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 小林由香 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

ジャッジメント 罪人が祈るとき





   
ジャッジメント




2016/8/30 読了





双葉社

内容(「BOOK」データベースより)
大切な人を殺された者は言う。「復讐してやりたい」と。凶悪な事件が起きると人は言う。「同じ目にあわせてやりたい」と。犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。目には目を歯には歯を―。この法律は果たして被害者とその家族を救えるのだろうか!?第33回小説推理新人賞受賞。大型新人が世に問う、衝撃のデビュー作!!




デビュー作ですか・・・
すごいですね。

個人的に、「かたき討ち」には賛成派でして、
犯罪を犯した者に、同じ苦しみを与えることも賛成なんです、私は。
なので、このお話は私の考えにジャスト!なわけで・・・

でも、読んでて苦しかった。
新しい法律「復讐法」が制定された日本で、
「復讐」を行うのは、被害者家族・・・
憎い相手に同じ苦しみを与えるということは、
自分もその相手と同じ「人殺し」になるということ。
ううん、違う、前提が違う!意味合いが違う!・・・そんなこと言っても、
結果として、してることは同じ・・・
その事実が、復讐をする人間を苦しめる・・・

このお話は、復讐を見届ける人間をメインに描かれ、
いくつかの案件を通して、読者にも「見届け」させるものです。
息子を少年に殺された父、
母を娘に殺された女性、
無差別殺人者に対する、複数の被害者遺族、
そして最後は、育児放棄の親に妹を殺された兄・・・

この人たちが、復讐をする過程が描かれますが、
そこにそれぞれに抱えてるそれぞれの事情が見えてきます。
そこも、ミステリーとして十分に魅力的なところですが、
それぞれが違う結末を迎えたり・・・で、
全部考えさせられます。

とくに最後の「ジャッジメント」は、幼い妹を「見殺し」にしてしまった
まだまだ幼い兄の苦しみと優しさに、涙が出ちゃいました・・・
どうして苦しめられて、さらに苦しまないといけないんだろう・・・

大切な人を奪われたら、同じ方法で相手を殺してもいい・・・なんて、
実際にやるとなったら、やっぱり苦しいもので、
人の手に託して罰をくだしてもらうのが「死刑」だとしたら・・・
なんか、いろんなことを考えさせられる一作でした。

次作も期待したいです。
追っかけたい作家さんを見つけられて、嬉しいです!




 
   
罪人が祈るとき




2018/3/29 読了






双葉社

自殺を決意した少年と、息子を自殺で亡くした父親──。
同じ空を見上げたとき、ふたりはなにを祈るのだろうか。
涙なくしては読めない感動のラスト!
衝撃のデビュー作『ジャッジメント』に続く、初の長編ミステリー。




「ジャッジメント」でデビューした小林さんの第2作。
・・・寡作の作家さんなのかなぁ・・・?

イジメにあってる少年。
追いつめられて、相手を殺して自分も死のうと考えていた・・
そんなとき、ペニーと名乗るピエロに出会う。
殺人計画を考えてきな、手伝ってやる・・・と。
一方で、イジメで息子を亡くしたサラリーマン。
妻も後追い自殺をしてしまって、一人ぽっちになってしまった・・
息子の死の真相を明らかにしたい・・・と動くもかなわず・・・
そんな展開です。

引き込まれて、最後まで一気読みでした。
途中でペニーの正体が明らかになります。
そうではないか・・・?と思って読んではいたけど、
そんな過去があるとは描かれていなくて、
なるほど、そういう人だったんだ・・・って繋がっていきます。

イジメは本当にひどい。
やる方にはやる側の理由があったりなかったり。
そんなの関係なく、やられたほうは命を捨てるほどに追い詰められていく・・・
その罪人に罰を・・・と考えてしまう気持ちはよくわかる。

自分のために、誰かのために・・・
そう思って犯した「罪」。
もちろん許されないことではある。
だけど、ちゃんと背景が丁寧に描かれているから、
罪を犯した人の気持ちが痛いほどにわかって、泣けてしまった。

最後の、少年のメッセージに、ひざから崩れ落ちたペニー。
してくれたことへの感謝を伝えても、
それは何か違う気がしていて、
そんなメッセージじゃないといいな・・・って思って
読み進め・・・、掲げられた文字に、再度泣けた・・・
人は誰かの存在に救われる。
それは決して家族だけではない。
あなたは一人じゃない、きっと誰かいる・・・・
その世界だけが全部だと思わないで。
自分を自分で終わらせないで・・・
この世界のどこかにいるであろう、イジメの被害をうけてる人たちへ、
伝えたい思いが溢れる作品でした。