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 櫛木理宇 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

寄居虫女 チェインドッグ 赤と白 世界が赫に染まる日に
FEED 209号室には知らない
子供がいる





   
寄居虫女




2014/11/3 読了





内容(「BOOK」データベースより)
平凡な家庭の主婦・留美子は、ある日玄関先で、事故で亡くした息子と同じ名前の少年と出会い、家に入れてしまう。後日、少年を追って現れたのは、白いワンピースに白塗りの厚化粧を施した異様な女。少年の母だという女は、山口葉月と名乗り、やがて家に「寄生」を始める。浸食され壊れ始める家族の姿に、高校生の次女・美海はおののきつつも、葉月への抵抗を始め…。




「ヤドカリオンナ」と読みます。
名の通り、「”宿”に寄生してくる女」ってことですが・・・

最近でいうと、誉田哲也さんの「ケモノの城」でも描かれた、
実際に起こった事件がベースになってる・・・話です。
お初の作家さんなんだけど、あらすじを見て、気になったので
図書館で借りてみました。
「ケモノの城」ではかなりキツめの話になってましたけど、
でも、現実に事件はもっと凄絶だったようで、
この作品はどんな感じで描くのか・・・って思ってたら・・・

想像していたよりはライト・・・ですかな?
それは、最後に明かされる「正体」が理由なんだよね。
なるほど、だから、あんまり「手馴れてなかった」んだ・・・と納得です。

それにしても、知らず知らずに入り込んでくる他人の恐ろしさと言ったら!
家族がしっかり結びついてないと、
こんな風に隙間からスススー・・・と入ってくるんだよねぇ・・
そして、「弱いトコ」「痛いトコ」をうまくついてくるんだなぁ・・・
怖いよねぇ・・・
明らかにおかしくなっていく家族を
結局周りの人は誰も救えないってのも怖いしさぁ・・・
他人の事情に踏み込むのって、勇気がいるもんねぇ・・・

ある家族に寄生してくる女と、弟と、息子・・・なんですが、
その話と並行して、「被害者家族」が「幕間」として出てきます。
この人の話をちゃんと見てると、
オチが想像できてくるんだけど・・・
正直、あたしゃリアルに怖いオチを予想してたんで、
「なるほど、そうだったのか!」って驚きました。
そして、救いのある結末にホッとする自分がいたんですよね・・・

実際の事件はこんな甘い話ではないんだけど、
小説だもの、こんな結末でもいいじゃないの!
人が死んだり傷つけたりするだけの話は、
ノンフィクションで十分なのだ・・・・(涙)

かなり読みやすく、一気読み必至です。
他の作品も読んでみようかなぁ・・・?と思っております。




 
   
チェインドッグ




2015/10/3 読了






早川書房

内容(「BOOK」データベースより)
鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人犯・榛村大和からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」そう訴える大和のため、事件の再調査を決めた雅也。パン屋の店主だった大和の人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也は大和に魅せられ始める。一つ一つの選択が明らかにしていく残酷な真実とは?俊英が描く傑作ミステリ登場。




うおぉ・・・・
後味、悪すぎぃ・・・・(汗)


これは、「寄居虫女」と同じだったのか・・・・
読み終わって、気づくんだわ・・・。
相当なイヤミスだわ・・・。


人生に絶望していたり、悩んでいたり・・
そんな状況に届いた、ある一通の手紙・・・
その手紙に翻弄されていく主人公・雅也の話なんだけど・・・

途中、「あぁ、まさか、コイツ・・・」って思うんです。
で、案の定、そうだった・・・ってなるんです。
さぞ苦しかろう・・・・と思うんだけど、
当事者は逆に光を見出してたりして・・・・
アカン!そっちにいっちゃいかん!!って思うんです、こっちは!

で、はた・・・・と気づく。
まさか、コイツ・・・ってね。


ネタバレです。


シリアルキラーが捕まると、
もう殺人を重ねるという快楽は不可能になるわけです。
となると、次なる快楽を見つけ出すわけです。
そう、人の心を操るってことを・・・・。

見事にこの大和の手に堕ちた雅人・・・
もうだめか・・・・と思ったけど、最後まで落ちずに済みました・・・
檻の中では自分のコントロールが効かないとこがあるからね・・・
ざまぁみろ!!

・・・しかし・・・
このシリアルキラーは恐ろしいヤツでして・・・
種、蒔きまくってましたよ。(汗)
で、見事に引っかかってるヤツ、います。
しかも、雅人のすぐそばに・・・

ひゃーっ!!もぉーっ!逃げられへーん!!
怖いよぉ・・・・
えーん、えーん・・・っていう感じの終わり方・・・
もう、後味悪くて引きずります。(笑)

いやはや。
この大和の極悪非道な殺人の罪もおぞましいけど、
人の心を操る部分も恐ろしい・・・
早めに死刑にしてください。




 
   
赤と白




2015/12/29 読了






集英社

内容(「BOOK」データベースより)
冬はどこまでも白い雪が降り積もり、重い灰白色の雲に覆われる町に暮らす高校生の小柚子と弥子。同級生たちの前では明るく振舞う陰で、二人はそれぞれが周囲には打ち明けられない家庭の事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校していった友人の京香が現れ、日常がより一層の閉塞感を帯びていく…。絶望的な日々を過ごす少女たちの心の闇を抉り出す第25回小説すばる新人賞受賞作。




私は南の方の生まれでしてねぇ・・・
雪一色の世界ってのは経験ないし、
雪が降ろうもんなら、大喜びで庭かけまわりたいタチなんですよ。(笑)

でも、こういう場所で生活している人にとっては、
雪かきとか、肉体的にも大変だし、
精神的にもずっとずっと鬱屈みたいのがたまっちゃうのかもなぁ・・・って
そんな気がしました。

舞台は雪国。高校生たちのある一時期を描いたものですが、
まぁ、そこまでみんな転げおちるか?ってなもんで・・・。(汗)

大人からすると、世界はそんなに狭くないよ・・・って言いたくなるけど、
この世代の子にとっては、世界は学校が中心で、
自分の弱いところを見せずに友だちでいたかったりするんだよね。
本当の友達って、弱いところも見せられるもの…なんて
きれい事は通用しない感じが、ちょっと懐かしかったりしました・・・。

子供のころ、ハツイチの母の恋人に性的いたずらをされたことのある
小柚子という少女と、家には引きこもりの叔父がいて、
その叔父を可愛がって自分を蔑ろにする母がいる弥子。
二人は親友なんだけど、ある日、懐かしい友が出現し、
流れが一気に変わっていく・・・

小柚子には見せられない弱味を、その京香という旧友には
話せてしまった弥子は、小柚子と距離がでてくる・・・
一方で、京香の姉・百香に過去を離したことがあった小柚子は、
京香は本当は百香じゃ?だとすると、過去を知られてる・・って
精神的に追い詰められていくのよね。

親友なのに話せない、親友なのに話してくれない・・・
なんか、その窮屈な切なさがバシバシ伝わってきて・・・
でもさ確かに自分がこの年なら、親友には言えないかな・・って。
わかる気もしたんだよねぇ・・・・

そこに、ちょいとエキセントリックなクラスメイトがからんできて、
物語は一気に面倒なことに・・・
雪に覆われた町・・・
強風吹きすさぶ中、起こった停電が引き金となり、
いろんな人々の箍が外れてしまう・・・

かなり悲惨な結末で、
「すべては雪が隠してくれた・・・」なんてことにはならなくて、
あの子はどうなったのか?これからどうなるのか・・・?と、
もやもやしつつも・・・・
一気に読み切った作品でございました・・・。




 
   
世界が赫に染まる日に




2016/2/10 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
中学3年生の緒方櫂は、従兄妹の未来を奪った加害者に復讐を誓った。自分の左目は見た者を石にする“邪眼”だと称する高橋文稀は、15歳の誕生日に自殺する計画を立てた。夜の公園で出逢った二人は、文稀が死ぬまでの間、櫂の復讐に協力する契約を結ぶ。予行演習として、少年法に守られ罰せられない犯罪者たちを一人ずつ襲っていくが、彼らの制裁は次第にエスカレートしていき―。復讐の意味を問いかける衝撃作。




大切な家族(従兄妹)が傷つけられた。
理不尽な暴力によって・・・
抑えきれない怒り・・・そんなとき、ある同級生と出会うカイ。
その同級生・フミキは、15歳の誕生日に自殺すると決めていた。
じゃ、そのときまで、オレの手伝いをしてくれよ・・と持ち掛けるカイ。
そして、二人の復讐劇が始まる・・・・という展開。

話は、最初はカイがメインで進んで行きます。
カイが、フミキを巻き込む形で・・・
しかし、時が進むにつれ、主導権はフミキに移っていく、
そして、従兄の意識が戻った時、カイの心境に変化が・・・
でも、すでにフミキは止められないところまで来ていた・・・
そして、結末は・・・


ネタバレです。


少年犯罪のむごさがビシビシ伝わってきます。
本当の復讐の前に、予行演習として、他の少年犯罪にかかわった
加害者を傷つけることにした二人だけど、
「こんなヤツラ、どんな目にあったってかまわない、当然だ」と思って
どんどん非情に罰をくだしていくんだけど・・・
それって、無関係の人間が勝手にしてる「暴力」で、
「暴力」に変わりはないわけで・・・

カイは、ある時点でそのことに気づき、歩みを止めようとする・・
自分が傷つけた相手も不自由な体になったかもしれないし、
ソイツにも家族がいたはずだ・・・・ってね。
だけど、フミキはそうではなかったんだ。

後半はフミキがメインで描かれていくんだけど、
あまりにも悲しく苦しい境遇に、
カイという存在がとても大きかったんだ・・・って思うと、
可哀想だし、痛々しいし、
そんな中でも相手を思っての行動に、胸が痛くなった。
止めてあげたかった。
そこまで行く前に・・・
だから、カイが卑怯だな・・・って思う部分もあって。
唆したのも、頼んだのもカイで、
だけど、もうやめようと強くフミキを引き戻すこともせず、
こんな結果になってしまって・・・

もし、カイに出会わなかったら・・・フミキは自殺していただろうか。
自分の存在の無意味を受け入れたくなくて、
意味あるものにしたくて死を選ぼうとしていたけど
薄々、そこに意味なんてないってわかってて、
それでも、現実から逃げるために自殺していただろうか。
カイと、こんな形で出会ってなかったら・・・
いや、こんな形でなければ親しくなんてなってなかっただろうから
どの時点かで、違う方向に動き出せてたら・・・・
二人には違う未来があっただろうにな・・って思っちゃって。

最後は、フミキに変化が見えました。
ここで現実に戻ってくるのが幸せなのか・・・
私にはわからないけど・・・
でも、キミを待ってる人は確実に一人はいる。
キミに生きていてほしいと願う人は、確実に二人はいる。
そのことを、知らせてあげたいとも思うな・・・。

読んでて気持ちのいい話ではないけど、
グイグイ引き込まれてしまう作品です。




 
   
FEED




2016/6/13 読了






新潮社

内容(「BOOK」データベースより)
嘘が充満し、盗みが横行。信じられるのは自分だけ。社会から弾き出された人間ばかりが住むシェアハウスで、わたしたちは友達になった。居心地わるくないかも。そう思い始めていた。だって、知らなかったし―。あんな人が、この世界にいるなんて。ハナシテ、イタイ―ねえ、わたし、餌になるために生まれてきたの?少女たちの友情と愚行そして後悔。つまり、青春の全記録。




最初から最後まで、息苦しさでいっぱいだった。
でも、見届けなくては・・・っていう思いで、一気読みでした・・・。

モラハラパワハラ父と、従順な母から逃げ出して家出してきた綾希。
不潔極まりない格安シェアハウスで出会った眞美との数カ月を描いてます。


ネタバレです。


綾希にあって、眞美になかったもの・・・
信念・・・かな?
綾希は、こんな底辺の暮らしをしてても、売りは絶対やらない!って
心に決めていたし、人に流されることもなかった。
だけど、眞美は自分を守るための手段として、
強きものに流される道を選択していくのよね。
徐々に二人の間に距離が出来、
決定的に決別してしまう・・・

そのあとの二人の進んだ道の両極端なこと・・・(涙)
運良く、いい人と出会った綾希。
自分で選んで危険な人たちについていった眞美・・・
光り当たる暮らしを始めた綾希は、
親友・眞美のあまりにも悲惨な末路を知ってしまう・・

頼るものもなく、最低の暮らしの中、
唯一の光であった親友の存在・・
それはお互いにとって、忘れられない存在だったわけで・・
救いもなく、息苦しいままの結末となってますが、
それでも生きていかなくてはいけない綾希が、
眞美の分まで幸せになってほしいの願うけど、
本人はそう割り切れないかもなぁ・・・

このご時世、目を向けようとしてないだけで、
こんな場所は本当存在しているのはきっと事実なわけで・・・
ただただ、誰の為でもない、自分の為に、
自分を大切に生きて行ってほしいなぁ・・・って願うばかりです。




 
   
209号室には
知らない子供がいる




2017/1/18 読了






角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
リバーサイドの瀟洒なマンション、「サンクレール」。209号室の少年・葵が現れた日から、「ちゃんとした」住人たちは崩れ始める。いわゆる「勝ち組」の専業主婦・菜穂、理想的な年下夫と結婚したキャリアOL・亜沙子、妻と死別した上司と年の差婚をし、家庭を得た千晶。不実な彼氏の代わりに、慰謝料を得た和葉。「どうしてわたしが」「何もしていないのに」「この子は、何…?」そして209号室のオーナー・羽美にも魔の手が迫り…。これは呪いか、人災か?209号室の謎とは…。大人気女性作家が描く嫌ミス系ホラー




もう・・・・すんごい精神的ストレスがかかる作品だわ・・・・。(汗)
あるマンションで、ある家庭に突如入り込んでくる「少年」が、
普通の家庭を壊していく話・・・

「コドモの王国」は、もう、私には到底我慢できない話。
とっくに家を出てるわ、マジで!
子供と一緒に子供になる夫なんて・・・
ありえへん!
で・・・最後のあまりにも悲惨な死に方・・・
我が子と我が夫にニヤニヤされながらの凍死・・・・
ありえへーん!!!

「スープが冷める」はねぇ、ありえへん話ではない・・
夫の母と同居、なのに夫が単身赴任で海外に!
うん、ありえない話ではない・・・
だけど、「少女のような姑」の相手は大変だよねぇ・・・
でもさ、外に働きに行けるわけだから、そこで発散すりゃいいものを、
家でのストレスを抱え込んじゃったわけで・・・
とはいえ、この人は逃げ出したからね、ある意味正解・・・よ。
ただ、「殺した」と思ったまま逃げてるわけで・・・
違うよ・・・・って誰か言ってあげてーっ!!

「父帰る」はさ、自分の罪悪感を悪い方に転化させちゃってて、
自分で自分を追い込んでいった・・・って感じ?
そこに、「あの子」が付け込んだわけよねぇ・・
ほんと、いいとこ突くわ・・・この子・・・(汗)

「あまくてにがい」もね、寂しい女に付けこむよなぁ・・
子供のころの大人の言葉って、ある意味「呪い」になりかねないから、
ちゃんと見てあげないといかんなぁ・・・って思ったわ。
「お姉ちゃんだから妹を守ってあげてね」なんていう普通の言葉が、
お姉ちゃんを縛り付けていたとはねぇ・・・
そうとは知らない妹の傍若無人っぷり・・・
読んでてムカムカしたわ!
「あの子」が来て、本音を言えた部分は良かったんじゃ?って思ったよ。
ま、追い込まれて死にかけますけど・・・(汗)

最後の「忌み箱」は、そもそもの「原因」が明らかになる話。
この手の話は小野不由美さんの「残穢」と似た話で・・・
その土地に憑りついたるたくさんの哀しい魂だった・・・ってわけです。
それに気づいて、何とかできた・・・と思わせといてーの・・
「憑いてきちゃった!」っていうオチ?
いやーっ!いつまでー??
怖いわ、やめてほしいわ・・・・(涙)

ということで、不穏な空気満載の作品。
憑りつかれないよう、気をつけてお読みあそばせ・・・。(涙)