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 薬丸岳 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。
リンクしていないモノは、おいおい感想を記載していきます。

天使のナイフ 闇の底 虚夢 刑事のまなざし
ハードラック 死命 悪党 逃走
友罪 その鏡は嘘をつく 刑事の約束 神の子 (上下)
誓約 アノニマス・コール Aではない君と ラストナイト
ガーディアン 刑事の怒り





   
天使のナイフ





2008/11/12 読了





更生とは何か。本当の贖罪とは何なのか。
少年法をめぐる論争の死角に迫るとともに、
”読み出したら止まらない”ミステリーの醍醐味を両立させた、
選考委員も絶賛の話題作、ついに刊行!! 
第51回江戸川乱歩賞受賞作。



妻を殺された、犯人は三人の少年・・・
そのうちの一人が殺された、疑いをかけられる主人公。
自ら、事件を追い始めた主人公がたどり着いた悲しい真実・・・。

妻が殺されるには、「理由」があった。
少年による衝動的な行動による死ではなかった。
調べていくうちに、妻の過去にいきあたり・・・
「赦し」とは何か・・・
薬丸さんの代表作ですね。

最初は「単純な少年犯罪」かと思ってしまうんだけど、
実は「複雑な複数の少年犯罪」であることがわかっていくのよね。
いやぁ・・・辛いねぇ・・
罪を犯し、悔い、何とか罪を償おうとしていた人もいれば、
罪を忘れたかのように自由奔放に振る舞う人間もいる・・・
だけど、どちらも「犯罪を犯した人間」なんだ・・。
あぁ・・・・切ない。(涙)

これから大きくなる娘に、
死んだ母親のことをどう伝えるんだろうか・・・
それを考えると、さらに辛くなってくる・・


 
   
闇の底




2009/9/16 読了





子どもへの性犯罪が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が
殺される。卑劣な犯行を、殺人で抑止しようとする処刑人・サンソン。
犯人を追う埼玉県警の刑事・長瀬。そして、過去のある事件が
二人を結びつけ、前代未聞の劇場型犯罪は新たなる局面を迎える。



最初からミスリードされてしまうかどうか・・・
それがこの話を楽しめるかどうかにかかってくるかも・・です。
私は最初から、引っかからないぞ!って思って読んでました。(笑)

↓ネタバレです。





案の定、「サンソン」は犯人ではありません。
「サンソン」は意外な人物・・・。
結婚相手の娘を、また犯してしまう衝動を抑えきれなくて、
それが怖くなって、自ら幼児性犯罪者を殺して戒めにしていたのよね。
でも、抑えきれない・・
そこで、自分が昔殺した少女の兄・・刑事の長瀬に自分の始末を依頼・・

とはいえ、長瀬は殺さないだろう・・って思って読んでました。
でも、やっちまった・・ってことだよね・・・?
なんか・・・ありゃりゃ・・・って気になってしまった。
まぁ、そんな思いを抑えて逮捕!っていうのは普通なのかもしれないけど、
でもねぇ・・
殺しちゃったか・・・っていう、脱力感一杯のラストでございました・・。

だけど、一気読みさせる力は、やっぱり流石でございます!



 
   
虚夢


2011/6/30 読了






通り魔事件によって娘の命は奪われた。
だが犯人は「心神喪失」状態であったとされ、罪に問われることはなかった。
心に大きな傷を負った男は妻とも別れてしまう。
そして事件から4年、元嫁から突然、「あの男」を街で見たと告げられる。
娘を殺めた男に近づこうとするが…。
人の心の脆さと強さに踏み込んだ感動作。



心神喪失なら、人を殺しても罪にならないの?
被害者の立場からは絶対に納得できないであろう現実。
その「刑法39条」の部分を描いたお話です。

確かに、この事件の犯人は心神喪失だった。
保護されていたはずの男が、社会に戻ってきている・・
また犯罪を犯すのでは・・・?
そう思って見張る主人公だけど・・・
物語の最大の見せ場はそこではない。

以下、ネタバレ。



心神喪失という理由で、娘を殺されても相手に罪を問えなかった遺族。
ただただ、そのことに納得いかない想いを抱えていきていくのではなく、
「心神喪失なら人を殺してもいいのね?」ということを、
本当は「正気」なのに、心神喪失を「演じて」、
憎い犯人を殺そうとする妻・・・
見事にみんな、この妻の演技に騙されてしまってたのよね、
医者でさえも・・
もちろん、読者である私も・・

一気に読み終えてしまう作品でした。
こういう話を書かせたら、やっぱり薬丸さんは上手いです!


 
   
刑事のまなざし





2011/7/22 読了





ぼくにとっては捜査はいつも苦しいものです―
通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった
虐待された子、ホームレス殺人、非行犯罪。
社会の歪みで苦しむ人間たちを温かく、
時に厳しく見つめながら真実を探り出す夏目。
何度読んでも涙がこぼれる著者真骨頂の連作ミステリ。



連作短編集となっております。
私は基本、短編集が好きではなくて、
長編を好んで読むんですけど、連作は別です。
見事に繋がった、長編のような短編集です。

犯罪被害者家族である刑事の夏目。
その夏目が関わる数々の事件が描かれます。
その雰囲気というか、世界観みたいなものは、
東野圭吾さんの「新参者」に似ている感じもします。
だけど、この主人公自身が持つ「苦しみ」があるからこそ・・ってのが
この作品の肝でもあるので、違うっちゃー違います。
最後には、夏目自身のお話になっていきます。

また、夏目刑事シリーズを書いてほしいなぁ・・
是非、お願いしたいです!



 
   
ハードラック




2011/10/13 読了







はめられた、このままでは死刑だ! 
殺人放火犯にされた若者の命がけの逃亡と真犯人追跡。
そして……驚愕と慟哭のラストが!



人は追いつめられると冷静ではいられなくなる・・・
明らかに「それ、怪しいやろ」っていう話にのっかってしまう・・
「騙された!」と怒る気持ちもわかるが、
そりゃアンタも悪いだろう・・・と思っちゃう。(汗)

詐欺にひっかかる程度で終わってるならまだまし・・・
殺人犯仕立て上げられていく顛末は、
見てて、ありゃりゃ・・・としか言いようがない。(汗)

誰が一体仕組んだことなんだ・・・と突きとめていく主人公。
その主人公に手を貸す「悪党」が、なんだかいいヤツに思えてきて・・・
誰がいい人で、誰を信じていいかわからなくなります。(笑)

だけど、最終的に不幸のようで、
一人ぽっちではない、手を差し伸べてくれる人が数人いてくれて、
この主人公はある意味幸せだった・・・のか?(笑)



 
   
死命



2012/5/8 読了






榊信一は大学時代に同郷の恋人を絞め殺しかけ、自分の中に眠る、
すべての女に向けられた殺人願望に気づく。
ある日、自分が病に冒され余命僅かと知り、
欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。
榊の元恋人だけが榊の過去の秘密を知るなか、
事件を追う刑事、蒼井凌にも病が襲いかかり、」死へのカウントダウンが鳴り響く。そして事件は予想もしない方向へ―
衝撃の展開、感涙の結末。



どうせ死ぬなら、やりたいことをやってやる!という、
なんとも極端な男でありまして・・・。
だからって、人を殺すのか、おい、こら!って感じです。(笑)

一方で、同じように余命宣告をされた刑事・・・
こちらは、最後の仕事に・・・と事件に向き合って行く・・。
そんなお話なんですが、なんかねぇ・・・
全体的に、扱ってる題材の重みに合わない軽さを感じるというか・・
もうちょっと何か欲しいんだよねぇ・・って感じ?
物足りなさが残った作品でした。


 
   
悪党





2012/10/11 読了





元警官の探偵・佐伯は老夫婦から人捜しの依頼を受ける。
息子を殺し刑期を終えた男を捜し、彼を赦すべきかどうかの判断材料を
見つけて欲しいという。佐伯は思い悩む。
彼自身も姉を殺された犯罪被害者遺族だった……。



刑期を終えて出てきたら、それで罪は赦されるのか・・・。
社会的な意味合いとしては「赦された」のかもしれない。
でも、被害者遺族からすると、到底許せないだろう。
だけど、「赦せない」まま生きることは、きっととても辛い。
だからといって、赦して楽になるのか・・?
いや、きっとそれも違う・・・
だから、他人に判断してもらいたい、「赦すべき」か・・・。

うーん、わからんでもないけど、難しいよねーっ!
こういう仕事を引き受けてしまった探偵の判断により、
また一つの罪を産んでしまうわけで・・・
そして、その探偵自身も「赦せない」相手がいるんだわ。
その探偵自身が一歩踏み出すところも描かれていて、
確かに「悪党」相手のお話だけど、
悪党がメインのお話ではありません。

薬丸さんらしい作品に仕上がってると思います。


 
   
逃走





2012/10/14 読了





早期解決を確実視された殺人事件。容疑者の若者は何のために逃げ続けるのか?
驚愕と感動のラストが待つ、乱歩賞作家による逃亡劇。

閉店後のラーメン店で、店主が何者かに暴行され死亡した。通報により駆けつけた救急隊員に、「約束を守れなくてすまない」と声を振り絞り、被害者は息絶える。通報した若者を容疑者として始まった捜査は、早期解決が確実視されていたはずだった……。




私は薬丸さんの作品は好きで、全部読んできてるんだけど・・・
これはちょっとイマイチだったかな・・・

タイトル通り、逃走劇なので、
一気に読ませる展開ではあるんだけど・・・
一気に読ませすぎで、感動が薄れるというか・・・
逃げる理由ってのがイマイチ納得いかんというか・・

とにかく、へぇ・・・そうなんだ・・・って感じで終わっちゃった。
うーん・・・
もっと味わって読むべきだったのか・・・?(汗)



 
   
友罪





2013/5/5 読了





―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?―
ミステリ界の若手旗手である薬丸岳が、児童連続殺傷事件に着想を得て、凶悪少年犯罪の「その後」を描いた傑作長編!
ジャーナリストを志して夢破れ、製作所に住み込みで働くことになった益田純一。同僚の鈴木秀人は無口で陰気、どことなく影があって職場で好かれていない。しかし、益田は鈴木と同期入社のよしみもあって、少しずつ打ち解け合っていく。事務員の藤沢美代子は、職場で起きたある事件についてかばってもらったことをきっかけに、鈴木に好意を抱いている。益田はある日、元恋人のアナウンサー・清美から「13年前におきた黒蛇神事件について、話を聞かせてほしい」と連絡を受ける。13年前の残虐な少年犯罪について調べを進めるうち、その事件の犯人である「青柳」が、実は同僚の鈴木なのではないか?と疑念を抱きはじめる・・・・・・




すごく難しいテーマですよね。
それを丁寧に描いてるな・・・と思いました。

何も知らずに知り合う。
そして心を通わせる。
そのあと、その人の過去の罪を知る・・・
その罪は残虐な少年犯罪で・・・・というもの。

読む人によって感想は違ってくるだろうと思いますが、
私はいろいろと考えさせられたな・・・と思いますし、
お話として嫌いな類ではありません。
薬丸さんらしいお話だな・・・と思いました。
一気に読ませる筆致はさすがだな・・・と思います。



 
   
その鏡は嘘をつく




2013/12/12 読了





内容(「BOOK」データベースより)
エリート医師が、鏡に囲まれた部屋で自殺した。その後、医学部受験を控えた一人の青年が失踪した。正義感に溢れる検事・志藤清正は、現場の状況から他殺の可能性を見破り、独自に捜査を進める。その頃、東池袋署の刑事・夏目信人は池袋の街を歩き、小さな手がかりを見つめていた。二転三転する証言のなかで、検事と刑事の推理が交差する。乱歩賞受賞が描いた、人間の心、とは。連続ドラマ『刑事のまなざし』の夏目シリーズ極上の感動長編!





その鏡は嘘をつく・・・
なるほどね・・・・。

正直、開始早々、いろんな案件が出てきて、
頭の中がとっ散らかりました。(汗)
きっとどれもが関連してくるんだろうなぁ・・って思いつつ読んでたら、
まぁ、だろうね・・・という展開。

しかし、真相の下衆っぷりと言ったら・・・
医者になれそうもない低成績の人間を排除するために、
そんなことをさせるなんて・・・
愛犬家には許せないぞ!!!
いくら自分の母親を目の前に死なせてしまったからといって、
んなこと、許せません!
んでもって、殺害された本当の動機はそれだけではなく・・・
女に対してもクソ野郎だった・・・ってことで・・・
うむ、殺されてもしゃーないヤツだった・・・と変に納得。(笑)

夏目シリーズでしたけど、夏目じゃなくても成立する話かな・・・って気もする。(汗)
ちょっと違った視点で事件を見る刑事であればだれでもいいというか・・・
もうちょっと夏目らしさが出てほしかったかな?

そうそう、このインテリ検事で一本話が作れそうですね?
何やらとっちめたいヤツがいて、そのために検事になったらしいし・・・
でも、どっちかっつーと、好きにはなれないキャラなんだが・・。(笑)



 
   
刑事の約束




2014/4/26 読了




内容(「BOOK」データベースより)
昏睡状態の娘を持つ東池袋署の刑事・夏目信人。独自のまなざしで手がかりを見つめ、数々の事件を鮮やかに解いていく。夏目が対するのは5つの謎。抜き差しならない状況に追い込まれた犯人たちの心を見つめる夏目が、最後にした“約束”とは。日本推理作家協会賞短編部門候補作「不惑」収録!いまも近くで起きているかもしれない、しかし誰も書いたことのない事件を取り上げ、圧巻の筆致で畳み掛ける、乱歩賞作家のミステリー!




夏目刑事シリーズの第3弾。
今回も短編集です。

5編からなる短編集ですが、
一話は、ドラマで描かれた話の原作で、
二話は、「宝石ザミステリー」掲載されていたので、知った話でした。
残りの三話はお初・・・のはずだけど、
なんか、どっかで読んだような話だなぁ・・・?って感じがしちゃいました。

五話は、「刑事のまなざし」の「オムライス」という話に出てきた
少年の話になります。
母が犯した罪の結果、こんな風になっちゃったんだね・・・
なんか、すごく苦しかったよ。
被害者は、殺されても仕方ないような気もするけど、
だからって、「動機」がねぇ・・・
罪が罪を呼ぶ・・・
辛すぎます。

ただ、一つ、希望の光が・・・
夏目の娘の容体です。
TBSドラマの中で、そういう描写がされていたので、
もしかして・・・って期待してたけど、ホッとしました・・・。



 
   
神の子 (上下)






2014/8/22 読了




天才的頭脳と、絶望的な孤独。授けられたのは、それだけだった。

殺人事件の容疑者として逮捕された少年には戸籍がなく、一方で、知能検査ではIQ161以上を記録した──。
孤独な天才児と彼にかかわる人々とのドラマ、背後にうごめく呪われた陰謀。
著者畢生の大河長編!




上下巻、計900ページの大作でした・・・。
バッドエンドかと思ってヒヤヒヤしつつ読み進めましたが、
希望のある、心が温かくなるエンディングで、
本当に良かった・・・

ドラッグ狂の母から産み落とされ、出生届も出されず、
もちろん学校にも行けず、虐待に会いながら育った「ひろし」。
ある日、母の愛人をナイフで刺して逃げだし、
偶然出会った「ミノル」という知的障害児の名前を借りて生きていく・・
そんな中、ある犯罪集団のトップに目をかけられて・・という話。

カレに与えられたのは、超人的な知能だけだった。
そのおかげで生きてこられた部分もあれば、
そのせいで、他人を巻き込む不幸に・・という人生で・・・。

だけど、もし、最初に出会ったのが「ムロイ」ではなく、
ちゃんとした人に見いだされていたら・・・
もっと幸せな人生だったんじゃないかなぁ・・って思うの。
教育を受けず、いきなり社会に出たんだから、
もし「悪」ではなく「善」を最初に吸収出来たら・・って思うのよね・・。

ひろしはある罪を犯したことで捕まり、望んで・・ではなく、「戸籍」を手に入れる。
そこから新たな人生を進んでいけるかと思ったけど、
一度足を突っ込んだ「悪」がそうはさせてくれない・・

そんな中でも、ひろしの周りには「仲間」が出来ていく。
ひろし本人は遠ざけようとしても、
いつしかみんな、ひろしのために全てを捨てても・・とまで言ってくれるようになる。
そんなひろしから、「大事なもの」が次々と奪われていって・・・

そうなると、逃げたくなるよね。
だけど、ひろしは逃げなかった。
大事なものを守り、立ち向かっていった。
こんな風に成長できたことを、本当にうれしく思えた。
上下巻を読んでいきながら、ひろしの人生を見続けてきて、
あぁ、良かったね・・・って思えて、最後は泣けてきた。

いつまでも続くと思えた「不幸」も、
思いがけないことで終焉を迎えることになって・・・
ここから・・・これからだよ、ひろしの人生は!
きっと幸せになれるって信じたい。

やっぱり薬丸さんの本は好きだなぁ・・・・
今までの薬丸さんが描いてきた本の集大成って感じで、
薬丸さんらしい作品でした。
オススメです。




 
   
誓約




2015/3/31 読了





幻冬舎

一度罪を犯したら、人はやり直すことはできないのだろうかーー。罪とは何か、償いとは何かを問いかける究極の長編ミステリー。
捨てたはずの過去から届いた一通の手紙が、封印した私の記憶を甦らせるーー。十五年前、アルバイト先の客だった落合に誘われ、レストランバーの共同経営者となった向井。信用できる相棒と築き上げた自分の城。愛する妻と娘との、つつましくも穏やかな生活。だが、一通の手紙が、かつて封印した記憶を甦らせようとしていた。「あの男たちは刑務所から出ています」。便箋には、それだけが書かれていた。一度罪を犯したら、人はやり直すことはできないのだろうかーー。究極の問いを突きつける長編ミステリー。




薬丸さんの最新刊は、
「一度罪を犯したら、人はやり直せないのか?」というテーマ。

若いころ、いろいろ罪を重ねて、ヤクザに追われて
顔を変え、名前を変えて生きてきた「向井」という男性のもとに、
ある日一通の手紙が届き・・という話の始まり。

個人的に、「罪にもいろいろある」っていう考えでして、
この場合、自分の不遇を理由に人を傷つけていたわけで、
許せないな・・・って思うのよ。
で、結局逃げたわけじゃん?
そのときに手を貸してくれた人の願いをすっかり忘れてたわけやん?
その約束を果たすかどうかは別として、
忘れちゃいかんだろ?って思うの。

罪を犯して、反省して、刑に服して、
そのうえで「幸せ」というものに触れて生きていこうとしている人を
責めるつもりも権利も私にはないけど・・・

この主人公にはいろんなものが「足りなかった」んだね。
それゆえの悲劇・・ってとこでしょうか。

ページを捲りながら、「この人が・・・?」と思っていました。
結果、やっぱりその人が「手紙の主」で・・・
この人の「想い」も十分理解できるんだけど、
なんて辛い十数年を生きてきたんだろう・・・って考えると、
やるせないです・・。

ただ、主人公にとっては、「生き証人」がいてくれたことは
かなり有難かったですな・・。
この人がいなかったら、あの場でどうなってたことか・・・。

自分の出生の秘密を知りながら、
罪を犯した人を赦し、
最後は支えとなる立場になった「カレ」が、
一番素晴らしい人だな・・・と、しみじみ思いました。

やっぱり薬丸さんの作品は、読後もいろいろ考えさせられます。
好きだわ、薬丸さんの作品♪





 
   
アノニマス・コール




2015/7/6 読了





角川書店

3年前に警察を辞め、家族も離れて暮らす真志に、娘を誘拐したと匿名電話がある。自力で誘拐犯を捕まえるため動き出すが、誘拐事件はやがて真志がすべてを失った原因となる過去の事件へとつながり!?



薬丸さんの新作は、ノンストップな作品でした。
読み始めたら、やめどきがわからず、
最後まで読んでしまう!!っていう感じです。

「アノニマス・コール」とは、「匿名電話」のこと・・・。

離婚して離れて暮らしていた娘が誘拐された・・・
元刑事の真志は、警察を辞めた理由から、
警察に相談することができない・・・
仲間を集め、娘を救うために動き始めるわけですが・・・

簡単な誘拐事件ではないんですよ、
まず、警察を介入させずに動き、
その後警察が絡んできて、
最終的に警察を相手に・・・となっていって、
もう、どうなるのー??な展開なんです。

ただ、きっと「この人たち」だろうな・・・ってのと、
きっと、「この人、関係してるよね・・」ってのが、
早い段階で想像ついてしまっていたので、
やっぱりそうだったか・・・っていう思いでしたね。

とくに、「あなたも関わっていたんですね」・・な人に関しては、
そもそもアンタだったんじゃん!!って思えて、
憎まれ損だわ!!って思っちゃった。

だけどさ、いくら真実を知りたいからってさ、
罪のない子を誘拐するっていうのはどうよ?
しかも、親身になって捜査していた男性を巻き込んだわけでしょ?
どうせ巻き込むなら、関係者の子を誘拐すればいいのに。
我が子の命がかかったら、さすがに警察を裏切るかもしれんやん?
なんか・・・可哀想だったよ、真志が。

まぁ、この事件がキッカケで家族再生ができるのだとしたら、
良かったのかもしれない・・・・ね。

それにしても・・・実際、警察ってのはこういうことしてるのかなぁ・・・?
してるんだろうなぁ・・・
イヤだなぁ・・・ほんと。
事件・事故に巻き込まれたくないよ、本当に。
しみじみ思うわ・・・。




 
   
Aではない君と




2015/9/22 読了





講談社

内容(「BOOK」データベースより)
勤務中の吉永のもとに警察がやってきた。元妻が引き取った息子の翼が死体遺棄容疑で逮捕されたという。しかし翼は弁護士に何も話さない。吉永は少年法十条に保護者自らが弁護士に代わって話を聞ける『付添人制度』があることを知る。生活が混乱を極めるなか真相を探る吉永に、刻一刻と少年審判の日が迫る。




大好きな薬丸さんの作品ですが・・
もう、帯の時点で「重たさ満点」。(汗)
読んでみたら・・・ドップリと疲れましたよ・・・。

離婚して、妻が引き取っていた中学生の息子が・・・
「友だちを殺した」ということで警察に連れていかれたという知らせが・・・
信じられない・・・どうして・・・・?
なのに、息子は誰にも何も話そうとしない・・・
真実は・・・?という展開。


ネタバレになります。


途中、息子・翼は、弁護士を一切信用しようとせず、
「お父さんと二人で話せないの?」と聞きます。
その理由が最後で明らかになるんだけど・・・・
もう、辛すぎてさ・・・

そして、真相は徐々に明らかになるんだけど、
「勝手な思い込み」で、真実はすべて明らかにはならないのよ。
そう思いたい「親の想い」はわかるけど・・・
その思いを押し付けて、真実に蓋をさせちゃダメなんだよね・・・

結局、罪深いのは親だよ。
翼くんは何度もSOSを出していたし、
被害者であり加害者でもあった相手の子も
親の都合で心にキズを負っていたわけで・・
あのとき、あーしていれば・・・って思うことがあまりに大きすぎて、
他人事ながら、後悔してもしきれないですわ・・。(涙)

そして、最後の「謝罪」・・・
被害者の子が大事にしていた写真・・・
なんて切ないんだろう。
本当に友達だったから、裏切られた想いが大きかったんだね。
いつしかエスカレートしてしまったイジメ・・・
少しのすれ違いから訪れた不幸だよね・・・

少年院を出ても、一生この事実はついてくる。
でも、罪を犯すということは、そういうことです。
贖罪は一生・・・
罪を犯す前に救ってあげられなかった親は、
これからはちゃんとカレの一生を見届けてあげてほしいですね。




 
   
ラストナイト




2016/7/13 読了





実業之日本社

顔には刺青、左手は義手。
菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、古い友人で
刑務所を出所したばかりの片桐達夫が現れた。
かつてこの店で傷害事件を起こしてから、
自身の妻とも離婚し、32年もの間に何度も犯罪に手を染めてきた男だ。
獣のような雰囲気は人を怯えさせ、
刺青に隠された表情からは本心が全くつかめない――。
何故、彼は罪を重ねるのか?
吉川英治文学新人賞受賞後第一作! 著者新境地、魂を震わせる衝撃のミステリー。




30年以上、刑務所に入ったり出たりを繰り返す男・・・
顔中にヒョウ柄の入れ墨を入れている・・・
その男・片桐が出所してきた・・・
この男の真意とは・・・?という話。


ネタバレです。


簡単に言うと、長期にわたった復讐話ですね。
最初は得体の知れない片桐だったけど、
そのあと、関係者一人一人の目線で話が進むと、
片桐という男が徐々に見えてきて、
この男が失ったもの、そしてやろうとしていることが見えてきます。

幸せだった片桐の人生を狂わせるキッカケは、不条理なもので、
善意で動いた結果、妻に屈辱的な思いをさせただけでなく、
地獄のような苦しみから自殺という形を取らせてしまったこと・・
片桐はどれほど苦しんだことか・・・
だからこそ、我が手で憎き相手を・・・という復讐を目論見、
相手を探して刑務所を転々としていたんだね・・。
自分の顔や腕を傷つけてまで・・・
あまりにも辛い道のりで、想像もできないです。(涙)

だけど、片桐は決して一人ではなかった。
片桐を心配し、思ってくれる人がちゃんといた。
そして、片桐の行動がある男を救い、
その男によって、片桐の復讐は思った通りに完結できたわけで・・・

本当は殺しかったんだろう・・
だけど、それでは妻を追いやった鬼畜と同じことになる。
娘の言葉を胸に、命をかけて違う方法で復讐を遂げた片桐。
天国で奥さんと再会できるといいな・・・。
そして、「目撃者」となった荒井の力で、
娘さんの誤解を解いてやってほしい。

真相が見えない主人公、関係者を描くことで徐々に明らかになる・・
っていう形としては、「半落ち」を思わせる構成だな・・って思いましたね。
辛い話だったけど、今作もしっかりと読ませる作品でした。




 
   
ガーディアン




2017/3/7 読了





講談社

内容(「BOOK」データベースより)
「ともに楽しい学校生活を築いていきましょう」スマホやSNSが普及し、教師は生徒の悩みを把握しきれない。いじめ、不登校、夜間徘徊―荒れていた中学校は、匿名生徒による自警団「ガーディアン」によって落ち着いた。赴任したばかりの秋葉は単身、学校の謎に迫ろうとする。吉川英治文学新人賞作家の新たな境地!!幾重にも交差する大人と子供の思惑が、忘れられない衝撃を生み出す。




学校には、生徒による自警団があるらしい・・・?
それに気づいた教師が調べはじめ・・・って話です。

生徒が「自警団を作らざるを得なかった」っていう状況が、
大人も教師も信用できないって思ってる生徒たちの気持ちも
わからんではないから、ちょっと理解はできた。
だけど、エスカレートしたよね。
こういうチカラを持って、うまくことが運んでしまうと、
全能感っていうか支配欲っていうか、
そういう快感とかチカラに目が眩んじゃうんだよねぇ・・・
だから、子供だ、っていうのよ。
・・・あ、大人もか!(汗)

新任教師の秋葉は、ガーディアンの存在を知り、
独自で調査を始めたものの、
真相に近づくと、自分が制裁の対象になってしまうんだけど、
この制裁ってのが、「花より男子」の「赤紙」に似てるのよね。
折鶴を置かれた人は全生徒から無視やイジメの対象になったり
しちゃうわけで・・・
のちに制裁を解くということで全生徒へのアメとムチ効果もあって、
秋葉はかなり苦戦するわけですが・・・

秋葉が仲間の教師たちに全部話して、対処を考えるっていう段になると、
実は・・・っていうことがたくさん出てきて、
えぇ〜?「やってました」じゃ済まんだろ・・・?って気もした。
結果に繋がってないし・・・
生徒たちに伝わってないし・・・
それじゃ、やっぱり「大人は信用できない」ってことになるし・・

でも、まぁ、ガーディアンは解散っていうオチで終わったわけで、
今後は教師たちも頑張っていくでしょう・・って思ってたら・・・
まだまだ陰で動いてるみたい・・・?
誰が・・・?教師がガーディアンになったのか・・?
うむむ・・・

教師は無力なのか?っていうことに苦しみながらも、
逃げずに立ち向かっていく姿は頼もしかったですね。
夏目刑事も出てきて、「じゃぁ大丈夫だ」って思えたし。

ただね・・・とにかく登場人物が多くて、
えっと・・・誰だっけ・・・?ってなります。
一気に読まないと余計に・・です。
なので、一気読みをお勧めします!




 
   
刑事の怒り




2018/2/12 読了






講談社

内容(「BOOK」データベースより)
被害者と加害者、その家族たちの“想い”をみつめてきた刑事・夏目信人が出会う四つの事件。社会の歪みが生み出す不平等に、虚しさを抱えつつも懸命に前を向く人々。非力な彼らを餌食にする犯人を前に、刑事のまなざしが怒りに燃える。私たちが願うのは、被害者の幸せだけでいいのだろうか?




夏目シリーズの短編集。
どれも印象的。

冒頭の「黄昏」は既読だったな・・
何で読んだんだろ?
死んだ母の遺体とともに過ごした娘・・・
年金不正受給目的か・・・?と調べる夏目。
真実は。。。悲しい娘の想いでしたね。
生きてるときにその思いをかけてあげられたら・・
死んでからそうしても、お母さんはどう思っただろうか・・・

「生贄」は・・・
どうしても伝えたかった、性被害者の想い・・・だったね。
自分だけでも耐えられないのに、
親しい人の被害を目の当たりにして・・・ってわけです。
防げたかもしれないのに・・っていう罪悪感もあったんだろうけど、
そこまでしなくちゃいけなかったか・・?っていうね。
辛い話でした・・・

「異邦人」は、下村敦史さんの作品でもお馴染みの、
警察の通訳のお話。
どうせ説明しても伝わらない・・・とか、
重い罪になると強制送還させられちゃうから・・とか、
外国人犯罪者の想いは、くみ取るのが難しいもんね・・・
でも、ちゃんと伝わってよかった・・
この仕事にかかわった通訳のカレも、何か変わるといいな・・・

最後の「刑事の怒り」は、夏目自身の人生にもかかわる話。
意識なく「生かされてる」人間の気持ち・・・
夏目は、娘が意識を取り戻して・・っていう現状だけど、
かといって、目に見えて回復してるわけではないから、
娘の「想い」がわからない・・っていう感じなんだよね。
そんな中の、「意識のない患者の連続死」事件。
事故か?本人の意思か・・・?っていう可能性もあって、
夏目は真実を知りたくて捜査するんだけど・・・
結果、勝手なエゴによる殺人でしたね。
生きていることがつらいと思ってる人も確かにいるかもしれないけど、
他人が手を出していい話じゃない。
夏目の怒りが伝わる話でした・・・

どれも面白かったですね。
やっぱりこのシリーズは好きです。