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 中山七里 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。
リンクしていないモノは、おいおい感想載していきます。

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さよならドビュッシー 連続殺人鬼カエル男 要介護探偵の事件簿 贖罪の奏鳴曲
静おばあちゃんにおまかせ 魔女は甦る ヒートアップ 切り裂きジャックの告白
七色の毒 追憶の夜想曲 アポロンの嘲笑 テミスの剣
月光のスティグマ 嗤う淑女 ヒポクラテスの誓い 総理にされた男

 page.2  
闘う君の唄を ハーメルンの誘拐魔 恩讐の鎮魂曲 作家刑事毒島
ヒポクラテスの憂鬱 セイレーンの懺悔 翼がなくても 秋山善吉工務店
ドクター・デスの遺産 ネメシスの使者





   
闘う君の唄を




2015/11/16 読了






朝日新聞出版

内容(「BOOK」データベースより)
新任幼稚園教諭として埼玉県秩父郡神室町の「神室幼稚園」に赴任した喜多嶋凛は、モンスターペアレントたちの要求を果敢に退け、自らの理想とする教育のあり方の実践に務める。当初は、抵抗されるも、徐々にその熱意が伝わり、周囲の信頼も得られていくのだが…。健気なニューヒロイン、誕生!





私、中山さんのファンでして。
刊行される単行本は、すべて買っておりまして・・・
しかし、この作品だけは、なぜか触手が動かず・・・
で、図書館で借りました・・・
うむ、買わずに正解・・・・かな?(汗)

幼稚園の新米保育士が奮闘する物語・・・ってことで、
なんか、中山さんらしくないなぁ・・ってことで買わなかったんだけど・・・
ただの「成長物語」ではございませんでした。
うん、やっぱり中山さんの作品だった。(笑)



ネタバレです。



まぁね、かなり早い段階で、胡散臭い人が出てきて・・・
「過去にあった事件」なんて出てくると、
あぁ・・・この人じゃないの・・・?って気づくわけです。
で・・・やっぱ、その通りなんだけど・・・

まさか、主人公がその「加害者の娘」だったとは!
そこには気づかなかった・・
で、中山さんの作品ではお馴染みの、渡瀬警部が出てきまして、
真相を暴いてくれるんだけど・・・

その場所、事件当時、見つけられなかった・・・?
関係者を全部あたらなかったの・・・?
まぁね、現行犯逮捕されてる容疑者がいたから、
深くは調べななかったのかもしれないけど・・・
なんか、腑に落ちないよねぇ・・・(汗)

で、冤罪が晴らされた・・・って感じなんだけど・・・
三件中、一件は「やって」ますからねぇ・・・・
完全に「加害者の娘ではなくなった」わけではないので・・・
スッキリはしないものの・・・

中山さんが最後に書かれているように、
この話は中島みゆきさんの「ファイト」の歌詞に影響されて書いたもので、
どん底に落ち込んでも、闘え!立ち上がれ!っていう、
その応援はしたいなぁ・・・って思うお話でしたね。

ただ・・正直、私が子供を通わせてる保育園の保育士が、
ある幼児殺害事件の犯人の娘だった・・・って聞かされたら・・・
やっぱり、いい気はしないかなぁ・・・と。(汗)
別にその娘さんが悪いわけじゃないってのはわかるんだけど、
心情的に、やっぱりねぇ・・・
心の狭い女ですんません・・・・(汗)

まぁ、最後の部分では事件解決モノになって楽しめたものの・・・
三歳児がそこまで利口なのか・・・?っていう疑問が大きくあって、
始終違和感を感じてしまってました・・・(汗)
ちょっと設定に無理があったかなぁ・・・?って気もしますね。




 
   
ハーメルンの誘拐魔




2016/2/2 読了





角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
病院からの帰り道、母親が目を離した隙に15歳の少女・香苗が消えた。現場には中世の伝承「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養隼人が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。数日後、今度は女子高生・亜美が下校途中に行方不明になり、彼女の携帯電話と共に「笛吹き男」の絵葉書が発見された。亜美の父親は子宮頚がんワクチン勧奨団体の会長だった。ワクチンに関わる被害者と加害者家族がそれぞれ行方不明に。犯人像とその狙いが掴めないなか、さらに第三の事件が発生。ワクチン被害を国に訴えるために集まった少女5人が、マイクロバスごと消えてしまったのだ。その直後、捜査本部に届いた「笛吹き男」からの声明は、一人10億、合計70億円の身代金の要求だった…。




前作がちょっと・・・だったので、今作は期待してました!
ただ、帯が沢村一樹さんで・・・番宣感が残念でした・・・。(涙)

次々と誘拐されていく少女・・・
中山さんの作品ではお馴染みの犬養刑事が追う・・って展開。


ネタバレです。


途中・・・いや、かなり早い段階で真相に気づきます。
きっと、読者のほとんどが気づくと思う!ってくらいの、
わかりやすい設定・・・展開・・・・オチ・・・・です。
そこはガッカリした部分でもあるんだけど、
「子宮頸がんワクチンの副作用」ってことをあまり知らなかったので、
そこは勉強になったかな・・・と。

ワクチン接種直後に副作用が出てくれればいいのに、
時間が経ってから、しかも多様な副作用が出てしまう・・・
これでは、「ワクチンのせいだ!」って確定しづらいですよねぇ・・
良かれと思ってさせたことが、我が子を苦しめる・・・
親の気持ちで考えると、やるせないですよね・・。

「ハーメルンの笛吹き男」を名乗ってた真犯人は、
やっぱり・・・でしたし、そこに加担してる人たちも、
少ない登場人物の中から考えると、そこしかないわけで・・・。
ってことで、推理モノ・・というより、社会派ドラマって感じかな?

最後に少し希望が持てたのが良かった。
これって、あの医師の治療が奏功した・・・ってこと?
だとすると、捕まっちゃうのは惜しい・・。(涙)
でも、犬養のおかげで無駄な命が失われなかったのは良かったかな。

「男の嘘は見抜ける」犬養と、
女だから「女の嘘や違和感を感じる」ことができる相棒の女性刑事・・
いいコンビに最終的になったけど、
この若き女性刑事が、まー、感じ悪くて!
犬養が嫌いなんだろうけど、そこまであからさまに言動に出す?
よく我慢してるよね、犬養・・・って感じだったよ。
もし次作があるとしたら、このコンビは解消しててほしいわ。(笑)




 
   
恩讐の鎮魂曲




2016/3/21 読了





講談社

内容(「BOOK」データベースより)
韓国船が沈没し、251名が亡くなった。その事故で、女性から救命胴衣を奪った日本人男性が暴行罪で裁判となったが、刑法の「緊急避難」が適用され無罪となった。一方、医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕されたため、御子柴は弁護人に名乗り出る。稲見は本当に殺人を犯したのか?『贖罪の奏鳴曲』シリーズ最新作!!圧倒的迫力のリーガル・サスペンス!




弁護士・御子柴シリーズ第三弾。
前作で、御子柴の「幼女殺害」の過去が法廷で公にされたことで、
御子柴、どうなるんだろう・・・?って思ってたけど、
ちゃんと弁護士を続けてましたね。
奇特な上層部がいてくれて、なんとか守ってくれてるようで・・・

とはいえ、真っ当な依頼はなかなか来ないようで・・・
そんな中、少年院時代の恩師・稲見が殺人を犯したというニュースを知り、
何とかしてあげたい!と駆け付ける御子柴だったが・・・ってお話です。

あの稲見が殺人を犯したとすると、
よっぽどの理由があるか、誰かをかばってるか…だと思うよね。
目撃者が多数いる以上、よっぽどの理由ってことになるわけですが・・

冒頭の、韓国籍のフェリーが沈没して、
そのときに女性の救命胴衣を奪って生き延びた男が、
「緊急避難」という法律によって無罪になった・・って話が、
途中、ちゃんと結びついてきて、
御子柴の弁護方針にも影響していきます。

それにしても・・・・
自分が生き残りたいからって、
人が着てる救命胴衣を殴って奪って、
それが「緊急避難」として認められるなんて・・・
納得いかん!
自分の危機回避のため、人を死に追いやってもそれは仕方ないなんて理論、
私は納得できないけどなぁ・・・(汗)


ネタバレです。


展開とオチは、まぁ予想がついたというか。
この中の誰かがあの男性で、
この中の誰かが、あの女性の遺族なんだろうなぁ・・ってのは、
最初から分かった上で読み進めちゃいましたね。

そんな中、稲見の家族のことも絡んできて、
稲見の行動の意味が明らかになっていきます。
御子柴は、確かに稲見なぐり殺したとしても、
無実にしてあげたかったようですが、
少年院で罪に向き合い、罰を受ける意味を説いてきた稲見にとって、
犯した罪から逃げるようなことは、
正当な罰を何とか回避しようとすることは、
今までやってきたことを否定することになるわけだから、
稲見の気持ちもわかるな・・・って気がしました。
こういう人だからこそ、御子柴も必死になったんだろうしね・・・

出された判決は重いものだったけど、
この裁判で明らかになったことで救われた人もいるし、
壊れた絆が修復されることもあるだろうし、
裁判は無駄じゃなかったよ、御子柴。

さすがの御子柴も堪えたようで、心折れそうになってたけど、
また踏ん張ることにしたみたいですね。
今後も弁護士を続けていく御子柴・・・
公になった過去、そのことで何を言われようがされようが、
文句を言わず贖罪を続けていくようですね。
また会えるかな?




 
   
作家刑事毒島




2016/9/5 読了





幻冬舎

この男、前代未聞のトンデモ作家か。
はたまた推理冴え渡る名刑事か! ?
中山史上最毒・出版業界激震必至の本格ミステリ!
殺人事件解決のアドバイスを仰ごうと神保町の書斎を訪れた刑事・明日香を迎えたのは、流行作家の毒島。虫も殺さぬような温和な笑顔の持ち主は、性格の歪んだ皮肉屋だった。捜査過程で浮かび上がってきたのは、巨匠病にかかった新人作家、手段を選ばずヒット作を連発する編集者、ストーカーまがいの熱狂的な読者。ついには毒島本人が容疑者に! ? 新・爆笑小説!




うわーっ!!!読んでて目が痛いっていうか、耳が痛い・・・(汗)
これは、作家を目指す人、編集者、書評家には
グサグサくる話だ!
・・・勝手に書いてる私もそうでやんす・・・(涙)

作家でありながら現役の刑事・毒島・・・
かなりの毒舌だが、推理力は抜群・・・ってことらしい。

で、5編からなる小説ですが、
どれも「本」に関わる人が死に、
どれも三人程度の容疑者が登場し、
毒島が鮮やかに真相を突き止める・・・・って話になってます。

どの事件も、被害者が、容疑者とされる人々に、
けちょんけちょんに暴言を吐いて、恨まれて殺される・・・っていう
そんな展開になってるんだけど・・・
何より毒島が誰よりも毒舌で!!
なんでコイツが殺されないんだ・・・?っていう。(笑)

最後は毒島本人が容疑者に???って展開になりましたけど、
それもちゃんと自ら容疑を晴らしておりましたね。

いやぁ・・・「そこまで言う・・・?」ってくらいの毒舌オンパレードに、
中山さん、かなり溜まってらっしゃるのね・・・?って思っちゃった。(汗)
すっかり吐き出してスッキリなさったことでしょう。(笑)
いや・・・癖になって、続編を書くかも・・・?




 
   
ヒポクラテスの憂鬱




2016/10/6 読了





祥伝社

内容(「BOOK」データベースより)
“コレクター(修正者)”と名乗る人物から、埼玉県警のホームページに犯行声明ともとれる謎の書き込みがあった。直後、アイドルが転落死、事故として処理されかけたとき、再び死因に疑問を呈するコレクターの書き込みが。関係者しか知りえない情報が含まれていたことから、捜査一課の刑事・古手川は浦和医大法医学教室に協力を依頼。偏屈だが世界的権威でもある老教授・光崎藤次郎と新米助教の栂野真琴は、司法解剖の末、驚愕の真実を発見する。その後もコレクターの示唆どおり、病死や自殺の中から犯罪死が発見され、県警と法医学教室は大混乱。やがて司法解剖制度自体が揺さぶられ始めるが…。




「ヒポクラテスの誓い」の続編ですね。
真琴は、正式に法医学教室の人間となりまして・・・です。

サブタイトルが、東野圭吾さんのガリレオシリーズみたいな、
「堕ちる」とか「停まる」とか・・・そんな感じがしましたね。
それはさておき・・・

全6編の短編集ですが、全体を通して「コレクター」という人物からの
挑戦を受け続けております。
果たして「コレクター」は誰だ?意図は?ってことになるわけですが・・・

かなり早い段階で、こいつじゃね?って気づいてまして・・・
やっぱりか・・・って思いましたな。
だけど、動機がさ・・・
あまりにもひどすぎた。
最低の不倫野郎ですよ!!
こいつこそ地獄に堕ちればいいのに・・・。

それぞれの短編は、光崎教授の解剖で真相が・・・っていう
定型ばかりではなく、イレギュラーな話もあって面白かったんだけど、
遺体なき状況を打破するための・・・っていう話は、
えぇ〜・・・?って思っちゃった。
それ、やっていいの・・・・?っていう・・。
確かに、葬儀費用を浮かすために献体する人もいるだろうけど、
本当に良かれと思って献体する人かもしれんやん?
その人の遺体をそんな風に使うなんて・・・
うーむ・・・倫理上問題がありすぎるな・・・って思いました。
ま、報われたから良かったけどさ・・・。

全体を通して、古手川と真琴の恋仲をさらー・・・っと描いてますけど、
誰かが言ってましたが、似た者同士なんで、
やめといたほうがいいかな・・・って私も思うよ。
アクセル全開のカップルなんて、心配すぎますから!(笑)

まだ続きそうなシリーズものとなりましたね。
次作も楽しみに待ちたいと思います。




 
   
セイレーンの懺悔




2016/11/22 読了





小学館

内容(「BOOK」データベースより)
葛飾区で発生した女子高生誘拐事件。不祥事により番組存続の危機にさらされた帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」の里谷太一と朝倉多香美は、起死回生のスクープを狙って奔走する。多香美が廃工場で目撃したのは、暴行を受け、無惨にも顔を焼かれた被害者・東良綾香の遺体だった。綾香が“いじめられていた”という証言から浮かび上がる、少年少女のグループ。主犯格と思われる少女は、6年前の小学生連続レイプ事件の犠牲者だった。マスコミは、被害者の哀しみを娯楽にし、不幸を拡大再生産するセイレーンなのか。




今回の中山さんの新作は、「マスコミ」です。
事件を追う刑事・・・ってのはよくあるけど、
それを報道する側の「責任」とか「罪」とか・・ですよね。
何か起こると、マスコミは争って報道する。
その中には間違った情報だってある。
見る側は、それを全部鵜呑みにはしないものの、
一度流された情報は間違っていようと残ってしまう・・・・
ほんと、罪深いといえば、そうだよなぁ・・・

途中、刑事が、事件を追うという意味では同じ「警察」と「マスコミ」を、
ここが違う!と言い切る場面があります。
信念の違い・・・なんだけど、
警察が正義でマスコミが悪・・とは言わんけど、
確かにそうかもな・・・って思っちゃいます。

そんな、マスコミの誤報によって紆余曲折する事件が描かれ、
最後は驚きの犯人と、真実が明らかになります。

不用意な発言で自分の首をしめることになってしまった被害者。
最後の希望を失って・・・っていうクライマックスは、
はぁ・・・そういうことか・・・って思うものの、
きっと本人はそんなつもりはなかっただろうに・・ってかばいたくなるんだけど
全然反省してないし!!って思うと、
報道してやれーっ!!って気にもなった。(汗)
でもね、敵のように思ってるマスコミの前では強がってるだけで、
本当は心から悲しんでるかもしれないわけで・・
伝える側ってのは、冷静に客観的に・・・じゃないと
見る側に余計な先入観を与えちゃうなぁ・・って、
最後までいろいろと考えさせられましたわ。

うっとーしがってた刑事さんも、
最後は、おいおい・・・?っていう展開で。
なんか、ここは余計だったかなぁ・・・?って気がしました。




 
   
翼がなくても




2017/1/24 読了





双葉社

内容(「BOOK」データベースより)
「何故、選りにも選って自分が。何故、選りにも選って足を」陸上200m走でオリンピックを狙うアスリート・市ノ瀬沙良を悲劇が襲った。交通事故に巻きこまれ、左足を切断したのだ。加害者である相楽泰輔は幼馴染みであり、沙良は憎悪とやりきれなさでもがき苦しむ。ところが、泰輔は何者かに殺害され、5000万円もの保険金が支払われた。動機を持つ沙良には犯行が不可能であり、捜査にあたる警視庁の犬養刑事は頭を抱える。事件の陰には悪名高い御子柴弁護士の姿がちらつくが―。左足を奪われた女性アスリートはふたたび羽ばたけるのか!?どんでん返しの先に涙のラストが待つ切なさあふれる傑作長編ミステリー。




陸上200Mの選手が、交通事故で足を失った・・・
そんな女性の、再生の物語・・・かと思ったら、
「加害者である男性が殺された!」とか、
「この男性には5000万の保険金がかけられていた・・」とか、
ミステリーも入り込んできて、
中山作品お馴染みの、犬養刑事や御子柴弁護士まで登場!
いやぁ・・・・いろんな意味で中身が濃い作品でした。

陸上選手として雇用されている人は、
こうなったら、苦しい立場になっちゃうよねぇ・・・とか、
義足で生きていくことに慣れることや、
今まで賭けてきた人生を失うことの大変さを思うと、
ホントに読んでるこっちも苦しくなっちゃうお話でしたけど・・

この女性が、どうしても陸上を諦めない!っていう意思をもって、
これでもか!!と突き進んでいく姿は、頼もしいを通り越して、
ちょっと怖さまで感じでしまったのよね。
そこには、「事件」との関係があったわけで・・・

あの人の「想い」が、立ち止まることを許さなかったっていうかねぇ・・
ある意味、「枷」になったっていうか・・・
いいように働いたからいいものの・・・だよね。

「悪徳弁護士」で名高い御子柴がかかわったことで、
いいようにお金が使われたことは良かったと思うし、
あの人の望み通り、彼女は新しい道で光を見出したし、
良かったんだけどね・・・。
でも、やっぱり切ない話ではあります。

人の想いが人を動かすっていうことを感じる作品でした。




 
   
秋山善吉工務店




2017/4/16 読了





光文社


「爺っちゃん、あんた一体何者なんだ?」「ただの大工だ」極上の人情ミステリー。
火災で家と主を失った秋山家。残された妻子は亡き夫の実家「秋山善吉工務店」に身を寄せるも、慣れない祖父母との暮らしは災難続き。一方、警視庁捜査一課の宮藤は、秋山家の火災は放火だったのではと調べ始め……一家のピンチを善吉爺ちゃんが救う!




昔気質のイケイケ爺ちゃんが、いろんな謎を解決!!っていう、
そういう話だと思ってたので、意外でしたわ・・。
結末もね・・・。

火事で家と父を失い、父の実家に住むことになった太一。
兄ちゃんと母ちゃんも一緒だけど、
頑固ジジイの善吉さんがいて・・・
そんな中、太一は転校した小学校でイジメにあう。
てっきり善吉さんが乗り込んで解決!と思ったけど、
この人のスタンスは見守って、自分で気づかせて・・・っていうものなのね。
弱いヤツを守れる強い男になれ・・・か。
自分をいじめるヤツらは弱いやつら、だから守ってやれ・・なんて、
到底できるもんじゃないよ・・・
でも、太一は頑張った!
素直ないい子だ・・・

兄ちゃんはやんちゃで、危ない道に転がりかけたけど、
これはさすがに祖父ちゃんが乗り込んでいったねぇ・・
カッコ良かったけど、一体どんな過去があるんだか・・(汗)

母ちゃんもパート先で大変なことになってたけど、
ここは女同士、姑=祖母ちゃんが解決!だったね。
裏には善吉さんがいたんだけど。(笑)

火事を調べていた刑事・宮藤は、どうしても出火原因が納得いかず、
独自で捜査を続けていたんだけど・・・
どうしてこんなに執着するんだろうね?
刑事としては正しいのかもしれんけど、
好きになれなかったわーっ!

最後の章は・・・あまりにも意外な結末でした・・・
シリーズ化するかと思いつつ読んでいたので、
え・・・?っていう。(涙)
だけど、遺したものは大きかった!!
影響力、ハンパねーっす!!

火事の原因は、太一の言う通りなのかもしれん。
だけど、もう誰も責めはしない。
強く生きていくんだ。
祖父ちゃんが見ててくれるからね・・・・。

中山さんは本当に幅の広い作家さんだ!
お気楽下町物語かと思わせといて・・・だもの。
筆も早いし、やっぱり好きだ!!
・・・でもお体、気を付けてくださいね・・・。




 
   
ドクター・デスの遺産




2017/6/5 読了





角川書店


“どんでん返しの帝王”が放つ、社会派医療ミステリ!
「死ぬ権利を与えてくれ」・・・・・・
命の尊厳とは何か。安楽死の是非とは。
警視庁にひとりの少年から「悪いお医者さんがうちに来てお父さんを殺した」との通報が入る。当初はいたずら電話かと思われたが、捜査一課の高千穂明日香は少年の声からその真剣さを感じ取り、犬養隼人刑事とともに少年の自宅を訪ねる。すると、少年の父親の通夜が行われていた。少年に事情を聞くと、見知らぬ医者と思われる男がやってきて父親に注射を打ったという。日本では認められていない安楽死を請け負う医師の存在が浮上するが、少年の母親はそれを断固否定した。次第に少年と母親の発言の食い違いが明らかになる。そんななか、同じような第二の事件が起こる――。




安楽死がテーマの今作。

ある日、小さな少年が119番に電話してきた。
「変な医者にお父さんが殺された」・・と。
気になって調べ始めた警察は・・、奇妙な医師の存在を知る。
そして、密告電話が・・
この「ドクター・デス」の被害者は他にもいる・・・
そんな話です。

基本的に、安楽死に対して反対ではない私。
自分の意思で生まれてきたわけではない人間は、
死も自分の意思で決めてはいけない・・・って説もアリだけど、
生きられないとわかってて、苦しみがいつまで続くかわからなくて、
本人が「もういい」っていうのなら、それでいいんじゃないか・・って
私はそう思っちゃうんだよね、
自分が死ぬ側でも、見送る側でも・・・。
ま、その立場になってみたら、考えは変わってしまうかもしれないけど。

ドクター・デスが手を下した患者は、
みんな穏やかな顔をして死を迎え、
遺された人はそれに満足していた・・・
それでいいのでは・・・?と言いたいとこだけど、
法律の下に仕事をする警察はそうはいかない。
きっちりと捜査をし、ドクター・デスの仕業と
そうではない事件をちゃんと見極め、
最後は「ドクター・デス」にたどり着きましたね。

私は最初から「この人だろう」って思ってたので、
全然意外ではなかったです。
ただね・・・最後の決断は辛かったね・・・
あそこで「それでもダメ!」と言える人は、ある意味スゴイと思うもん・・・。
これは大きな傷となって犬養に残るだろうね。
今後の犬養刑事に注目ですわ・・・

ってか、犬養さんよ。
闘病中の我が子を囮に使うなんて・・・
私はちょっとドン引いたぞ・・・?(汗)




 
   
ネメシスの使者




2017/7/28 読了





文藝春秋


内容(「BOOK」データベースより)
ギリシア神話に登場する、義憤の女神「ネメシス」。重大事件を起こした懲役囚の家族が相次いで殺され、犯行現場には「ネメシス」の血文字が残されていた。その正体は、被害者遺族の代弁者か、享楽殺人者か、あるいは…。『テミスの剣』や『贖罪の奏鳴曲』などの渡瀬警部が、犯人を追う。




死刑相当の罪を犯したのに、死刑にならなかった服役囚の家族が
次々と殺されていく・・・
関係者による復讐か・・?
それとも、義憤にかられた第三者の仕業か・・・?というもの。
お馴染み渡瀬刑事が追い、岬検事もかかわってきます。

犯罪者憎しで、その家族を殺す・・・っていうのは、
やっぱり間違ってるよねぇ・・・・
一体誰が・・・?そこになんの目的が・・・?ってことになっていくんだけど・・・

途中、筋とは関係のない人が描かれてきまして、
そのうち死ぬ誰かと関係するのか・・?って思ってたんだけど、
クライマックスで怒涛の展開が待ってます。

まさかの犯人・・・
岬検事の心中・・・お察ししますです・・・(涙)
そして、その先の「目的」・・・
そっか、そういうことだったか・・・と、全部つながってきます。

最後は、温情判決を出す「死刑廃止論者」と思われてる判事の言葉・・・
うん、そうなんだよ、
死刑って、反省してないヤツに執行しても意味ない気がするんだよね。
あっけなく訪れる死より、
長い苦しみのあとの放たれた苦しみのほうが・・っていう・・
うん、わからんでもない。
でもね、遺族の心情としては・・・
生きていることがもう、赦せないんだろうなぁ・・・
どんなに考えても結論は出ない、難しいテーマでございます・・・