ。とか、そういうことではなくて、
「ちゃんと存在を認めてもらって、愛されてるか・・」ってことです。
片親でも、両親がいなくても、自分の存在意義を見つけてさえいれば、
誰にも文句は言わせねぇ!ってなもんです。

だけど・・この主人公はねぇ・・・
まず、誰が親だかわからない、
娼館でゴミのように扱われていた・・・などなど、
そりゃ、そんな風に育っちまってもしょうがないな・・・って思う環境。(汗)
で、勝手に一人堕ちていくだけならまだしも、
人を巻き込んで生きて行ってるからさぁ・・・
恐ろしいのです。

それでも彼女は、「自分探し」をします。
自分のルーツを知りたいと思うのは、当然の欲求だからね・・・
そしてたどり着いた真実・・・・
時すでに遅し・・・です。

若さゆえ、自分ではどうしようもなかった状況だっただろうけど、
生まれてきた子には何の罪もないんだ。
加害者であり、被害者でもあった、そんな悲しい女のお話です・・。

・・・・絶対関わりたくないけどね!!!




 
   
東京島




2014/7/29 読了





内容(「BOOK」データベースより)
清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える―。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世紀。谷崎潤一郎賞受賞作




映画化された小説ですよね。
でも、あんまりいい評判は聞かないなぁ・・・と思いつつ、
読んでみることにしました。

このお話は、実話をベースに書かれています。
桐野さんは、いくつか実話ベースの小説を書かれてますよね。
で、この実話は、「アナタハンの女王事件」がベースだそうです。

無人島に流れ着いた夫婦、しばらくすると、十数人の若者が流れ着く、
そのうち、外国人数人も・・・・
しかし、女性は一人だけ・・・
女王となった女性の行く末は・・ってことでしたが・・・・

なんか、相変わらず、読んでて気持ちいい作品じゃない。(汗)
文明から切り離され、「生きる」という単純な営みを強いられると、
人間は本能むき出しになるわけで・・・
そんな男たちの間で、揺れ動く・・・いや、楽しんでる・・・?(汗)
旦那さん、早めに死んで良かったね・・・って言いたくなったよ。(滝汗)

で、オチはどうなるのかなぁ・・・って思ってたら、
そこは実話とは変えてきましたね。
チキとチータは、いつか会えるのかしら・・・?

ちょいとネタバレ。




とにもかくにも、あまりにも自分勝手な女に辟易とし、
生活が安定したなら、島の残った人たちを救ってやれよ・・・
その中には我が息子もいるんじゃろがい・・と、
あきれ果てたお話でございました。
あぁ、ヤダヤダ。




 
   
緑の毒




2014/10/3 読了





内容(「BOOK」データベースより)
39歳の開業医・川辺。妻は勤務医。一見満ち足りているが、その内面には浮気する妻への嫉妬と研究者や勤務医へのコンプレックスが充満し、水曜の夜ごと昏睡レイプを繰り返している。一方、被害者女性たちは二次被害への恐怖から口を閉ざしていたがネットを通じて奇跡的に繋がり合い、川辺に迫っていく―。底なしの邪心の蠢きと破壊された女性たちの痛みと闘いを描く衝撃作。文庫オリジナルのエピローグを収録。




水曜日に女性の部屋に忍び込んでスタンガンで失神させ
セレネースという薬を注射し眠らせ、強姦する・・・という、
全く持って許せない、内科医の川辺と、
その被害者たちのお話なんですが・・・

被害者による、川辺への復讐話・・・かと思ってたけど、
さすが桐野さん、そう単純ではありません。
細かく分けられた章は、たくさんの人たちの視点で描かれるんだけど、
加害者、被害者、加害者の妻・・・など、
どれも読みごたえアリ!
読ませる力がやっぱりすごいんだよね、桐野さんは・・・
帯に「一気読み必至」と書いてありますが、間違いないっす!

レイプという犯罪の被害にあってしまった女性たちの苦悩や、
自分の鬱憤をレイプという犯罪に転化していくアホ野郎の姿とか、
このアホ野郎のクリニックの女性職員たちのいざこざなど、
グイグイ引き込まれていくわけですが・・・

何より、このアホ野郎の手口があまりにも杜撰っていうか・・・
女、なめんなよ!っていうか・・・
このまま罪を重ねていけばそのうち捕まっただろうけど、
その前に被害者たちの手で「罰」を与えてやってのは良かったですね!
現代のネット社会の為せる技・・・です。
そして、その関係者も・・・
まぁ、ふつうはそんな男の家族は可哀想なんだけど、
こいつも悪いことしてたんでね・・・
・・・あ、悪いことのレベルには差がありますけど。(汗)

最後はちゃーんと捕まってくれて、良かったっす。
文庫版は、エピローグが追加されておりまして・・・
被害者の中でも、50代のオバハンだったから・・って、
太ももに屈辱の落書きをされて、レイプはされなかった・・・という、
ある意味結構な精神的ダメージを受けた女性のその後が描かれています。
そうよ、レイプはされなくとも、受けた傷は大きいんだから、
黙ってるなんでダメだぞ!!
・・・いや、もし自分だったら・・・やっぱり公にはできないかなぁ・・・
屈辱過ぎるんだもん・・・(涙)
うむむ・・・




 
   
夜また夜の深い夜




2014/11/5 読了





内容(「BOOK」データベースより)
私は何者?私の居場所は、どこかにあるの?どんな罪を犯したのか。本当の名前は何なのか。整形を繰り返し隠れ暮らす母の秘密を知りたい。魂の疾走を描き切った、苛烈な現代サバイバル小説。




タイトル通り、深い深い夜のお話でしたね・・・

Dear.Nanamiで始まる、お手紙スタイルの第一章。
雑誌で知った「七海」という人に当てた「舞子」のお手紙なんだけど、
この舞子、どうやら日本人らしいんだけど、
母は整形を繰り返し、元の顔がわからないくらいになっちゃうし、
一か所で安住することなく、転々とする暮らし・・・
人の目から隠れるようにして、学校にも行かずに育ったのよね。
だけど、ある日、「マンガ」との出会いで家を飛び出す・・・
そして、サバイバルな人生が始まり・・・って展開です。

どうしても母が娘を隠したかった理由、
母が逃げ続ける理由が明らかになっていくのは第二章。
それまでは、舞子の人生の振り返りや、新たな出会いが描かれてます。
未知のものとの触れ合いの中で自我が目覚め、
「自分」を知りたくなるのは当然のこと・・・
そして、自分のルーツを知るとともに、
ある人の素性が明らかになると、もう、最後までノンストップ!!です。

どんなオチをつけてくるのかなぁ・・・と思ったら、
最後はやっぱり母は母・・・ってことで、
ちょっと心に火が点っちゃいました・・・
なるほどね・・・
そういうこともありうるわね・・・
だったらさ、もう18歳の娘なんだからさ、
早めに全部話しておけば、整形もしただろうに・・・って
思わなくもないわけで・・・(汗)

マイコの親友二人も大変な人生を送っていて、
それぞれのオチが待ってるわけですが・・・
胸が締め付けられる、苦しい人生だったよね・・・
あぁ・・・日本でノホホンと暮らしてる私・・・
幸せだよなぁ・・・・

「七海」が実在するのか、怪しいもんだ・・・と思ってたけど、
ちゃんと存在する人物だったのね。
そして、この人にはモデルがいるようです。
一昔、世の中を騒がせた、あの人の娘・・だったのね。
うん、この人の人生も親に振り回されたもんだよなぁ・・・(汗)




 
   
奴隷小説




2015/4/7 読了






文藝春秋

内容(「BOOK」データベースより)
世界は野蛮で残酷な牢獄に満ちている―。その「虜囚たち」の姿を容赦なく描いた、超異色短編集。




「奴隷」でくくられた短編集。
どれもこれも現実味には欠けるものの、
ぞぞぞ・・・っていう話ばっかり・・。
「世にも奇妙な物語」って感じですね。

「雀」の、ある女性に対する仕打ちがひどすぎて・・・
何様やねーん!!って言いたいよ!
そんなことされても我慢しなくちゃいけないなんて・・・
・・・いや、そうはならない道を何とか見つけたっぽいオチだったね。
・・・うまくいくとは思えないんだけど・・・(汗)

「泥」も、なんでそんなことになったのか、
よくわからないんだけど・・
生きるか死ぬか、
死ぬ方が楽ってこともあるよね・・・とか、
いや、その先に生きる道が見つかったり・・?とか思ったり・・

「神様男」は・・・
今のアイドルの状況は本当にこんな感じだろうな・・・って思うのよね。
売れないアイドルは、ファンの方が「神」っていう・・
いやぁ・・、親としては見てらんない気が・・・(汗)

どの作品も20ページくらいの短さだし、
全体で150ページくらいなので、あっという間でした。




 
   
抱く女




2015/7/26 読了






新潮社

内容(「BOOK」データベースより)
「抱かれる女から抱く女へ」とスローガンが叫ばれ、連合赤軍事件が起き、不穏な風が吹き荒れる七〇年代。二十歳の女子大生・直子は、社会に傷つき反発しながらも、ウーマンリブや学生運動には違和感を覚えていた。必死に自分の居場所を求める彼女は、やがて初めての恋愛に狂おしくのめり込んでいく―。著者渾身の傑作小説。




学生運動が盛んな、70年代を生きる若者のお話・・・

ってことで・・・・
わたくし、70年生まれなもんで・・・
この時代は赤ちゃんでございました・・・・(笑)

この時代、「何か」に突き動かされるように、
死に急ぐような若者がいるかと思えば、
その「何か」が何かわからなくて、
何をしていいのかわからない、無気力な若者もいたんでしょう。
そんな、後者にあたる女子=直子が主人公なんだけど・・・

途中、この直子を表現する「公衆便所」という言葉がでてきます。
この言葉が出てくる前から、
アンタ、そういう風に思われてんちゃう・・・?って思いつつ読んでたので、
やっぱりか・・・でしたよ。(汗)
「何か」が見つからないからって、
大事なものを失っていく様は、見てられないっていうか・・・

だけど、見知らぬ人だけど、一瞬会った人間の死や、
活動によって死に至る家族を目の当たりにして、
「何か」が彼女を突き動かしたんでしょう。
最後は、一人、歩き始めました・・・
ただ・・・その先にあるのが、「確かなもの」であるかどうかは
わからないんだけどねぇ・・・
わからないってこと、わかってるみたいだから、いいんだけどさ・・・

麻雀とか、ジャズが主に描かれていて、
どっちにも興味がないし、
当時では当たり前だった「喫煙」シーンが多いもんだから、
全然脳内変換をする機能が働かないっていうか。(汗)
合う、合わないでいうと、
私には合わない話だった・・・かな?
ま、概ね、この手の話は苦手なんだがね・・・・(滝汗)





 
   
バラカ




2016/4/13 読了






集英社

内容(「BOOK」データベースより)
震災のため原発4基がすべて爆発した!警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。想像を遙かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン!




もしかしたら、こうなっていたかもしれない日本を描いた作品。
それだけではない、ある少女の壮絶過ぎる人生・・・
もう、目が離せない!
で・・・かなり分厚いのに、一気読みです・・・。

結婚をせずに生きてきた女性が、養子を得ようとドバイへ・・・
日本で生きづらくなった夫婦がドバイに移住し、離れ離れに・・
そして、奇妙な縁で家族となっていく人たちを襲った、あの日・・・
それからの数年・・・と、長いスパンで描かれたお話。

この本の中では、東日本大震災のあとの原発事故が、
もっと最悪のカタチだったら・・・という設定で描かれて行きます。
でも、メインはそこではなく、バラカと呼ばれた少女の人生です。
生まれてきて、愛されて育ったのに、
両親の勝手で引き離され、人の手に渡り、
道具として扱われ、そのうち象徴として扱われ・・・
彼女自身は普通の子のはずなのに、
周りの勝手でものすごい波に押し流されて行ってしまって・・・

ただ、とてつもなく優しい人たちに出会ったことが救いでしたね。
見返りを求めず、バラカのために生きてくれた人たち・・・
その人たちからの愛情が、バラカが屈せずに生きてこれた源だと思うよ・・。

出会いと別れを繰り返し、
哀しい別れもあったけど、嬉しい再会もあったりで、
最後は自分の居場所をちゃんと見つけたバラカ。
それはまだ完全なる安心の上にあるものではないけど、
どうか、穏やかに生きて行ってほしいなぁ・・・って思う。

そして、もしかしたら、こうなっていたかもしれない日本を想うと、
心の底からぞっとさせられるお話でした・・・
・・・まだ解決してないけどね・・・。(汗)

とても読み甲斐のある作品です。
オススメ!




 
   
猿の見る夢




2016/10/4 読了






講談社

内容(「BOOK」データベースより)
薄井正明、59歳。元大手銀行勤務で、出向先ではプチ・エリート生活を謳歌している。近く都内に二世帯住宅を建築予定で、十年来の愛人・美優樹との関係も良好。一方、最近は会長秘書の朝川真奈のことが気になって仕方ない。目下の悩みは社内での生き残りだが、そんな時、会長から社長のセクハラ問題を相談される。どちらにつくか、ここが人生の分かれ道―。帰宅した薄井を待っていたのは、妻が呼び寄せたという謎の占い師・長峰。この女が指し示すのは栄達の道か、それとも破滅の一歩か…




「これまでで一番愛おしい男を描いた」
と、桐野さんはおっしゃってますが・・・・
愛おしくはない。(笑)
でも、憎めない男・・・ではある。
だけどそれは、第三者だからだ、と思う。
こんな男が父だったら・・・兄だったら・・・カレだったら・・・夫だったら・・
そう考えると、愛おしくなんかないっ!!(笑)

還暦間近の薄井。
名前からして、風貌が目に浮かぶ。(笑)(全国の薄井さん、ゴメン)
妻と息子二人。
次男は未だプー太郎で心配だけど、
しっかり者の長男夫婦といずれ二世帯住宅で住みたいと思ってる。
もうすぐ死ぬだろう母の持つ家や土地を当てにして・・・
愛人もいる、月に三万のお手当で楽しくやってる。
だけど、会長秘書の女も気になる・・・
毎日がたのしーいっ!!
リア充なオレっ!!・・・
ね?憎たらしいでしょ?でも、この後の展開を見ると・・・
浅ましいやら、浅はかだわ、憎めなくなってくるのよ・・。

薄井としては、妻が連れてきた怪しげな占い師がやってきてから、
なんかおかしくなった・・・・って言ってるけど、
それはちょっとしたキッカケであって、
そもそもがアンタの人生、間違ってますから!(汗)

一番腹が立ったのは、母と妹の件です。
確かに、薄井の嫁を陰湿にイジメてたのは良くないけど、
それは置いておいたとして、
10年以上も介護してきた妹への想いが皆無なのが腹立つのよ。
何もしてないくせに、金も出してないくせに、
もらうもんはもらう!っていう、その根性・・・
不幸になりやがれ!!って思ったもん。

ま、見事にいろんな方面から堕ちていくわけですけど・・・
大きく破滅するわけではなく、
一つ一つ失い、夢見てた老後はなくなった・・ってことで、
ざまーみろ!っていうオチです。
憎めないとはいったけど、可哀想だとは思わない。
自業自得なんで。
薄井だけでなく、愛人も妻も、会社の人たちも、
みんなそこそこ不幸な感じで、
誰も「勝ってない」のもある意味「味」なこの作品。

一人の男の無様な人生、
どうぞ、他人事としてご堪能あれ・・・・て感じでしょうか?




 
   
夜の谷を行く




2017/5/13 読了






文藝春秋

内容(「BOOK」データベースより)
39年前、西田啓子はリンチ殺人の舞台となった連合赤軍の山岳ベースから脱走した。5年余の服役を経て、いまは一人で静かに過ごしている。だが、2011年、元連合赤軍最高幹部・永田洋子の死の知らせと共に、忘れてしまいたい過去が啓子に迫ってくる。元の仲間、昔の夫から連絡があり、姪に過去を告げねばならず、さらには連合赤軍を取材しているというジャーナリストが現れ―女たちの、連合赤軍の、真実が明かされる。




連合赤軍・・・あさま山荘事件・・・・
あまりにも有名な事件ですけど、記憶にはない・・・
生まれてないし・・・って調べてみたら、
あら、生まれてた!(笑)
ま、赤ちゃんで記憶にはないはずですけどね・・・・。

そんな、赤軍で活動していた女性が主人公。
山岳ベース事件という仲間をリンチで何人も死なせた事件で
そのメンバーの一員だったため、逮捕後収監され刑に服し、
今はひっそりと暮らしていた女性・・・
ある日、事件の主要メンバーが獄中で死亡したと知らされる・・・
急に元メンバーからの連絡があったり、
心がかき乱される・・・
そんな中、大震災が起こった・・・
生きてるってこと、生きていくってことを見つめ直すときがきた・・・
そんなお話でしたね。

正直、自分の思想で家族を不幸にしておきながら、
言い分が勝手すぎて、この主人公に腹が立った。
罪を償ったからいいじゃん、また捕まりたくないんだもん、
私が悪いのはわかるけど、そんな言わなくてもいいやん・・・っていう、
なんか被害者感覚っていうか、お前が言うな!ってことが多々。(汗)
それでも血がつながってるから・・・っていう妹さん、エライよ・・・

過去を全部切り捨てて新しく生きることと、
全部忘れてしまうことは違うと思うんだよね。
生きるために過去を捨てる必要はあっても、
自分が犯した罪を忘れてはいかんと思うの。
その年になって、いろいろとあって、いろいろ考えて・・・
ちゃんと命を全うしてほしいもんです。

そんなしみじみ考えながら読んでたら、最後にサプライズが!
あら・・・そうだったの・・・
やっぱ、産んでたんや・・・・。(汗)
気づかないもんかね・・・?(滝汗)
驚きはしたけど、「良かったねー!」とは思えない、複雑な心境でがす。