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 久坂部羊 

破裂 無痛 神の手 糾弾
第五番 悪医 嗤う名医 いつか、あなたも
虚栄 反社会品 老乱 テロリストの処方




   
破裂







2012/4/13 読了
2015/9/30 再読





内容(「BOOK」データベースより)
過失による患者の死に平然とする医師たちに怒りがたぎる元新聞記者・松野。心臓外科教授の椅子だけを目指すエリート助教授・香村。「手術の失敗で父は死んだ」と香村を訴える美貌の人妻・枝利子。医療の国家統制を目論む“厚労省のマキャベリ”佐久間。医療過誤を内部告発する若き麻酔科医・江崎。五人の運命が今、劇的にからみ転がり始めた。




結構昔に読んでたものの、
明確な記録や記憶がないため、
NHKドラマ化をキッカケに再読することに・・・・

確かにさ、未熟な医者が成長していく過程で、
ミスは皆無ではないと思う、
だけど、「こんなミス、当たり前」とか、そんな風に割り切ってもらっちゃ困る。
たくさんの医者の「痛恨のミス」話を集める麻酔科医・江崎と、
その話をまとめてジャーナリストとして名を上げたい松野の二人から
話しは始まっていくんだけど・・・

序盤は・・・っていうか、上巻は結構冗長です。(汗)
ミスしておきながら反省もしない医者の話ばっかり読まされて、
辟易としてしまいます。(滝汗)
しかし、そんな医師の一人・香村が登場してくると、
話が動いてまいります・・・

香村の研究は、弱った心臓を回復させるというもの。
成功すればすごいことになるんだけど、
現段階では副作用として、心臓機能が回復しても、
数か月後に心臓が追い付かなくなって、破裂してしまうというもの・・・
この部分を何とかしたい!って思ってる香村に、
ある悪魔が近づく・・・

厚労省の佐久間という男は、日本の高齢化社会を憂い、
「ピンピンポックリ」
つまり、元気だったのに、ポックリ死んじゃうっていう、
死ぬ側も、看取る側もスッキリ!な死を考えていて、
香村の研究はもってこいだったのさ。
で、佐久間は香村を取り込もうとするんだけど・・・

研究熱心過ぎて手術技能があまりない香村が起こした医療ミスが
問題化されてきたことによって、大きく話は動きます。
患者遺族、江崎、松野と、香村、佐久間・・・という構図。
そして、悲劇が起こる・・・・


読み応えありましたねぇ・・・
一度読んでるはずなのに、
ひゃー!この人が殺されたーっ!!って驚いたもん。(笑)

人間は誰しも弱い部分を持ってる半面、
強い意思で行動する部分もある・・・
いろいろと考えさせられたよ。
私だって元気に年を取りたいし、
寝たきりや認知症で家族に迷惑かけたくない。
こんな風にポックリいけたら・・・って考えなくもない。
だけど、倫理上、やっぱりこれは許されないわけで・・・

医学の向上により、自然に死を迎えることが難しい今、
この問題は本当にあちこちで見られることでしょう。
ほんと、難しい・・・・

大学病院での話は、「白い巨塔」を見ているようで、
ったく・・・・と思わないでもない。
上巻は上記のとおり、若干まどろっこしいけど、
下巻は止まりませんよ!

どんな風にNHKがドラマ化してくれるのか・・・
楽しみですね。




 
   
無痛



2012/4/20 読了
2013/10/22 再読





内容(「BOOK」データベースより)
一目で症状がわかる2人の天才医師、「痛み」の感覚を持たない男、
別れた妻を追い回すストーカー、
殺人容疑のまま施設を脱走した14歳の少女、
そして刑事たちに立ちはだかる刑法39条。
罪なき罰と、罰なき罪。悪いのは誰だ?




痛みを感じない体に生まれてしまった男。
その男を利用して実験を繰り返す男・・
結果、凄絶な殺人事件が・・

もう、その描写がグロくてねぇ・・(汗)
読んでも目に浮かべると気持ち悪くなって・・
殺人事件部分だけでなく、
別れた妻に執着する男が描かれてるんだけど、
その男の部屋でのシーンも吐き気がするくらい・・
はぁ・・
なので、途中までは結構苦痛。(汗)

でも、物語の芯が見えてくるあたりから、ノンストップ!
どうなるの??ってハラハラドキドキです。
しかし、ちょっとスッキリしない終わり方・・・

後に続編「第五番」で描かれます。
その「第五番」のために、再読しちゃった私・・・。
物好きである。(笑)
それを知らずに読んだ当時は、結構モヤモヤ・・・でした。




 
   
神の手





2012/6/25 読了

  

内容(「BOOK」データベースより)
21歳の末期ガン患者・古林章太郎の激痛を取り除くため、
外科医・白川は最後の手段として安楽死を選ん だ。
だが、章太郎の母・康代は反発、訴えることを決意する。
殺人か過失致死か。状況は限りなく白川に不利 であったが、
謎の圧力がかかり不起訴処分になる。
背後にうごめく安楽死法制化の画策と世論誘導。
マスコミを使って阻止を諮る康代。白川は困惑しつつも、
その激流に呑み込まれていく・・・・・・。




安楽死問題は本当にいつまでも、いや、これからのほうがもっと
大きく議論されて行くことになるだろう問題だよね。
医療が発達してしまったからこそ、延命が可能になった。
しかし、意思表示できないまま生かしておくことは正しいのか?
私はいつも思う。
もしそうなったら、お金の面からいっても、やめてほしいと。
迷惑をかけてると思いながら生かされてるのは苦痛なんじゃないかと。
だけど、もし、夫がその状況になり、そんな気持ちを語っていたからといって、
目の前で動いている心臓を止められるか・・・
そんなできた人間じゃないから、やっぱり無理かも・・って考える。
ほんとに難しい。

その問題を利用して政治家まで動かした”センセイ”の存在。
利権がからむと、こうなっていくからほんと困る。
安楽死問題はいつまでも小説になっていくでしょうな。



 
   
糾弾





2012/7/5 読了




内容(「BOOK」データベースより)
外科医・三木達志は自らの医療ミスを認め、患者の遺族に賠償金支払いを申し出た。これを究極の誠意と感じたライターの菊川綾乃は取材に乗り出すが、「あれは殺人だった」という手紙が舞い込む。医療ミスを糾弾する者とされる者の闇を描く渾身のミステリー。










 
   
第五番




2012/10/24 読了




内容(「BOOK」データベースより)
私立医学部の雄・創陵大学皮膚科の准教授・菅井憲弘のもとに送られてきた患者の病変は、これまで見たことのないものだった。表面には赤黒いシイタケ状の肉腫。エイズ患者が発症する皮膚がんの一種「カポジ肉腫」と似ていたが、ウイルスがまったく別ものだった。やがて腫瘍が骨を溶かし、数日で全身に転移、意識障害を起こして死に至った。エイズの、がんの特効薬がまったく効かない。さらに数カ月のうちに日本列島で患者が同時多発。が、国も医療界もまったく手だてがなく、日本人を恐怖のどん底に陥れた―。その名は、「新型カポジ肉腫」。




「無痛」の続編。
「無痛」でその後が気になった人たちがほぼ出てきます。
そして、最後は・・・
やっぱりか、って感じ。
アイツがそう簡単にくたばるはずがない。(笑)

自分が望んでもないのに、あんなカタチで生まれてきてしまったイバラ。
その彼の最期の決断が泣けた。
最初に出会った医者がアイツじゃなかったら・・
そう思えて仕方ない。

そして、今作で「第五番」として扱われる奇病・・
まさか、そんな裏があるとは!
確かにね・・・腑に落ちないこと、あったなぁ・・・って思う。
WHOの操作があるとしたら・・
人の命を弄ばないでいただきたい!
・・・・んなことはないと祈りたいですが。



 
   
悪医




2013/11/11 読了




内容(「BOOK」データベースより)
治療法がない―患者に死ねというのか!?再発したがん患者と、万策尽きた医師。「悪い医者」とは?と問いかけ運命のラストが待つ。悪の深さを描く著者の傑作。書き下ろし長編、感動の医療エンターテインメント。




「悪医」っていうくらいだから、
悪い医者に苦しめられる患者・・・・っていうベタな話かと思いきや、
そうではありませんでした。

ふつーに、そこらへんの病院で行われてるであろうやり取りを
こと細かに、お互いの立場からの目線で描いた・・・って感じですね。
ガンの再発後、これ以上の治療は命を縮める・・・
という状態まできた患者に、
「残った時間を有意義に使ってもらいたい」と治療ストップを告げる医者と、
まだ何か方法があるはずだ、死にたくない!と思う患者・・・
どっちの気持ちもわかるし、それが当然の言葉だと思う。

途中で出てきますが、この言葉がちゃんと患者に通じるためには、
医者との信頼関係が大きく関わってくると思いますね。
最後まで全力で尽くしてもらって、
その人がもう方法がないというのなら・・・と思えるくらい、
それくらいの信頼関係があれば、
何とか受容できるかもな・・って思える・・気がする。

最後の最後で、ジタバタと足掻き、
医者から見れば「無駄に時間を過ごしてしまった」であろう患者が、
死ぬ間際に、足掻いたけど、後悔してない、
これは自分にとって無駄な時間ではなかった・・と思う。
そりゃそうだ、そこがあっての、今だから・・・
何が正解で、どう死を迎えるべきだ・・・なんて、人それぞれだ。
医者は万能ではない。
いつか誰にでもくる死を受け入れるという苦悩を
考えさせられる作品でした。

自分がもし、この患者と同じ立場になったら・・・
それはやっぱり、そうなってみないと、わからんこと・・・ですね。



 
   
嗤う名医




2014/3/18 読了




内容(「BOOK」データベースより)
“嫁”の介護に不満を持つ老人(「寝たきりの殺意」)。豊胸手術に失敗した、不運続きの女(「シリコン」)。患者の甘えを一切許さない天才的外科医(「至高の名医」)。頭蓋骨の形で、人の美醜を判断する男(「愛ドクロ」)。ストレスを全て抱え込む、循環器内科医(「名医の微笑」)。相手の嘘やごまかしを見抜く内科医(「嘘はキライ」)。本当のことなんて、言えるわけない。真の病名、患者への不満、手術の失敗。現役医師による、可笑しくて怖いミステリー。




長編しか読んだことないんです、久坂部さん。
なので、どんなもんかな・・・と思ってましたが・・・・
なかなか面白かったですよ!
ブラックミステリー・・・って感じ?

医者も人間さ・・・と言いたいのかな?(笑)
笑顔で診察してても、ストレス溜まりまくりで・・
実はこんな風に発散してました・・・ってヤツは、
正直ドン引き。(汗)
そんなことしてるなら、笑顔じゃなくてもいいです。(笑)

頭蓋骨愛しすぎて、最後は・・・・ってヤツも、
いやぁ・・・とっとと離婚すべし!って感じ。

最後の嘘がキライな話は・・・・
ちょっとファンタジー・・・ぽいけど、
こういう人が医者だと、いいのか、悪いのか・・・(汗)
で、医療面ではなく、政治面でのお話になっちゃって、
どんなオチになるのやら・・・と思ったら、
うまいことおさまってくれて、ホッとしました・・・

どれも面白かったです。
こんな短編集もいいですね。
だけど・・・やっぱり久坂部さんは長編がオススメかな?(笑)




 
   
いつか、あなたも




2014/11/2 読了





内容(「BOOK」データベースより)
在宅医療専門クリニック看護師の“わたし”と新米医師、院長らが、患者本人と家族、病とその終焉に向き合う。膵臓がん患者の60代女性が亡くなった。看護師のわたしは新米医師に死後処置―遺体への綿のつめ方を教えることに―(『綿をつめる』)。在宅医療は老人ばかりではない。26歳、統合失調症に見える女性がわたしに投げかけた言葉「いつか、あなたも」の意味は―(『いつか、あなたも』)。終末医療、看取り、安楽死、死後処置…カルテに書かれない六つの物語。




実話をもとにしtらフィクション・・・ってことで、
リアル・・・でしたね。
実際に勤務なさってるお医者さんの書くお話なんで、
ズズン!と突き刺さるというか・・・

「あすなろクリニック」という在宅医療のクリニックで働く人がメインのお話で、
いろんな患者さんが描かれています。
終末期医療の大変さ・・・
医療サイドも大変だけど、家族も大変なんだ・・てこと・・・
うーん・・・・
私も、もう親がその年代に入ってきてるので、他人事じゃないんだよなぁ・・・
覚悟、しとかなくちゃな・・・って気になりました。

表題の「いつか、あなたも」は、
そういう意味で、「いつか、自分もその立場になる」って思ってたけど、
「いつか、あなたも」という一篇は、そういう意味ではなかったですね。
ちょっと、この篇だけ印象が違って、
怖いけど、肩すかしっていうか・・。

いつか、誰にでも訪れる、介護する側、される側という立場・・・
目を背けてはいけないお話でございました・・・




 
   
虚栄




2015/11/13 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
がん治療開発の国家プロジェクトは、覇権争いの場と化した。現代医学の最先端にうずまく野望と、集学的治療の罠。医学界とメディアの欺瞞をえぐり出す、医療サスペンス!




いやぁ・・・人間臭い話でしたなぁ・・・(汗)
まさに「虚栄」・・・。

かなり分厚い本です。
そして、序盤は説明部分が多くて、
医学に少なからず知識がある人間でも、
辟易とする内容になっておりまして・・・
そこを抜けるまで、結構時間がかかりました・・・。

ガンの治療法・・・。
手術、
抗がん剤投与、
放射線治療、
免疫療法・・・
この4つの面から、ガンを克服する道を見つけるんだ!という、
「プロジェクトG4」なるものが立ち上がり、
各部門の権威が集まって話し合う・・・という流れ。
国からの支援金も多額で、さぁ皆さん、頑張って!な話なんだけど・・

権力と金がからむと・・・人ってこうなるかね。
アンタら、医者でしょ?
患者の命を救うっていう大前提を忘れすぎでは?
自分たちの部門に金を引き寄せるための工作、
目を引くための虚偽の論文作成、
相手を蹴落とすために策を講じる、
自分の身がガンに冒されると、信念なんてそっちのけ・・・
はぁ・・・読んでて気分悪いわ。
一体、誰を、何を信じて治療してもらったいいのか・・・

この本に書いてある諸説が本当なら、
真ガンであれ、偽ガンであれ、
「触らないのが一番」なのか・・・?って気もしてきて・・
なんかもう、頭の中がグチャグチャです。(汗)

確かに、ガンだ、早期だって言われたら、
手術で取ってください!って気になるよね。
でも、転移があるかも、再発があるかも・・・と考えると、
手術で全部取ることは出てきてないかもしれないわけで、
一体、どうしたらいいのか・・・
だからこそ、この4つの方面の最大の力を出し合って、
ガンと向かい合っていく・・・っていう道を本気で作ってほしかった。
そんな医者はいないとか?と本気で残念だった・・・。
雪野先生だけがかろうじて誠意ある医者でしたけどね・・。

ガンは敵、異物・・。
でも、それは自分の体から生まれ出たもの・・
そこに、何か意味がある気がする・・っていう部分は、
なんか、妙に心に残った。
外から、他人から埋め込まれたものではない。
だからこそ、向き合って付き合わなくてはいけない病なんだろうな・・・。
でも、一日も早く、何とか対処できる方法が見つかるといいな・・・
金や権力に飲み込まれすぎない研究者の先生方!
頑張ってくださーいっ!!

はぁ・・・疲れた。
いろんな意味で。




 
   
反社会品




2016/9/27 読了






角川書店



法に護られた高齢者と、死にものぐるいで働く若年層に分断された社会。若者は圧倒的な劣勢で。(「占領」)「働かないヤツは人間の屑!」と主張する愛国一心の会が躍進した社会で、病人は。(「人間の屑」)七編



これは・・・医者の立場でよく書けたな・・・・って思うくらいの、
ブラックな作品です。(汗)

冒頭の「人間の屑」は、不自由な体になって、
ちゃんと体が動かせてた時期を思いつつ、
健康な体があるにもかかわらず、堕落した生活を送り人たちに
怒りを感じて・・・・っていう話かと思いきや、違う、
・・・この人こそ、まさに「人間の屑」。(汗)
この思考に至ったのが、ある意味すごいとは思うんだけどね・・・

「無脳児はバラ色の夢を見るのか?」は、苦しかった・・・
出生前診断で脳に障害があるとわかってしまった女性。
中絶反対派の小児科医が、この女性に放った呪いの言葉・・・
縛られる女性・・・
受け入れられない夫・・・
中絶か?それとも産むか・・・?育てられるのか・・・?
社会まで巻き込んで苦しんだ末の哀しい結果・・
そして、明らかになる事実・・・
辛すぎるよ・・
なんだったんだよ・・・って言いたくなったよ・・・・

「占領」は、まぁ、ある意味「目を背けたくなる話」ですね。
こうなるとわかってる未来の日本。
私は年齢的にいうと、20年後には「養われる側」です。
養ってくれる人たちは今10〜20代の若者・・・
ほんと、「選挙とか興味ねぇし!」とか言ってると、
恐ろしいことになるぞ・・・・

「不義の子」は・・・
確かに、妻の浮気相手が一卵性双生児の弟だったら・・・
って考えると怖いね!
だって、DNA検査しても証明できないんだもん!!
妻への疑惑がぬぐえない・・・
弟の想いが読めない・・・と苦しむ夫だけど、
最終的に下した結論は・・・
そして、妻の不義の真相は・・・?
怖い、怖い・・・

「命の重さ」は、実際に起こり得るなぁ・・・
骨髄移植のドナーに登録するも、家族は心配する・・
実際にドナーとして提供しなくてはいけない状況になり、
良かれと思って行動したのに・・・って話です。
壊れたものは、戻らない・・・ってことか?
それにしても、家族が邪険すぎて切なかった・・・・(涙)

「のぞき穴」は気持ち悪かったなぁ・・・
そんな動機で産婦人科医になってほしくないわ。(汗)
で、最終的にコイツのやったことは・・・
とてつもなく恐ろしい罪だよね!
命を何だと思ってんだ!!って話。

最後の「老人の愉しみ」だけは、
それまでがブラックすぎたのか、穏やかな話に思えたよ。(笑)
親の金をあてにする子なんて、放っておけばいいのさ!
自分で稼いだ金だ、自分で使って死ぬのが一番!!
うん、最後でスッキリできて良かった・・・
うまい構成だったな。(笑)

いやはやしかし、どれもブラックすぎて悍ましかったわ・・
小説の中のお話であると信じたい話ばかりでした・・・。
でも、夢中で読んでしまう本に間違いないです。



 
   
老乱




2016/12/15 読了






朝日新聞出版



内容(「BOOK」データベースより)
老い衰える不安をかかえる老人、介護の負担でつぶれそうな家族。地獄のような日々から、やっとひと筋見えてきた親と子の幸せとは…。




これは・・・・読んでて苦しかった。
私はアラフィフ。
そろそろ、そういう時期ですもん・・・。

年老いた独居老人の父。
ちょっと離れたところに暮らす息子夫婦。
受験を控えた二人の子供とマンションで暮らしている・・・
父の様子がおかしくなってきた・・・
まずは車の運転をやめさせようと動く・・・
でも、問題はそこだけではなかった・・・
どんどん悪化していく様子・・・
とうとう本人も自覚し病院へ・・・認知症の診断・・・
介護、入院、ホーム入所・・・・
もう、とめどなく描かれていくので、
読んでて辛いのに、途中でやめられないの。

病んでいく父を見ていく息子夫婦側だけでなく、
自分の変化を受け入れられなくて戸惑い追い詰められていく父の姿も
克明に描かれていくので、どっちの気持ちもわかるから辛い。
父のつける日記の表記の微妙な変化も、気づいちゃうと辛い。

でも、辛いだけではダメなんだよ。
現実なんだ。
受け入れないと・・・
きれい事で説得されても、介護する側もされる側も受け入れがたいけど、
現実、受け入れないとダメなんだよね・・・

認知症という病気を治そうとか食い止めようとか、
そっちに頑張っちゃダメなんだ。
だって、無理なんだもん。
だったら、その病ごと受け止めて、共に生きなくてはダメなんだ・・・
実際、自分に同じ状況が降りかかった時・・・
同じように達観できるか・・・っていうと、自信はない・・
いや、絶対そんなことできないと思う、すぐには。
だけど、訪れる可能性がある以上、
この本を読んだことはきっと、何か意味があると思う。
「そのとき」のためのいろんな覚悟や準備・・・
しておかなくちゃ・・・だなぁ・・・
遠くに住んでるので、何ができるか、わからないけど・・・

はぁ・・・しみじみ、考えさせられる話でした。
最期が穏やかで、逝く側も見送る側も、きっと後悔はないかな・・・って、
そう思いました。
こうでありたい・・・ともね。




 
   
テロリストの処方




2017/3/29 読了






集英社



内容(「BOOK」データベースより)
医療費の高騰で病院に行けなくなる人が急増した日本。医療勝ち組と負け組に患者が二分され、同じく医師も、高額な医療で破格の収入を得る勝ち組と、経営難に陥る負け組とに二極化。そんな中、勝ち組医師を狙ったテロが連続して発生する。現場には「豚ニ死ヲ」の言葉が残されていた。日本の医療界全体を揺るがす陰謀が、うごめき出す―。傑作医療ミステリー!




医療の未来を垣間見たような・・・
こうなっていくのかもしれない・・・っていう、ゾッとする展開ではある。
だけど、これをミステリーと言っていいのか・・・?って気もする。
確かに謎めいた作りになってるし、
最後は黒幕が・・・って展開ではあるものの、
その部分がとってつけたように感じてしまうのよ。
ミステリー部分よりも、医療部分がしっかりしちゃってるからねぇ・・

ってことで、私は個人的にはそんなに楽しめませんでした。