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 島本理生 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

よだかの片想い Red 夏の裁断 匿名者のためのスピカ
イノセント ナラタージュ





   
よだかの片想い


よだかの片想い


2013/12/18 読了





内容(「BOOK」データベースより)
顔の左側をおおったアザ。からかいの対象にされ、恋愛はあきらめていた。けれど、映画監督の飛坂逢太と出会い、世界がカラフルに輝きだす。24歳にして恋愛経験値ゼロの理系大学院生アイコ。女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがまったくわからず、時に暴走したり、妄想したり、大きく外したり。一途な彼女の初恋の行方は…!?切なくもキュートなラブ・ストーリー。






顔の左側にある、大きな痣・・・
女の子だけに、どんな思いで生きてきたのか・・・と思う。
その少女の、初恋と成長のお話・・・。

ある男性に恋心を抱き、募らせ、告白・・・という流れに、
どんどん順調に進んでいけばいくほど、
正直、悲しい結末が待ってるんだろう・・と、
先を読むのが苦しくなりつつ読んでいました。

だけど、初恋はかなわなくとも、成長したアイコの姿に、
清々しい思いになりました。
そして、「目に見える痣」を抱えるアイコは、
ある意味で幸せなのかもとも思えた。
そのことに、アイコ自身が気づけたことが、本当にうれしかった。
今後もアイコはこの痣と付き合っていくと決めた。
それは、自分を縛っていた痣と向き合えたから・・・
だけど、時間が経てば、その痣に別れを告げる決意をするときもくると思う。
そのときはもっともっと、成長しているわけで・・・

アイコを成長させた初恋・・
胸が苦しくなるくらいの恋だったけど、傷になるような恋や別れじゃなくて
本当によかった・・・
目に見えない痣を持つ人や、突然痣を抱える人もいる・・・
今まで見えなかったことを見せてくれた飛坂に、
他人の私も感謝感謝・・・でございます。

アイコの未来に、幸あれ!!



 
   
Red




2015/1/21 読了





内容(「BOOK」データベースより)
三年間もセックスレスじゃなかったら―大人の恋愛と官能の世界。妻、母を生きる女が一線を越えるとき、そこにはどんな世界が待っているのか―。充実した毎日を送っていたはずの女は、かつての恋人と再会し、激しく身体を重ねた記憶に導かれるように快楽の世界へと足を踏み入れていく。島本理生が官能の世界に初めて挑む!




島村さんの「官能小説」・・・ですね。

セックスレス、夫の親との同居・・・・
ストレスが溜まる中、昔の不倫相手との再会・・・再燃・・・

私も既婚者ですが、共感はしづらい・・・よね。(汗)
やっぱさ、過去の恋愛って大事ね・・・って思っちゃう。
そういう、ちょっと「罪」とか「背徳」とか、
そんな経験をしちゃうと、また火が付きやすいのかなぁ・・・って。
罪って、一回犯すとまたやっちゃう・・・的な。(汗)

まぁ、塔子の置かれた状況は不憫なところもあるんだけど、
「とはいえ、幸せな方だよね」と、楽観的に考えられんもんかな?
人と比べて不幸を見積もっちゃうと、
そりゃどんな境遇も不遇に思えるもんよ。

で・・・どっぷりと不倫の道に突き進むわけですが・・・
よくバレなかったもんだ・・・って感じっすよ。
ある意味、無関心な夫で良かったやん。(汗)

まぁ、夫の親との同居の経験は私にはないけど、
「つかず離れずの距離」はほしいよな・・・
特に、「母親になんでも相談してる」ってのは、さすがにイヤかも。
でもさ、自分も言いたいことを言わないようにしてるんだから、
夫も言ってくれなくなっても仕方ないかな・・・って気もする。

最後に、小さかった娘がどんだけ傷を負っていたか・・ってのがわかり、
こういう夫婦のいざこざのしわ寄せは子供にくるんだな・・・ってしみじみ。
救われたような、虚しいような・・
そんな結末でございました。




 
   
夏の裁断




2015/8/28 読了






文藝春秋

内容(「BOOK」データベースより)
小説家・萱野千紘の前にあらわれた編集者・柴田は悪魔のような男だった―。過去に性的な傷をかかえる女性作家。胸苦しいほどの煩悶と、そこからの再生を見事に描いた傑作。




芥川賞候補作。
審査員の評価は結構厳しいものだったようで・・・

女性作家・千紘は、編集者の柴田をフォークで刺してしまう・・・
そこに至るまでの過程、
そして、そこから立ち直りの兆しが見えるまでの・・・って感じかな?

とにかく、柴田ってヤツが最低でさ。
だけど、この柴田への想いを断ち切れない千紘。
千紘には、過去に性的虐待を受けていたことがあって
それも関係しているらしいんだけど・・・

全体的に、気持ち悪さが蔓延してましたね。
柴田そのもの、
柴田に恋して忘れられない千紘、
娘・千紘と距離を置く母、
千紘に想いを寄せるイラストレーター、
ご近所のお婆さん・・・と、どの人もなんか気持ち悪い。

唯一、普通なのはカウンセラーですかね?
この人の言葉でちょっと光が見えてくるんだけど・・・
気づいたようで、結局気づけてない気がするのは気のせいかねぇ・・・?
本気でちゃんと病院に通ったほうがいいよ・・・?って言いたくなったよ。(汗)

それとさ・・・「自炊」っていう行為がもう、理解できなくて。
本をバラバラにして、スキャナーでパソコンに取り込んで
保存する行為らしいんだけど、
本をザクっ!と裁断するんですよ?
本好きにはとても受け入れがたい。(汗)
本を書く仕事をしてる主人公が、
自傷行為に憑りつかれたように本を裁断する様は、
嫌悪感を感じてしまいました。
ま、自分の過去を「裁断する」っていう意味もある行為だったのかも
しれないけどさ・・・
やっぱ、受け入れがたいわ。




 
   
匿名者のためのスピカ




2015/9/18 読了






祥伝社

内容(「BOOK」データベースより)
法科大学院生の笠井修吾は同級生の館林景織子に、衝撃の過去を告白される。いまでもその彼らしき人物から執拗なメールが届くと怯える景織子を修吾は守ると誓った。交際を始めた二人だったが幸せな日々は突然終わりを告げる。元彼の高橋が景織子の弟に暴行を働き、彼女を連れ去ったのだ。だが実は、景織子は自ら高橋の車に乗り込んでいた。なぜ彼女はストーカーまがいの男と行動をともにするのか?彼女の真意とは?東京から日本最南端の島・波照間島へ、修吾は彼らを追うが…。著者が初めて挑む極限の恋愛サスペンス!




うーん・・・
被害者心理として、まったく理解でいない!ってわけではないけど・・・
つくづく思うのは、
こういう人とは関わりたくない、巻き込まれたくない!ってことかなぁ・・・?
主人公の笠井くんは、きっとそういう「性質」なんだろうなぁ・・・
寄ってきちゃうんだなぁ・・・・(汗)

高校生時代、元カレに監禁された過去がある女性・景織子。
そんな景織子に恋をする笠井。
笠井を心配する友・七澤。
この三人で構成されております。

景織子が、母に愛されず、「家に帰るくらいなら監禁されたままでいい」って
思うのは勝手だし、会いにきた元カレに再び流されるのも勝手だけど、
保険として笠井くんをキープしとく・・・ってどうよ。
感情的でありながら、冷酷なまでに冷静で、
どっこにも共感できんし、同情できんわ!!って思ったわ。

笠井くんにとっての救いは、七澤くんだね。
・・・もしかして、BL的な方向にいくのか・・・?ってヒヤヒヤしたけど、
純粋に笠井君のことが心配だし、
自分に似た景織子の暴走を止めようとしてくれてたんだよね。
自分もたくさん傷ついて、たくさん人を傷つけてきた七澤くんの言葉は、
武器のように尖っていて、図星の人間にはキツイかもしれないけど、
それくらい言わないと、こういう人にはわからんもんね。
・・・・わかってもらえたかどうかも不安だが・・・(汗)

どうなるんだろ?って気になって一気に読んだけど、
個人的にはあんまり面白い話ではなかったな・・・。




 
   
イノセント




2016/7/29 読了






集英社

内容(「BOOK」データベースより)
やり手経営者と、カソリックの神父。美しい女性に惹き寄せられる、対照的な二人の男。儚さと自堕落さ、過去も未来も引き受けられるのは―。『ナラタージュ』『Red』を経て、島本理生がたどり着いた到達点。あふれる疾走感。深く魂に響く、至高の長編小説。




男性を惹きつける女性と、
その女性に魅入られた二人の男性のお話・・・
というと、なんか艶めかしい感じに聞こえるけど、
これは、「救い」のお話でしたね・・・。

大好きな人がいた。
幸せだった。いや、幸せになるはずだった、あの日がなければ・・・
それから数年、一人息子を抱え、美容師として働く比紗也は、
以前出会った中年男性と再会する・・・
そして、自然と関係を持つことになるんだけど・・・

全体的に、比紗也が不幸で不器用に描かれてるけど、
中年・真田も十分不器用。
女性を「女」として扱うことに長けていても、
「人」として、ともに生きる人として扱うことを知らない・・

「人」に裏切られ、傷つけられ、捨てられてきた比紗也にとっては、
求めらてることの根底にある「愛」は、
真田がくれるものではなかったんだよね。
だけど、惹かれていく・・・
そんなとき、神に身も心もささげて生きている歓という神父に出会う・・

この歓も、かなり苦しい生き方をしていて・・・
小さい頃に聞かされた出生のヒミツが、
大きく心に影響したんだろうなぁ・・・
だからといって、やったことは罪だし、神に逃げたことも
全然救いになってないんだけど・・・。

真田と歓という二人の男性との日々で、
女性として愛される幸せな日々と、
心から信頼できる人に出会えた幸せを感じる比紗也。
だけど、付きまとう暗い影に、再び飲み込まれてしまって・・・

幸せになってほしい、そう思いながら読んでいた。
でも、漂う空気がそう思わせてくれない・・・
きっと、ダメなんだろうなぁ・・・・って思ってたら・・・
予想外のハッピーエンド。(笑)
その分、喜びも大きかったわ・・・。

罪から逃げることをやめ、
愛する人の為にただ純粋に献身的に尽くす歓。
それでいいの・・・?と問いたくなるけど、
自分に課した罰であるとともに「生きる意味」なんだろうな・・と。
この人がいなかったら、幸せな比紗也は絶対いないと思う。
比紗也が幸せでいることが歓の幸せなんだから、
絶対幸せになってほしいし、真田は幸せにしなくちゃいけない。

それぞれに苦しみや罪を抱え、
人との出会いによって救われ、生きていく・・・
読んでてなかなか辛い部分もあったけど、
読後感は爽やかでございます。




 
   
ナラタージュ




2017/10/1 読了






角川文庫

内容(「BOOK」データベースより)
お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある―大学二年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。泉はときめきと同時に、卒業前のある出来事を思い出す。後輩たちの舞台に客演を頼まれた彼女は、先生への思いを再認識する。そして彼の中にも、消せない炎がまぎれもなくあることを知った泉は―。早熟の天才少女小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学。




松本潤主演で映画化・・ってことで、
かなり昔の作品だけど今さらながら手に取ってみました。
・・積読本の山の中で長らくお休みいただいておりましたので、
掘り起こしてまいりましたよ!(笑)

とってもズルイ男だよね、葉山は。
そんな男に惹かれて、放っておけない泉という女も、
そういう女なんだからしょうがないね、勝手にして・・っていう、
そんな感想ですよ、大枠でいうと。

でも、文章はとっても瑞々しく、胸が苦しくなるもので、
小説としては素晴らしいと感じました。
泉と付き合うことになる小野くんも、本当はこんな男じゃないはず。
こんな風に愛したくはなかったはず、
だけど、葉山を思い続ける泉を相手にすると、
こんな風になっちゃったんじゃないかなぁ・・って思えた。
イヤなら拒めばいいのに、
流れに流されて受け入れて、だけど完全に心を開かず・・
そんなん相手にするのはつらいもん・・・

最終的に「区切り」をつけます。
そんな風に愛してもらって、キッパリと忘れられるのか・・?って思うけど、
忘れられはしないんだろう。
時に小さくなることはあっても、泉の中に葉山は生き続ける。
そんな女を、わかってて妻にしようとしてる男が、
本当に心の広い男であることを祈るよ・・・。