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 村田沙耶香 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

殺人出産 消滅世界 コンビニ人間





   
殺人出産




2016/2/21 読了






講談社

内容(「BOOK」データベースより)
「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい―。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない…。三人での交際が流行する、奇妙な世界を描いた「トリプル」など、短篇3作も併録。普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集。




この発想力がすごい!
「人を殺してはいけない」と、当たり前の常識に疑問を持ち、
「じゃ、”10人産んだら一人殺せる”世の中があったら・・?」って
そんな設定を思いついて、一つの物語に仕上げるチカラ・・・
すごいですねぇ・・・
感心っていうか、驚愕!って感じです。

殺す相手は、復讐相手でも誰でもいい、
とにかく、10人産んだら、国が支援してくれる中、
一人殺すことができる世の中・・・
しかも、「産み人」として人々の称賛を浴び、
殺される人も「死に人」としてみなに見送られる・・・
そして、殺人という行為の上に成り立つ出産から生まれた子は、
どんどん増えていく・・・・っていう、すごい世の中です。
「子を産む」ということ=愛をはぐくんだ結果ってわけではなく、
別物として切り離されてるってのも面白いですよね。
結婚する=子を産むっていう当然の流れに
疑問を持つ人は今の世の中にもたくさんいるでしょうから・・・

ただ、100%の人に受け入れられてるわけではない・・・
反抗する人もいるし、受け入れられない人もいる。
そんな人たちを描いているわけですが・・・
結末がなんともねぇ・・・
誰しも「殺意」って抱いたことがある・・・んだろうけど、
「殺す」っていうための「出産」っていうのがねぇ・・
なんか、やっぱり受け入れがたいですよねぇ・・・

「ありえない世界」として、興味深く読みましたけど、
こんな世の中は、やっぱりイヤっす。(汗)

残りの三篇も、性や生に関するモノ。
「トリプル」は、なんかおぞましくて・・・
そんな関係でのエクスタシーは・・・
どう考えても私には受容しかねる・・・です。(汗)

最後の「余命」は、いろいろと技術が発達すると、
最終的にこうなる・・・・かもですよね?
「死なない」ということは、「死ねない」わけで。
自分でそのときを選択し、実行しなくてはいけない・・
なんともメンドーな世の中です。(汗)

すごい発想の小説をお書きになる村田さん。
他の作品も読んでみよう・・・。




 
   
消滅世界




2016/5/19 読了






河出書房新社

内容(「BOOK」データベースより)
「セックス」も「家族」も、世界から消える。日本の未来を予言する圧倒的衝撃作。




村田さんの世界・・・だな。
ほんと、相変わらずぶっ飛んでらっしゃる。(笑)

人工授精で子供を作ることが当たり前になった世界・・・
夫婦でのセックスは、「近親相姦」として扱われ、
「交尾」の結果生まれる子供は激減していた・・・
・・・すごい設定よね。(笑)

このことを受け入れつつも、体は本来の生殖行動を求めている雨音。
最後は、「楽園」に自ら入って行き、
結局はこのシステムに順応していっちゃうわけだけど・・・
恐ろしかったなぁ・・・
「生まれてきた子はみんなの”子供ちゃん”」
「大人は全員、子供ちゃんの”おかあさん”」・・・なんてさぁ・・・
なんて世界だよ・・・

その描き方が、すごく悍ましくて、この作家さんはほんと、
そういう意味でお上手。(笑)
もしかしたら、この先にあるかもしれない未来・・・・
ちょっとゾっ・・・・としつつ、
私には関係ない話だなぁ・・・って
他人事であることに安心してる自分がいるのでした・・・。




 
   
コンビニ人間




2017/2/5 読了






文藝春秋

内容(「BOOK」データベースより)
36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。




芥川賞受賞作品ですけど、
「THE 芥川賞」って感じじゃないですよね。
哲学的でもないし、直木賞寄り・・な気がします。

コンビニでずっと働いている村田さんらしい作品。
村田さんご自身はここまで「コンビニ人間」じゃないだろうけど、
毎日同じ場所に、同じ目的で通うと、
確かにそこの「一部」になった気がする・・ってのはわかる気がする。
そして、その「一部」であることが、「自分である」ってこと・・・
見ようによっては可哀想な女かもしれないけど、
そう思える場所を自分で見つけて、自分でそうしたわけで、
それはそれですごいことだ・・・って思えちゃったり・・・

ろくでもない男に寄生されたときゃ、
おいおい、大丈夫か・・・?って不安になったけど、
この男との出会いのおかげで気づけたわけで、
ま、結果オーライ・・・かな?(笑)

しかし、ホント、女ってのは生きづらいね・・・
結婚しないと、結婚しないの?って言われるし、
バイトし続けてると、え・・?それで大丈夫・・?って言われるし・・・
「普通」って、何だろ・・・?って思っちゃうね。

かなり変わった主人公で、
家族や周囲の人は確かに心配で不安になっちゃうだろうけど、
この人自身はそうは思ってなくて、
それほど人に迷惑をかけてないし、
「こうしたら楽だけど、やると周りがドン引く」っていうこともわかってるから、
大丈夫なんじゃないかなぁ・・・?って思っちゃいます。
・・・とはいえ、妹ちゃんの気持ちはわからんでもないんだけどね・・・。

短めの作品だし、読みやすいし、
村田さんの作品にしてはさほどトリッキーでもないので、
入門編・・・として考えるといいんじゃないかな?
あたしゃいきなり「殺人出産」から入っちゃったからな・・・(笑)