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 遠田潤子 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。

雪の鉄樹 オブリヴィオン アンチェルの蝶





   
雪の鉄樹




2017/11/15 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
祖父と父が日々女を連れ込む、通称・たらしの家で育った庭師の雅雪は、二十歳の頃から十三年間、両親のいない少年・遼平の面倒を見続けている。遼平の祖母から屈辱的な扱いを受けつつも、その傍に居るのは、ある事件の贖罪のためだった。雅雪の隠してきた過去に気づいた遼平は、雅雪を怨むようになるが…。愛と憎しみの連鎖の果てに、人間の再生を描く衝撃作。




お初の作家さん。
本屋で平積み特集されてたので、映像化作品でもあるのかい?って
思ったけど、そういうわけでもなく・・・
ただ、その本屋さんが「推し」だったみたい。
ってことで・・・買うのは冒険・・・って思って、
とりあえず一作、図書館で借りてみました。

すごかった。
後で知ったけど、「おすすめ文庫王国」で本の雑誌が選ぶ文庫1位。
そんな人気の作品だったんですねぇ・・・
私は単行本を借りましたけど。

さて、祖父も父も女たらし・・・そんな「たらしの家」に生まれた雅雪。
この雅雪、ある少年の面倒を見るために生きております。
何やら、過去にあった事件でこの少年の両親は死んでしまい、
その罪を償うかのように雅雪は少年の祖母に疎まれながらも
十数年、面倒を見続けているのです。

何があったのか・・
かなり読み進めないと明らかになりません。
何があったのか、それを知りたくて読み進める・・といってもいいくらい。
途中、イライラするの、だから何があったのさ!って。
でも、「あと何年」って月日を数えながら日々を過ごす雅雪が、
その「何年」の間に我知らず、築いていったものの大きさに
後半になってグッとくるんです。

過去の事件。
雅雪は自分を責めて罪を償おうとしますけど、
正直、この人は悪くない。
っていうか、かなりの被害者。
遺された想い、消えない想いのために、
日々、一日一日・・・と生きてきた雅雪が、
最後はすごい「お願い」を少年にします。
今まではずっと我慢して生きてきた雅雪の願い。
おいおい、そりゃないだろ・・・?って思うんだけど、
これまでの日々を想うと、それもアリなんだろう・・・と。

そして最後に訪れた再会。
生きてきて良かったね言ってあげたくなった。
申し訳ないけど、感じ悪すぎの婆さんがいなくなってくれて、
今後の人生が明るく感じられまして・・・
いろんな意味でホっとしました・・・
幸せになってほしい。
誰かが自分を認めてくれるという人生を、二人で・・・



 
   
オブリヴィオン




2017/11/23 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
森二が刑務所を出た日、塀の外で二人の「兄」が待っていた―。自らの犯した深い罪ゆえに、自分を責め、他者を拒み、頑なに孤独でいようとする森二。うらぶれたアパートの隣室には、バンドネオンの息苦しく哀しげな旋律を奏でる美少女・沙羅がすんでいた。森二の部屋を突然訪れた『娘』冬香の言葉が突き刺さる―。森二の「奇跡」と「罪」が事件を、憎しみを、欲望を呼び寄せ、人々と森二を結び、縛りつける。更に暴走する憎悪と欲望が、冬香と沙羅を巻き込む!森二は苦しみを越えて「奇跡」を起こせるのか!?




遠田さんってのは、この手の手法の使い手なのかな・・・?
そして、とことん不幸な人を描くのがお得意なのかな・・・?

今作も、刑務所から出所してきた男性に、
二人の「兄」が近づいて行って、
「どうして嫁さんを殺した!」って問い詰めたりするわけだけど・・・
何があったのかは、最初は全然書いてくれないの!(笑)
何があったのさ・・・って想像させまくりなんです!

そして今回は、この主人公には
「鋭い勘」という特殊能力がある・・って設定で、
その「能力」のために人生が壊された・・って感じで書かれるんだけど、
どういうこと・・・?って、もう、先が気になる、気になる!(笑)
すっかり遠田手法に魅せられてます。

ほんと、最後まで不幸な人ばっかりの話でした・・・
境遇に負けずに立ち上がってやり直せるか・・・っていう部分も描かれてて、
ガンバレ!って応援したくなるものの、
闇に引きずり込もうとするチカラをはねのける気が本人にないため、
あぁ、きっとまた堕ちていく・・・って予想がついちゃうのよねぇ・・・

そして、愛する人との間に生まれた子の出生のヒミツ・・・
この真相があまりにつらすぎた。(涙)
まさか、「相手」がそんな人だったとは・・
中絶って選択はなかったのかなぁ・・・?

そして、兄妹の真実も・・・
小学生で・・・?マジっすか・・・?ってドン引きですよ。
そりゃ、「気持ち悪い」ってなるわよ・・。
「気持ち悪い」は、主人公にとってもトラウマの言葉・・・
矛先は違ったのに、不幸な結末になっちゃったんだね・・・(涙)

でも、希望は見えました。
自分がやり直せたように、目の前の不幸な人を救ってやりたい・・
そんな思いを持てたことを、きっと奥さんは喜んでくれてると思うよ・・・?

気になるのは・・・
宗教のトップの婆さんが、娘の名を言ってたこと・・・
まさか・・・奪わないよね・・・?
だって・・・腐ってても血がね・・・・(涙)
それだけは無いと祈りたいです。

タイトルの「オブリヴィオン」は曲の名前・・・
主人公が一瞬で心を奪われたらしい曲・・
youtubeで聞きましたよ、私も。
あまりにも切ない旋律で・・・
この作品と重ねるとより苦しく聞こえてきます・・・。

他の遠田さんの作品も読んでみよう!




 
   
アンチェルの蝶




2017/12/10 読了






光文社

内容(「BOOK」データベースより)
大阪の港町で居酒屋を経営する藤太の元へ、中学の同級生・秋雄が少女ほづみを連れてきた。奇妙な共同生活の中で次第に心を通わせる二人だったが、藤太には、ほづみの母親・いづみに関する二十五年前の陰惨な記憶があった。少女の来訪をきっかけに、過去と現在の哀しい「真実」が明らかにされていく―。絶望と希望の間で懸命に生きる人間を描く、感動の群像劇。




いやぁ・・・これもまた、すんごい重たい・・・・
天童荒太さんの「永遠の仔」を思い出したな・・・

大阪で出会った小学生の藤太と秋雄といづみ。
この三人のあまりにも悲しい25年が描かれています。

しばらく会ってなかった親友・秋雄が小学生の少女を連れて
不意にやってきた・・
この子を預かってくれと言い残して・・・
そして後日、秋雄の住むマンションの部屋が焼けたというニュースが。。
一体何があった・・・?
この少女はいづみの娘というけど、どういうことだ・・・?
そんな始まりです。

暴力・ギャンブルの父親に育てられてた藤太。
ねじ工場の息子で優等生の秋雄とは、普通なら友達には
ならないだろう関係だけど、ある共通点があった・・
それは、秋雄の父も賭け麻雀をやってたのだ・・・
そして、いづみの父も・・・
どんな悲しい繋がりの三人。
少年二人は、自分のため、いづみのためにある行動に出る・・・
それですべてが終わるはずだった・・・

もうね、次々出てくる真実に胸が押しつぶされそうになる。
藤太も可哀想だけど、やっぱ一番かわいそうなのはいづみだった。
この子だけ女の子だから、そうなるんじゃないか・・・?って
ヒヤヒヤしながら読んでたんだけど、案の定で・・
しかも、予想していたよりももっとひどいことになってて、
それを一人で抱えてたんだ・・・
守ろうと思ったのに、実は守られていた・・
それを知ったときはもう遅かった・・・

不幸は不幸を呼び寄せる・・・・みたいに、
それぞれに幸せにはならずに時が過ぎていたわけで・・
でも今、すべてが明らかになったとき・・・
残された人たちには是非にも生きて幸せになってほしい。

エンディングははっきりとは描かれてないけど、
死なないで、二人で生きてほしい。
ただ、ほづみちゃんも全部知っちゃったわけだよね・・?
あまりにも辛い話だけど・・・
明るく生きて行ってほしい。
あと、藤太の店はどうしようもない面々だっかりじゃないってとこが
唯一の救いだったかな・・・・
自分の居場所で幸せを見つけてほしいな・・・

はぁ・・・ほんと、よくここまで重くてつらい話が書けますね・・・(汗)
逆に尊敬するわ・・・