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 吉田修一 


下記のリストは、既読の一覧です。リストの順番はランダムです。
リンクしていないモノは、おいおい感想を記載していきます。

さよなら渓谷 愛に乱暴 怒り(上・下) 平成猿蟹合戦図
太陽は動かない 森は知っている 橋を渡る 犯罪小説集





   
さよなら渓谷



2013/8/10 読了





内容(「BOOK」データベースより)
緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、人気ない市営住宅に注がれた。そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介が、ある重大事件に関与した事実をつかむ。そして、悲劇は新たな闇へと開かれた。呪わしい過去が結んだ男女の罪と償いを通して、極限の愛を問う渾身の長編。




どどーん・・・と重たい話。
自分を犯した男と住み続ける女。
理解不能。
・・そんな言葉で片付けてはいかん・・・と、頑張って読んだ。

心に抱えた苦しみを、一番分かってくれるのは、
確かに加害者である男だ。
自分が存在するために、
いろんな意味で必要な存在だったんだろう。
かなりの自虐的行為だけど、
そうやって生きていくうち、その生活に慣れていた部分もあるだろう。

しかし、ある事件が起こったことで、
彼女の中に変化が訪れる。
そして最後は、離れることを決意したわけだけど・・・

この人里離れた渓谷での暮らしは、
自分を傷つけた相手であったとしても、
彼女にとってある意味安らぐ場所だったのでは・・・?
外の世界で傷つき、また戻ってくるのでは・・・と
心配になっちゃった、そんな私でございます・・・。

重たくて・・・
あんまり引きずりたくない作品でございます。(涙)





 
   
愛に乱暴




2013/8/22 読了





内容(「BOOK」データベースより)
これは私の、私たちの愛のはずだった―本当に騙したのは、妻か?夫か?やがて、読者も騙される狂乱の純愛。“家庭”にある闇奥。“独り”でいる孤絶。デビュー以来一貫して、「ひとが誰かと繋がること」を突き詰めてきた吉田修一が、かつてない強度で描く女の業火。




「騙される」とか聞くと、
絶対騙されるもんか!と思うんだけど・・・
うむ、騙された。(笑)
いや、騙されかけた・・・かな?
途中で違和感には気づいていたからね・・・

不倫をしてる夫が離婚を切り出す・・
その妻の日記で話は進んでいくわけですが・・・

追い詰められていく様は見事に描かれていて、
引き込まれてしまったら・・・おしまい。(笑)
「何かおかしい」に気が付けなくなってしまうから・・・

そして、あちゃー!そーいうことね・・・・となっちゃう。
なるほど、なるほど・・・
女の業とはまさに・・・ですな。

ま、アカンことをすると、同じ目にあう・・・てことさ!
と、変に納得してみた。(笑)



 
   
怒り






2014/1/26 読了





内容(「BOOK」データベースより)
殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!




ある殺人事件の犯人が逃走・・・
一年後・・・・三か所でそれぞれ生きる「身元不明者」と、
未だ犯人を追い続ける刑事たちを描いていきます。

この三人の中に犯人はいるのか・・・?
一体誰・・・?
と、もう、ページを繰る手が止まりません!

ここからネタバレ






結果、この三人の中に犯人はいました。
でも、そんなことより、三か所にいる「身元不明」の男と関わる人々の
「信じる」ということ、「疑う」ということを見ているのが、
リアルで辛くて・・・
人を信じるって、怖いよね。
愛してるからこそ知りたい、だから疑う・・・
それでも愛してる・・・
私なら、信じて、黙って待てるだろうか・・・と、
自問自答しながら読み進めました。

オチとしては・・・・スッキリとはしません。
だって、事件の真相はわからないままだから・・・
でも、上下巻を読み、慮ることはできました、ちょっとだけ。

救いは・・・ないけど、あります。(笑)
信じる力が、救いになったカップルもいます。
信じられなかったゆえに、辛い別れになるカップルもいます。
疑いもしなかったから、あんな結末になったことも・・・・(涙)

とにかく、読み応えアリ!の一作。
上下巻だけど、一冊1200円と良心的。(笑)
一気読み必至なので、揃ってお買い求めくださいませ。



 
 
   
平成猿蟹合戦図



2014/3/20 読了




 

内容(「BOOK」データベースより)
新宿で起きた轢き逃げ事件。平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、すべての始まりだった。長崎から上京した子連れのホステス、事件現場を目撃するバーテン、冴えないホスト、政治家の秘書を志す女、世界的なチェロ奏者、韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、秋田県大館に一人住む老婆…心優しき八人の主人公が、少しの勇気と信じる力で、この国の未来を変える“戦い”に挑んでゆく。希望の見えない現在に一条の光をあてる傑作長編小説。




もうね、登場人物が多すぎて、頭が混乱するっつの。(汗)
しかも、コロコロと場面転換していくしさぁ・・・
きっと、この全員が最後には関連していって・・・ってのは、
まぁ、想像通りっていうか、当然の流れなんだけど・・・

で、なんでいきなり政界進出なわけ?
提案する方もそうだけど、
受ける方も変だよ。(汗)
あんな追い込まれた段階で、「政界に出る」ってことで
解決しちゃうってのもおかしいし。

そうすることで、みんなのゴタゴタが全部おさまったわけ?
気分もスッキリしたわけ?
あたしゃ全然スッキリしなかったぜ?(汗)
500ページもあって、途中グッタリしつつも、
何とか最後まで読んだけどさぁ・・・

このタイトル「さるかに合戦」から読み解くと、
猿に騙され殺された蟹。
その子供たちがいろんな仲間の手を借りて猿に復讐し殺す・・という
復讐話・・・というか、
「悪いことすると、自分にかえってくるよ」という因果応報を
説いたお話であることから、
親を殺された面々が、いろんな方法で、
ときに周りの人の力を借りて復讐を遂げた・・・てことなのかな?
だからって、あんな無茶な流れで政界進出って・・・
やっぱ、納得いかん。(汗)

ま、いくら親の仇とはいえ、轢き殺しちゃったあの男にも、
最後に悲しい「因果応報」が用意されてて、
そういうやり方の復讐はいかんよ・・・と言いたかったのかもしれんが、
なんとも切なかったっすね・・・

ふぅ・・・
なんか、すんごい疲れた。
次は軽めの本を読もうっと・・・。




 
   
太陽は動かない




2015/7/4 読了




 

幻冬舎文庫

内容(「BOOK」データベースより)
油田開発利権争いの渦中で起きた射殺事件。産業スパイ組織AN通信の鷹野一彦は、部下の田岡とその背後関係を探っていた。目的は機密情報を入手し高値で売り飛ばすこと。商売敵のデイビッドと謎の美女AYAKOが暗躍し、ウイグル過激派による爆破計画の噂もあるなか、田岡が何者かに拉致された。息詰まる情報戦の末に、巨万の富を得るのは誰か?産業スパイ“鷹野一彦”シリーズ第1弾!




吉田さんの新作「森は知っている」を図書館で予約しまして、
その後、その作品の詳細を調べてみたら、
なんと続編・・・ってことで、
じゃ、前作を読んでおこう・・・・と、これも図書館で借りてきました。

産業スパイのお話。
そして、結構なキツイシーンがあるハードボイルド・・・
かなり分厚めの作品で、
企業モノ特有の専門用語、残虐なシーン・・・と、
読んでて辛い部分がある作品でありまして、
挫折しちゃうかも・・・と思ったけど、意外にサクっと読めちゃいました。(笑)

確かに、鷹野っていう男について、かなり興味をひかれます。
だからこその、「森は知っている」なんですね。
続編では、この鷹野がスパイになるまでのお話のようで、
この作品を先に読んでいて良かったな・・・と思いました。
でも、先に「森は知っている」を読んで・・・でも、
この作品は楽しめそうな気もするし・・・


情報を扱うスパイ・・・か・・・。
大変だなぁ・・・
どこに「そこまでする意味」があるの?って気もするけど、
体に仕込まれた「モノ」を思うと、
しゃかりきになる気持ちもわかる気がする・・・(汗)
だけど、鷹野にとってはそれだけではない・・・みたいね。

しかしさ、金のために国を売るっていう気が理解できないわ。
踏ん張ってくれたカレは、素晴らしいよ。
結末はあっさりと表現されていたけど、
文中にもある通り、記事になるのがこの程度である・・ってことは、
鷹野たちの働きが報われた・・・ってことだもんね。
うむうむ。

早く続編を読みたいな。
図書館の順番・・早く回ってこないかなぁ・・・




 
   
森は知っている




2015/7/15 読了




 

幻冬舎

内容(「BOOK」データベースより)
自分以外の人間は誰も信じるな―子供の頃からそう言われ続けて育てられた。しかし、その言葉には、まだ逃げ道がある。たった一人、自分だけは信じていいのだ。ささやかでも確かな“希望”を明日へと繋ぐ傑作長篇!




「太陽は動かない」の鷹野が幼いころのお話・・・
エピソード・ゼロな話。
先に「太陽は動かない」を読んでいても読んでいなくても、
どっちでもいい。
いや、こっちを先に読んでいたら・・・
違う感情で「太陽は動かない」を読めたと思うので、
そっちがいいかも・・・・って気はする。

母親に無残に捨てられ、弟を失った鷹野。
実父にも虐待される可能性があるとして、
ある団体が鷹野を一旦死亡という扱いにして引き取り、
産業スパイとして育てていく・・・・というもの。

確かに、実の親に育てられても不幸な子はいるだろう、
命の危機にさらされることも・・・
だけどさ、だからってさ、
そんな境遇の子だから、こんな扱いしてもいいんか?って話よ。
18歳になると、体に爆弾が埋め込まれ、
スパイ活動中、24時間連絡が取れないと裏切りと見なされ
爆弾で殺されちゃうっていう状況に置かれちゃうのよ?
ひどいーっ!!

そんな鷹野の産業スパイっぷりを描いたのが「太陽は動かない」。
今作は、鷹野が18歳になるまでの青春や恋、友情などを描いていて、
「太陽は動かない」よりもかなり読みやすい。
スイスイとページが進んでいく。

一足先に18歳になった親友、
ずっと自分を指導してくれた教官、
自分を引き取ってくれた恩人・・などなどが出てくる中、
ある陰謀に巻き込まれていくわけですが・・・

「太陽は動かない」にも出てくる人物の若かりし頃も描かれ、
あー、なるほどそれでこうなったのか・・・とか、なかなか楽しい。

最後はかなり切ない展開になるも、
ある人の言葉で「生」というものにしがみついていられる鷹野。
こうやって35歳までスパイを勤め上げれば、
爆弾は撤去、欲しいものを一つもらって引退できるらしいけど・・・

次作は、親友との再会とかも描かれちゃうのかしら?
鷹野の引退まで、ちゃんと描いてほしいです。
非情な男のように見えるけど、
結構熱いヤツなんで・・・、簡単に引退できるとは思えないけど・・(汗)




 
   
橋を渡る




2016/4/16 読了




 

文藝春秋

内容(「BOOK」データベースより)
ビール会社の営業課長、明良。部下からも友人からも信頼される彼の家に、謎めいた贈り物が?都議会議員の夫と息子を愛する篤子。思いがけず夫や、ママ友の秘密を知ってしまう。TV局の報道ディレクター、謙一郎。香港の雨傘革命や生殖医療研究を取材する。結婚を控えたある日…2014年の東京で暮らす3人の悩み、ためらい。果たして、あの選択でよかったのか―




吉田さんの最新作・・・
でも・・・
なんか・・・・違う・・・・(汗)

三人の男女のある時期の出来事が
三章に分けて描かれて、
最後にビューンと時間が過ぎ・・・とい展開になってます。

それぞれの章が・・・
ただ、なんとなく時間を追ってるってうか・・
とりとめもない話が続いて、
それぞれにちょっと(ちょっとじゃないけど)過ちを犯して・・っていう、
そんな終わり方をして、
最終章でビューン!!って感じなんだけど・・・



ネタバレです。



70年後の日本は・・・変わってしまってるけど、
根本は変わってないっていうか・・・
ただ、「あのとき、あーしてれば、こうはなってない」ってのが、
それぞれの章とつながっております。
そこに、ぶっ飛んできた「ある人」の登場により、
何かが変わり、そして、過去も変わる・・・という・・。

なんか、吉田さんらしくない作品だなぁ・・・・って思ったよ。
もっとドラマチックな話を期待していただけに、
ダラダラと綴られる各日常を追わされてる気がしてたし、
最後の展開も、そんなことにしちゃうんだ・・ってちょっと呆れたり・・・

思ってたのと違う・・っていう残念感を越えるほどの
感動や展開が待っていたわけではないので、
やっぱり、残念としか言いようがない・・・かな?




 
   
犯罪小説集




2016/11/6 読了




 

角川書店

内容(「BOOK」データベースより)
失踪した少女を巡り、罪悪感を抱え続ける人々。痴情のもつれで殺人まで行き着いたスナックママ。名家に生まれながらギャンブルの沼にはまった男。閉鎖的な過疎の村で壊れていく老人。華やかな生活を忘れられない元プロ野球選手。犯罪によって炙り出される人間の真実。凄絶で哀しい5つの物語。




5つの犯罪が、淡々と描かれた短編集。
謎解きや、ハッピーエンドなんて、ありません。
人はこうやって罪を犯すのか・・・とか、
こうやって追い詰められていくのか・・・とか、
他人事だけど、他人事じゃない、
背筋がぞわぞわ・・・とする、そんな一作です。

個人的に印象的だったのは、冒頭の「青田Y字路」と
「万屋善次郎」ですね。

「青田Y字路」は、女児失踪事件を描いていて、
子を失った人、疑われた人、疑う人・・・と、
いろんな視点で描かれてるんだけど、
解決しない限り、ずっと町に根付いてしまうんだな・・って思って、
関わった人の心に澱のようにたまっていて、
それが一気に噴き出して・・っていう、集団の怖さとかを感じましたね。

「万屋善次郎」は・・・切なかった。
こういう村って、「よそ者」っていう雰囲気があると怖いよね・・
ここでも集団意識っていうものの恐ろしさを感じて、
最後のワンちゃんたちの必死の抵抗の場面では、
文字を読まなくちゃいけないのに、
啼き声が聞こえてくるような、その場面が見えてくるような気がして、
目を閉じてしまうくらいでした・・・

「白球白蛇伝」は、男のプライドっていうか、
過去の栄光にすがらないと生きていけない男の哀しさっていうか・・
過度の期待って人を追いつめるよね・・・とか、
いろいろと考えさせられた。
でもさ、もっと早くに、もっとゆっくりとカレを変える方法はあった気がして、
急にあんな風にバッサリと切られたら、
そりゃそうなるわ・・って気もした。(汗)
金で繋がる縁ってのは、本当に気を付けなくちゃいけないよね・・。

と、どの作品も読後に考えさせられるものでしたね。
スッキリはしないんですけどね・・(汗)